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子犬の販売 生後何日から?

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チェック:子犬の販売、生後何日から?
 親離れ早いと「かみ癖」「ほえ癖」

2015年02月05日 毎日新聞


ブリーダーの江沢文子さんが育てる子犬(生後3カ月)=横浜市鶴見区で、阿部周一撮影

子犬や子猫は生後何日まで親と一緒に飼育されるべきか。
ペットショップでの販売を巡り、そんな調査を環境省が進めている。
親と離されるのが早すぎると「かみ癖」「ほえ癖」といった問題行動を起こしやすくなり、飼育放棄につながりかねない。
しかし業者側には、生まれたての愛らしいうちに売りたい思惑もある。
調査結果はペット販売の形を変える可能性がある。
【阿部周一】

「オーナー(飼い主)への引き渡しは生後60日以降に限っています」。
横浜市鶴見区のブリーダー、江沢文子さん(53)はラブラドルレトリバーの繁殖を手掛け16年になる。
「生後30〜40日は子犬が一番可愛い頃で、『早く譲って』という声も聞きます。でも、親や兄弟姉妹と一緒に過ごすことで社会性や病気、けがへの抵抗力が身につく大切な時期でもあるんです」。
江沢さんのようなブリーダーは少数派だ。
大半の繁殖業者は生後45日たつと子犬を親から離して販売店や飼い主に引き渡す。

◇「56日以内禁止」適用に向け調査
2013年9月に施行された改正動物愛護管理法は犬と猫について、繁殖業者に「生後56日以内」の引き渡しを禁じた。
ただ、それまでは規制がなく30〜40日前後での店頭販売が当たり前だったため、「おりを大きくする費用や餌代、医療費がかさむ」「科学的根拠があいまい」と反対したペット業界に配慮し、施行後3年間は「生後45日以内」の引き渡し禁止、その後は「49日以内」とする移行期間を設けた。
最終的にいつ「生後56日以内」まで延ばすかは、環境省の調査結果を検証した後に別途、法律で決める。
調査は全国のペット販売店で犬や猫を買った飼い主に、半年以上たった後、かみ癖の有無などを尋ねる。
親から離したのが生後49日か56日かで、問題行動に差がないかを統計的に確かめるのが目的だ。
14年度は計3000匹以上、15年度はさらに対象数を増やし、18年度までに検証内容を公表する。
欧米の法律では「生後56日」を採用している例が多く、同説を支える先行研究もある。
米ペンシルベニア大による成犬の行動解析では、人を攻撃する▽音や光を怖がる▽留守番ができない−−といった問題行動が表れる確率は、親から離されるのが早いほど高くなるが、生後8週(56日)だと9週や10週の犬と差がなくなるという。
環境省の調査に協力する菊水健史・麻布大教授(動物行動学)は「犬や猫は2カ月足らずで完全に親から離せる。人間に比べ発育が早いので、(49日と56日という)たった1週間の違いでも大きな意味を持つのは間違いない」とみる。
一方、飼う側のモラルも含め、ペット販売のあり方を再考すべきだとの意見もある。
法改正前まで生後30〜40日前後、改正後も45日直後が店頭販売の「旬」であり続ける背景には、生まれたて特有の可愛さを重視する飼い主の好みがある。
その場で抱っこさせて「衝動買い」を誘うペット店も少なくない。
成長後に問題行動が表れれば、飼いづらくなり保健所に持ち込んだり、捨てたりする最悪の結末を招きかねない。
原則56日たった後の引き渡しを守るブリーダーからの子犬購入を仲介している川崎市の「ペットショップさくら」店長、浅利龍平さん(40)は「ペットは長年一緒に生活する家族。幼い時期の可愛さだけで飼い始めるのはリスクが高いことを知ってほしい」と訴える。 


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