登山犬ジロー:天国へ 山の仲間に愛され
2015年04月09日 毎日新聞
元気だったころのジローに優しく触れる菊竹さん(中央)
登山好きの飼い主と福智山(901メートル)に1000回以上登ったコーギー犬「ジロー」(雄11歳)が3月26日、死んだ。
昨年12月28日の登山が最後だった。
連れ添った飼い主の元郵便局員、菊竹茂子さん(69)=福岡県直方市山部=は「体が弱っても登りたがった。本当に山が好きだったんだろう」。
ジローが死んでから四十九日明けに、遺骨のかけらを山頂へ帰したいという。
【梅山崇】
ジローは2年ほど前から足腰が弱り、山頂まで2時間だったのが3時間かかるようになった。
3月26日、帰宅した菊竹さんの前でバタッと倒れ、動物病院に運んだが、回復することはなかった。
ジローは生後35日で菊竹さんの飼い犬となり、6カ月後から週2、3回のペースで登り始めた。
道中、菊竹さんに話し掛けられ、ジローはどこに水場があるかなど、山を熟知するようになった。
足が速いとはいえず、遅れることもしばしば。
しかし、菊竹さんが振り返ると懸命に追いつこうとする。
その姿がかわいらしく、登山仲間にも愛された。
山頂では、好物のゆで卵など“ご褒美”をあちこちからもらった。
菊竹さんの仏間には遺骨と元気だったころの写真が飾られ、毎日手を合わせている。
「私の年齢を考えるとジローが最後(の飼い犬)。ベストパートナーだった」。
心の中のジローに話し掛けながら、菊竹さんは今後も登山を続けるという。