ネコの譲渡会…高齢者は最期まで飼育できるか心配も…
そこでスタートした「永年預かり制度」とは? 北海道
2023年2月27日(月)
2月22日はネコの日です。
「アンジー」 「ニャーン」
上手に返事をするのは4歳のアンジー。
札幌市の大東緒里絵(おおひがし・おりえ)さんの元へ来て、まだ10日あまりですが、もうすっかりここが「我が家」です。
大東緒里絵さん(69) 「アンジーはめちゃくちゃ甘えっこ。かわいいですよ。先住ネコにも甘えてます。先住ネコはもうおじさんなんですけど、おっぱいをやるようなしぐさしたりします。かわいいですね」
でもアンジーは、ただの飼いネコではないんです。
大東緒里絵さん 「ここに預かり証を貼っています」
ネコとの新しい暮らし方をもうひとホリします。
堀内大輝キャスター 「こちらにはいろんなネコがいるんですが、実は『保護ネコ』の譲渡会が行われています」
ここにいる5匹はすべて「保護ネコ」。
主催した「ツキネコ北海道」では、飼育が困難になったネコや多頭飼育の現場から、保護したネコを次の飼い主へとつなげています。
ただ、保護団体によっては、条件も…。
ツキネコ北海道 吉井美穂子代表 「どうしても高齢者に対してネコを譲渡できないという団体がとても多い」
ネコは20年を超えて生きることも珍しくありません。
引き取り手が高齢者の場合、最期まで責任を持って飼えるのかという心配があります。
一方で…
ツキネコ北海道 吉井美穂子代表 「うちもキャパオーバーになってしまって、ネコだらけになってしまった。そうなると感染症も増えるし、病気も蔓延する。ネコのストレスもマックスになる」
ツキネコでは去年1年間で600匹以上を保護しました。
ツキネコ北海道 吉井美穂子代表 「ネコが保護団体にいるよりも一般家庭に入ったほうが絶対に幸せ。(飼い主の)年齢ではなくて、周りの環境とか、家の環境とかが大事」
そこで始めたのが、ネコの「永年預かり制度」です。
希望する高齢者に、ネコを「預ける」形で譲渡し、病気などで飼えなくなったときには、ツキネコがネコを「引き取る」仕組みです。
大東緒里絵さん 「アンジー」 「ニャーオ」
69歳の大東さんの家で暮らすアンジーも、永年預かり制度でやってきた元保護ネコです。
「預かり」とは言っても、ネコとの暮らしぶりは普通の飼い主とまったく同じです。
ただ、家の一番目立つところには、「預かり証明書」を貼り、万が一ネコだけが残されたときでも、ツキネコに連絡が行くようにしています。
大東緒里絵さん 「年取ってくると、やっぱり色々心配が出てくるじゃないですか。体のね。でもそういうことであれば、またツキネコさんでそういうケアをしてもらえると思ったら安心できると思います」
2015年から今までに「永年預かり」されたネコは309匹。
このうち10匹がツキネコに戻ってきましたが、次の預かり先にいくなど、新しい居場所を見つけています。
去年10月、岩見沢の60代の男性の家から32匹のネコが保護されました。
「多頭飼育の崩壊」です。
このうち31匹は「猫エイズ」に感染していました。
こうした現場から保護されるネコは、病気を持っていたり、人慣れが難しかったりと、新しい飼い主に譲渡できない個体が多いといいます。
そんなネコたちの“ついの住みか”が「月虹山荘(げっこうさんそう)」です。
ツキネコ北海道 吉井美穂子代表 「全道から来たネコたちで、飼育放棄、飼えなくなった人からの引き取りもしているのでやっぱり高齢で譲渡が難しい子の最終的な場所」
ツキネコ北海道が去年から始めた取り組みで、多頭飼育から保護したネコのほか、飼い主の入院や死亡によって残されてしまった高齢のネコなどの余生をスタッフが見守ります。
ツキネコ北海道 吉井美穂子代表 「本当はこういうところがなくなるのが理想なんですけど、そうも言ってられないし、みんなが笑顔になれるような、みんなが幸せな気持ちになれる場所にしていきたい」
年間約2万3000匹 イヌやネコの殺処分を減らすために…高齢者が「飼う」から「預かる」へ新しい「里親」のカタチ「永年預り制度」 - YouTube