西山動物園拡張へ レッサーパンダを間近に
2015年3月4日 福井新聞
新年度に開園30周年を迎える鯖江市西山動物園は、新たにレッサーパンダ舎を拡張整備する。ワークショップで出された市民の意見が計画に多く反映されているのが特徴で、同動物園はハード、ソフト面とも大きく生まれ変わる。
計画によると、現在のレッサーパンダ舎の北側900平方メートルに鉄骨平屋建ての新舎と屋外飼育場などを新設する。
5月下旬に着工、16年4月のオープンを目指す。
新年度予算案に建設費8600万円が盛られた。
昨年4月から計4回開いたワークショップでは、西山動物園の果たすべき役割、機能を検討し計画を練り上げてきた。
市民ら延べ130人が参加、関心の高さがうかがえた。
新舎にはガラス張りの屋内飼育舎、生態を学べるパネルや映像、剥製などを展示するギャラリー、来場者が休憩するラウンジなどを設ける。
屋内飼育舎の中には見学コースを設置。
屋外飼育場は3カ所ある。
来場者がレッサーパンダを間近でじっくり観察できるだろう。
新舎からは西山公園内の展望台やパンダランドにつながる遊歩道が新設され、公園全体の回遊性も高まる。
現代の動物園の主な役割のひとつが「学習の場の提供」といわれる。新舎整備を機に展示だけでなく、市民が参加出来る「学び」のイベントにも一層力をいれてほしい。
近年、子供や動物を虐待する痛ましいニュースが多い。
来園者が動物に親しみ愛着を持つことで、命の大切さを理解できるのではないか。
動物が繁殖、生息するための環境問題などに関心を持つことにもなる。
計画では動物園を周辺の市中心市街地と連係した施設と位置づけている。
動物園の来場者は昨年4月の道の駅西山公園オープン以降、着実に増加。
動物園がまちづくりや市街地の活性化にどのような役割を果たすことができるのか。
新舎完成までに関係団体などと具体策を練る必要がある。
野生のレッサーパンダは世界に約5千〜7千匹いると推定される。
生息地の減少などから絶滅の恐れがあるとして、ワシントン条約附属書Iに掲載されている。
西山動物園は国内の動物園の中でも規模は小さいが、1985年の開園以来、レッサーパンダを飼育し、国内有数の繁殖実績を誇る。
総出産・成育数は41匹で、過去5年間では9匹。
国内では約250匹が飼育され、同動物園が所有するのは30匹。
うち22匹が県外の動物園に貸し出され、繁殖などに活躍している。
新舎完成後は展示数を増やす予定で、今後も種の保存のために大きな役割を果たしていくだろう。
2014年12月17日 福井新聞
西山動物園の拡張計画について説明する野嶋慎二教授=鯖江市役所
福井県鯖江市は、市西山動物園の拡張整備計画案を発表した。
同園北側の約900平方メートルにレッサーパンダ舎や屋外飼育場を新設し、来場者がレッサーパンダを間近でじっくり観察できるよう工夫した。
今後実施設計を行い、来年5月下旬着工、2016年4月のオープンを目指す。
計画は、市と連携協定を結んでいる福井大が合同で策定。
ことし4月から、市民参加型のワークショップなどを通して広く意見を聞き、作業を進めてきた。
総事業費は約9200万円、拡張後の動物園の総面積は約3400平方メートルになる。
レッサーパンダ舎にはガラス張りの屋内飼育舎、生態を学べるパネルや映像を展示するギャラリー、来場者が休憩するラウンジなどを設ける。
「人間がレッサーパンダの家にお邪魔する」がコンセプトで、屋内飼育舎の中に見学コースを設置。ギャラリー内で、出産の様子をライブカメラで中継することなども検討している。
屋外飼育場は3カ所ある。
レッサーパンダが自然の中で暮らす様子をイメージし、動物園の周囲に広がる緑豊かな山々の風景と溶け合うように配置した。
さらに、西山公園内の展望台やパンダランドにつながる遊歩道を新設し、公園全体の回遊性を高める。
設計を担当した同大の野嶋慎二教授は「単なる動物園でなく、市民にとって居心地がいい場所になるよう配慮した」と話す。
市都市計画課の渡辺俊之課長は「一休みの場、交流の場、環境教育の場として、より多くの市民に親しんでもらえるようになるのでは」と期待を寄せていた。