犬が「ポチ」と呼ばれるルーツは?
2015年2月28日 しらべぇ
「犬の名前」と言ったら、どのような名前を思い浮かべるだろうか。
ある調査によれば、2014年の犬の名前ランキング第1位は4年連続「ココ」。
続いて、第2位は「チョコ」、第3位以下は僅差で「マロン」「モモ」「モコ」が続くという。
(アニコム損害保険株式会社調べ/2014年)
しかしどういうわけか、「犬の名前といったらポチ」というイメージが強いのではないだろうか。
一体、いつから犬は「ポチ」と呼ばれるようになったのだろうか。
■「犬」=「ポチ」と呼ばれるようになったのは、聞き間違いから?
語源を調べてみると、そのルーツは、明治時代まで遡ることができるという。
有力な説は2つ存在する。
①英語の「spotty」(=スポッティ)語源説
「スポッティ」とは「斑点のある」「まだら」の意味。
子音の「s」は強く発音されないため、日本人の耳には「ポッティ」と聞こえたのかもしれない。
②フランス語の「petit」(=プチ)語源説
「プチ」とは「小さい」「可愛らしい」の意味。フランス人宣教師が自身の子犬をこう呼びかけていたという。
今となってはどちらが正しいかは不明だが、西洋人が犬に向かって呼びかけるのを、日本人が「(外国では犬をポチというのか・・・)」と聞き間違えたのが、「犬」=「ポチ」となったきっかけのようだ。
「自分の犬にもオシャレな西洋風の名前を付けたい!」と思った日本人が自身の犬を「ポチや、ポチや」と呼びかけるようになり、明治期から日本中に広まったのだろう。
■あれ?でも、「花咲か爺さん」の犬の名前ってポチじゃなかったっけ?
意外なことに「ポチ」という言葉の起源は外国語にあるらしい。
しかし、「そんなはずはない!花咲かじいさんの犬は、ポチじゃないか!」と反論したくなる者も多いことだろう。
そこでさらに調べてみると、もともと各地に残る「灰まき爺」「がん取り爺」などといった民話を素に、江戸時代頃に童話化された作品であるが、「犬には名前が付けられていなかった」ようだ。
つけられている話では「シロ」という名で呼ばれていたが、1901年に、田村虎蔵氏作曲、石原和三郎氏作詞で童謡「花咲かじいさん」が作られた時、犬の名前に、当時大流行していた「ポチ」という名が採用されたのだという。
“裏の畑でポチが鳴く 正直じいさん掘ったれば 大判小判がザックザク”
ちなみに、この歌を作曲した石原氏は、その他にも「もしもしカメよカメさんよ」の『兎と亀』の他、『金太郎』の作詞も手がけた、童謡作詞の大家。
彼の作詞によって、「日本の犬といえばポチ」というイメージが浸透したのかもしれない。
(文/しらべぇ編集部・アサトー)