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2.22は「猫の日」

2.22は「猫の日」〜猫の寿命30年に? 課題山積みの未来〜

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きょう2月22日は「猫の日」。
コロナ禍で在宅時間が増え、癒やしを求めて新しく猫を飼う人が増えている。
しかし、多頭飼育崩壊や飼育放棄といったさまざまな理由により、年間約2万頭の猫が殺処分されているのが現実だ(※)。
その一方で、明るいニュースも。
これまで対症療法しかなかった猫の腎不全の薬が研究開発され、早ければ2023年にも猫用医薬品として国の承認を目指している。
この"猫の宿命"ともいうべき腎不全の薬が実際に使われるようになれば、寿命が30年になるともいわれている。
猫と私たちのより良い未来のために、何ができるのか考えてみたい。
(監修:獣医師・石井万寿美、デザイン&イラスト:オザワタクヤ、取材・文:Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
※ 環境省統計資料から

◆猫は安らぎと癒やしを与えてくれる
かわいい見た目やしぐさ、自由奔放な性格......そこにいるだけで安らぎを与えてくれる猫。
最近では猫に顔をうずめてにおいを嗅ぐ「猫吸い」なる言葉も生まれ、フワフワの毛や日だまりの香りに癒やされるという飼い主の声も。

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「猫吸い」するときは猫のご機嫌を伺ってからにしよう

獣医師の石井万寿美さんは、「動物とスキンシップをすると脳内に『愛情ホルモン』と呼ばれる『オキシトシン』が分泌されるといわれています。
オキシトシンは、ストレスや不安を軽減する作用があると考えられています」と話す。

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肉球のにおいを嗅ぐのが好きというマニアックな「猫吸い」派も

「猫は立体的な動きをしたり、ユニークなポーズを取ったりするので、写真や動画を撮るのにも向いていて、SNSの時代に支持されやすいのかもしれませんね」(獣医師・石井万寿美さん)

◆コロナ禍で増えた新規の猫の飼育頭数
ペットフード協会によると、猫の推計飼育頭数は2014年から8年連続で犬を上回っている。
なぜ猫が選ばれるのか?
その理由について、獣医師の石井万寿美さんは、「ペットを飼うことは責任も伴い、決して楽なものではありませんが、猫は犬に比べて飼いやすいというのもあるのでは」と言う。
「散歩の必要もなく、迎え入れる選択肢として保護猫のほか野良猫からという方法もあります。また、大型犬などに比べた場合、餌代や医療費などもかかりにくいという経済的側面も考えられます」。

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(出典)ペットフード協会「全国犬猫飼育実態調査」

コロナ禍前の19年と比べて、新しく飼い始められた猫の数(新規飼育頭数)は、20年は117%、21年は124%となっている。ペットフード協会は「コロナがペットを飼うきっかけになっていることがうかがえる」と分析。

◆年間約2万頭近くの猫が殺処分に
環境省によると猫の殺処分数は、令和2年度は1万9705頭で、うち1万3030頭が幼齢(主に離乳していない)の猫になる。
グラフを見ると、年々減っているように見える。
しかし、この数字にはカラクリがあるという見方も。
例えば2016年に「動物の殺処分ゼロ」を打ち出した東京都では「※譲渡可能な犬猫」というただし書きがされ、2018年度に「ゼロ」を実現。
しかし、保健所が受け入れを断ることができるようになったのに加え、攻撃性が強く譲渡が困難であったり、事故負傷や衰弱、病気などで譲渡できずに亡くなったりした犬や猫は、殺処分の数字に含まれておらず、146頭の犬猫が殺処分された(※)のが実態だ。
※東京都福祉保健局の資料から

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(出典)環境省 自然環境局 総務課 動物愛護管理室

◆コロナ禍の保護猫活動は?
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NPO法人東京キャットガーディアン/国内最大級の猫シェルター。
常設の譲渡会場(保護猫カフェ)の運営を通じて、行き場のない猫たちに新しい家族を見つける活動を続けている。
活動開始の2008年から14年間で8000頭以上を譲渡。
飼い主の飼育放棄や多頭飼育崩壊、不妊去勢手術なしでの屋外飼いによる過剰繁殖など、さまざまな要因で見捨てられた猫たち。
その猫たちを保護・ケアし、新しい飼い主につなげる保護猫活動がある。
最近では保護猫を家に迎え入れるのを選択肢の一つにすることも一般的になってきた。
コロナ禍で、保護猫を取り巻く環境に変化はあったのか、猫の保護活動団体「東京キャットガーディアン」代表の山本葉子さんに伺った。

◆コロナ禍で増えた里親希望と変化した相談内容
コロナ以前と比べて、保護する猫の数は月におよそ60頭とこれまでと変わっていませんが、リモートワークやステイホームの影響で、里親希望の方は増えています。
保護する猫というよりも、保護する猫のご家庭の状況が若干変わってきていて、「経済的な理由で転居の必要があり、ペットを飼えなくなった」という相談が増えてきています。
一方でメディアなどでは「コロナで"衝動飼い"をする人が増えた」と報じられていますが、当団体ではこれまで猫を飼いたかった潜在層の人たちの条件がそろったため、意を決して里親を申し出るという方が多いように思います。

◆相次いだ譲渡会の中止や縮小
まん延防止等重点措置や緊急事態宣言下で活動をしていいのか、大変悩みました。
しかし、行政の保証もないなかで、次々と預けられる猫の命やスタッフの生活もかかっているので止めることはできません。
これまでと同様に十分に対策を取りながら、譲渡会場「保護猫カフェ」や地域猫のための不妊去勢手術専門「そとねこ病院」の運営などを続けています。
一方で、常設の譲渡会場を持たない多くの団体や個人の方は、譲渡会頼みで保護活動されているため、この2年間、譲渡会の中止や縮小が多くあり、非常に厳しい状態にあります。

◆飼うだけじゃない猫のためにできること
猫を飼えないという人にも身近にできることはたくさんあります。
ボランティア活動や募金、最近ではいろいろな方が保護猫を扱うYouTubeチャンネルを開設しているので、動画を見てチャンネル登録したりシェアしたりするのも良いと思います。
募金は、"実動している団体"を支援してほしいです。
たったいま猫を助けている団体、保護する場所を持ち、費用をかけて、譲渡実績があってと、寄付サイトやホームページで実績の数字を明記しているかどうか見て判断していただきたいです。
なかなか動物愛護には出てこない言葉ですが、費用対効果の良い団体を選び、近ければボランティアに行くでも、ほんの少しのご寄付でもとても助かるはずです。

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開放型シェルターは、譲渡会場・保護猫カフェ・猫関連グッズのショップの機能を兼ねている(写真提供:東京キャットガーディアン)

寄付で活動を応援する NPO法人東京キャットガーディアン

◆教えて!猫のことQ&A
猫のまわりの法制や健康事情なども日々変化している。
そこで、代表的なギモンについて、獣医師の石井万寿美さんに聞いた。

猫 マイクロチップが義務化されるよ。痛みや装着による副作用はないの?
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石井さん
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今年6月から改正動物愛護法が施行され、マイクロチップの装着が義務化されます。
大きな針で注射するようなものなので少しの痛みはあります。
痛みを感じにくい子猫の時期か不妊去勢手術のタイミングで装着するのがおすすめです。
装着が原因と考えられる副作用は、現時点では報告されていません。

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チップに登録した情報により、迷子や災害などで飼い主と離れてしまったときに判別しやすくなる。
また、安易な遺棄の防止にもなると期待されている。

猫 猫も新型コロナウイルスにかかるの?
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石井さん
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新型コロナウイルスに関して、猫では呼吸器・消化器に症状があったとの報告があります。
猫は、新型コロナウイルスの感受性が他の動物種よりも高いとの報告があり、実験室内での感染実験では、猫が他の猫に感染させうるという結果が報告されています。
動物からヒトへ、ヒトから動物への感染症予防のため、動 物との過度な接触は控えるとともに、普段から動物に接触する前後で、手洗いや手指用アルコールでの消毒等を行うようにしてください。
また、猫の世界には前からあったコロナウイルス感染症があり、主に下痢などの消化器系の症状が出ます。
これは変異して猫伝染性腹膜炎になることも。
こちらは猫同士、猫のフンから感染しますが、ヒトには感染しません。

猫 猫の腎不全の薬が使われるようになったら猫の寿命が延びるってホント?
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石井さん
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ネコ科の動物は、他の動物に比べて慢性腎不全になりやすく、10歳を過ぎると多くの猫が発病し、命の危険にさらされることも。
それを予防する薬が昨年、東京大学の宮崎徹教授の研究により開発されました。
実際に使用できるようになるのはもう少し先になりそうですが、そうなると猫の平均寿命15年が30年になる未来が訪れるかもしれませんね。
(※治療薬に関する詳細は後述)

◆「猫とひとの幸せな未来のために」
猫を取り巻く環境は、医療の分野でも日々進化している。
猫と私たちがともに幸せに暮らすための課題について、獣医師の石井万寿美さんに聞いた。

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まねき猫ホスピタル院長・獣医師・作家
酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらのがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。『動物のお医者さんになりたい』シリーズ(コスモヒルズ)、『ますみ先生のにゃるほどジャーナル動物のお医者さんの365日』(青土社)など著書多数。

猫の平均寿命は、この30年間で10年延び、現在は15.66歳となっています(※1)。
1990年代は、交通事故や猫同士のけんか、感染症により命を落とす猫が多くいました。
その後、室内飼いが主流となり、ワクチン接種をする飼い主も増えたため、上記の理由で亡くなる猫は減りました。
ただ、野良猫の平均寿命は3、4年と変化はありません。
2000年代に入ると、今度は慢性腎不全やがん、心臓病などの病気が原因で亡くなる猫が増えました。
そんななか、東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センターの宮崎徹教授が、猫の腎不全の治療薬AIM(※2)を研究開発されていると話題になりました。
コロナ禍による研究費不足に陥り、一時は開発の中断を余儀なくされたもののクラウドファンディングで2億円超集まったというニュースは記憶に新しいと思います。
猫は10歳を過ぎると慢性腎不全になりやすいのですが、AIMを投与することで腎臓病になりにくくなります。
今年の3月にはAIMの働きを助けるアミノ酸が入った一般食のキャットフード(処方食ではない)の販売が開始され、やがて注射なども開発される予定です。
費用面などの課題はまだありますが、腎不全が予防できるようになれば、今後、猫の平均寿命はさらに延びていくと考えられます。
その一方で、猫が長寿になれば、がんや心臓病、そして老化による認知症や甲状腺機能亢進(こうしん)症、飼い主と猫の「老々介護」など、また別の問題も出てくるでしょう。
猫も人間と同じで、老いも病気もあります。
猫を飼う際は、ペット保険の加入など備えを万全にし、猫の特性などをよく理解したうえで一生を添い遂げる家族として迎え入れてほしいですね。
※1 ペットフード協会調べ
※2 腎不全は、糸球体にたくさんのゴミ(老廃物)がたまり、それが詰まって腎臓が機能しなくなる病気。AIMは動物の血液中にあるタンパク質で、ゴミにマーキングをしてそのゴミを食べる役割を持った細胞マクロファージにゴミのありかを知らせることができる。ネコ科の動物はもともとこのゴミのありかがわかりにくく、結果として慢性腎不全に陥る。治療薬は、AIMを猫に投与することでマクロファージを機能させて腎不全を防ぐというもの。

◆いまどんな気持ち?猫のしぐさあるある
感情表現が豊かな猫は、しぐさで飼い主に気持ちを伝える。
たまに見かけるあのしぐさ、一体どんな意味があるのか?

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「2/22 猫の日小さな命を救うために」特設ページはこちら


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