保護犬ラッキーと過ごした10年
滋賀の71歳、リハビリ支えられ最後はみとり
2022年11月8日(火)
譲渡を受けた保護犬との10年間をつづった本を滋賀県甲賀市の岡村喜造さん(71)が自費出版した。
犬が生活にもたらした喜びを通じて、飼育する犬や猫に責任を持つことや、高齢化したペットとの向き合い方を伝えている。
愛犬の介護経験などをつづった岡村さん(滋賀県甲賀市役所)
岡村さんは特別支援学校を退職後の2011年、軽度の認知症となった母親のセラピードッグとして、県動物保護管理センター(湖南市)で推定5歳のラブラドルレトリバー系雑種犬の譲渡を受けた。
ラッキーと名付けた。
執筆した「愛犬ラッキーの生涯」では、譲渡時のセンターとのやりとりから、岡村さん自身が脳梗塞になり、愛犬との散歩がリハビリになるなど回復の支えになったことや、訓練と5度の試験を通じて災害救助犬に認定されたことをつづる。
老犬となり寝たきりとなったラッキーの介護の様子には本の総ページの半分近くを割いた。
床ずれを防ぐため人間と同じように姿勢転換をしたり、背中や足をマッサージしたりするなど愛情を持って接した約1年の思い出を記録した。
岡村さんは市教育委員会を通じ、市内の小中学校などに自著を寄付した。
「犬や猫も人間同様に生きており、楽しい時間が続いても一緒にいられる時間は徐々に少なくなる。本を通じ、子供たちに命の大切さを感じてもらえたら」と話す。
四六判、143ページ。
残部があり、希望者に無償で譲渡する。
【愛犬ラッキーの生涯】
保護された犬が災害救助犬になった!
岡村喜造 (おかむらよしぞう)
保護犬だったラッキーとのかけがえのない日々と永遠の別れ。
犬がもたらす幸福を記す。
著者はラッキーを家に迎え、あるとき思い立って災害救助犬の試験に挑戦させます。
そこにはラッキーを捨てた元飼い主に「こんな賢い犬になったぞ、こんなに素晴らしい犬をあなたたちは捨てたのだ」と言ってやりたい気持ちがありました。
ラッキーは見事合格。その後も最期まで著者と幸せな日々を共にします。
ラッキーの雄姿を残すために。
そして、1匹でも多くの保護犬が幸せになるよう、祈りを込めて。
出版社名:文芸社
著者名:岡村喜造(著)
定価:1,100円 (本体 1,000円)
判型:四六並
ページ数:144
発刊日:2022/08/15
ISBN:978-4-286-23446-5