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保護猫の命つなぐ「一時預かり」

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保護猫の命つなぐ「一時預かり」
 高齢飼い主に“保証人”の仕組みも…
  保護ボランティアの負担解消へ【広島発】

2022年10月12日(水)  

「保護猫の預かりボランティア」を知っているだろうか?
今、この取り組みが命を守る大切な役割を担っている。

◆猫アレルギーで長期に飼えない人も
コロナ禍で在宅時間が長くなり、ペットと人との関係が深くなった一方、ペットを飼いたくても飼えない人もいる。
広島市に住む坂下恵都子さんも、そんな事情を抱えた1人だ。
坂下恵都子さん:私と長女に猫のアレルギーがあります。だから、猫を長期間飼うことはできません。
それでも猫好きの恵都子さんには「猫を飼いたい。子どもたちにも動物と触れ合ってほしい」という思いがずっとあった。
恵都子さんの願いをかなえたのは、同じく猫好きの夫・泰靖さん。
泰靖さんが「保護猫の預かりボランティア」を見つけ、恵都子さんにすすめた。
坂下家に待望の子猫がやってきたのだ。
坂下恵都子さん: 一生、猫は飼えないと思っていたのですが、「猫の預かりボランティアがあるよ」と主人に言われた時、これはチャンスかもしれないと思いました。
増加する保護猫には、短期間でも預かってくれるボランティアが必要。
坂下家にやってきた2匹の子猫は「預かりボランティア」の濱里真由美さんから届けられた。
預かりボランティア・濱里真由美さん: いろいろな環境に順応できる方が、子猫たちが将来、誰かに引き取られる時のためにもいいのかなという気はしています。
坂下恵都子さん: 預かり飼育の期間は3~4日から長くて2週間です。我が家は2週間が限度かなと思っています。短期間でも猫を預かれることは、私たち家族にとってもメリットです。3日でもいいから猫と一緒に暮らしたい…その夢がかなったのでありがたいです。
動物の命を守り、自分たちの暮らしも豊かになる…。それこそが目指す理想のカタチだ。

◆年齢のハードルを下げる「猫の保証人」
広島県呉市に住む車地かほりさんは、子どもの頃から猫が大好きで、ずっと保護猫を飼ってきた。
3匹目の保護猫・ジョジョは人に対する警戒心が非常に強く、車地さん以外の人の前には姿を見せない。
このジョジョを飼おうとした時、車地さんには”年齢”というハードルがあった。
保護猫を飼うにはさまざまな条件をクリアしなければならない。
車地さんは、保護ボランティアの人を「保証人」にして猫の飼育ができるようになった。
車地かほりさん: 万一、私がジョジョを飼えなくなった時には保証人になっていただけるということで…
保護ボランティア・明東佐知さん: 特に65歳以上の方が飼う猫には、飼い主に何かあった時のために保証人が付くことがあります。ジョジョは私たち近所の者が縁あって捕獲したので、私が保証人になって、車地さんが飼えなくなった時にはジョジョを引き受けようと思っています。
しかし、車地さんはこの状況を少し疑問に思うという。
車地かほりさん: 老人と犬や猫はすごく相性がいいんですよ。動物セラピーがあるぐらいでね。今は1人暮らしの年寄りがすごく多い。猫の里親を探すのも大変な中で、もう少し柔軟に考えて組み合わせができたら身寄りのない犬や猫も助かるし、年寄りもさみしさが紛れると思います。
一時的にでも保護猫を預かってくれる人は、まだ少ないのが現状。
保護ボランティアの明東さんは「声がかかったら私たちは猫を捕獲しに行き、できれば譲渡までこぎつける。その間、捕獲した猫を一時的に預かってくれる人を探すのにいつも困っています」と話す。
動物の命を救うために切実な問題だ。

◆保護ボランティアだけでは飽和状態に
猫を保護する人、一時的に預かる人、行き場のない猫を飼う人…。
命を守ろうとしている人たちの間をつなぐ役割をしているグループがある。
ワンミャツダクラブ 代表幹事・荷堂美紀さん: 保護ボランティア、里親候補、一時預かりの人は、できること・できないことがそれぞれ違う。みんなのピースをどのように合わせれば1匹を救っていけるか。ピースをつないでいくことを私たちのクラブがサポートしたいと思っています。
かつて、広島県は犬と猫の殺処分数が国内最多を記録。
2011年度には犬だけで2342匹が殺処分された。
2016年の殺処分ゼロを目指した行政と動物愛護団体などの取り組みによって、現在は大幅に減少している。
しかし、保護される犬や猫が減っているわけではない。
動物を保護する施設にも限界がある。
あふれた犬や猫たちは、動物愛護団体やボランティアのもとで育てられているのが現実だ。
保護ボランティアの明東さんは「多い人は1軒に20匹や30匹、自費で家を改装し猫を預かっている状態です。ボランティアが協力し合って何とか回しているというのが現状」だと話す。
2021年度、広島県内で殺処分された猫は22匹だった。
”殺処分ゼロ”を掲げる一方で現実に起こっている問題がある。
保護ボランティア・明東佐知さん: 飽和寸前の状態の所はたくさんあります。私たちが知っている保護ボランティアの方には「一時預かりさんの所が空いたのでどうですか」となるべく声をかけていますが…
ワンミャツダクラブ 代表幹事・荷堂美紀さん: 保護ボランティアの方に負担がかかる形で成り立っています。ある程度、行政にも入ってもらい、ボランティアと行政が連携しながら猫を保護するシステムが整っていくと、より良いのではないかと感じます。
SDGsの「住み続けられる街づくり」に、今や”飼い猫”の存在は欠かせない。
高齢者でも容易に猫を飼える包摂的な社会の実現。
そのためには、動物保護ボランティアの負担を減らす官民のパートナーシップが求められている。

【画像】「ずっと夢だった」子猫を預かる猫アレルギーの家族

(テレビ新広島)


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