獣医師免許を持たずに、犬へマイクロチップ装着 ブリーダーの男を書類送検
獣医師以外が行う危険性は
2022年8月2日(火)
犬へのマイクロチップの装着を、獣医師の免許を持たないのに行ったとして、獣医師法違反の疑いでブリーダーの男が書類送検されました。
マイクロチップの装着は法改正で、今年6月から新たに義務づけられたばかりですが、事件の背景には、何があったのでしょうか。
大阪府泉佐野市のブリーダー井原渉被告は、柴犬を輸出する際、ニセの健康診断証明書を動物検疫所に提出した偽造有印私文書行使の罪で今年6月、起訴されていました。
そして2日、新たに獣医師の免許を持たないにもかかわらず、輸出する犬7匹にマイクロチップの装着手術を行っていた獣医師法違反の疑いで書類送検されました。
マイクロチップの装着を獣医師以外が行う危険性とは-。
読売テレビ
埼玉県上里町にある、関東ペットパーク。
ここでは、全国各地のブリーダーが、毎回800匹前後の犬や猫を持ち寄り、ペットショップが買い取るオークションが行われています。
ここで、出品前の犬や猫に行われているのが、獣医師によるマイクロチップの装着です。
獣医師「これくらい小さな子であると、針で傷つけないように丁寧に入れていくことが必要になってきます」
長さ、約1センチほどのマイクロチップは、今年の6月から、動物愛護法の改正により、販売する犬や猫への装着が義務付けられました。
獣医師「肩甲骨間を掴むように皮膚をあげて…(打つ)こうやって読むような形で番号が読める環境省のシステムに登録すれば、どういった動物なのか、誰が所有しているものなのか、などが分かります」
マイクロチップには、15桁の個体識別番号が記録され、迷子として保護された際に、飼い主の早期発見につながるほか、安易な飼育放棄の抑制につながると期待されています。
一方、業界団体の会長は、適切な知識をもたずにマイクロチップの装着を行えば、事故につながる危険性があると指摘します。
ペットパーク流通協会・上原勝三会長「結構ミスがあるんですよね。これもそうなんですけど、これは施術を失敗すると、こういうことになっちゃうんですよ」
5年前に撮影された、こちらの動画。
箱の中で苦しそうに泣き叫ぶ犬は、マイクロチップの装着ミスで神経障害になったといいます。
上原会長「これがマイクロチップなんですよね。首のところ、頸椎に入っちゃっているじゃないですか。ワンちゃんが急に体や首を上げたりすると、こういう事故があるんです」
こうした事故を防ぐためにも、マイクロチップの装着は、正しい知識をもった獣医師が行う必要があり、このオークション会場では事故が起きないよう、法改正に備え1年半にわたり研修を重ねました。
一方、業界内では、ブリーダーによる不正装着が横行していたといいます。
上原会長「みなさん、本当に麻酔もないから簡単に思っているんですけど、意外と簡単にマイクロチップが手に入っちゃって、医療行為なんだと思っていないかもしれませんね。そこは今後の啓もう活動でしょうね」
警察の調べに対し、井原被告は、不正装着を認めた上で-。
井原被告「失敗したこともある。ブリーダー業界では、経費負担を軽くするために横行している」
警察は、井原被告が、これまで約170匹の犬に、自らマイクロチップを打ち込み、50万円ほどの経費を浮かせていたとみて調べています。
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