『供血犬』とは?実は犬も輸血ボランティアができるって知ってた?
2022年4月13日(水)
輸血が必要な場面とは
輸血が必要なイメージというと、手術や、交通事故などを想像されるのはないでしょうか。
もちろん、そういった大量出血のケースでも必要ですが、実際に獣医さんに話を聞いてみると、「貧血の犬」に輸血が必要なケースが多いとのことでした。
献血、血液バンクなどはあるのか
日本では、まだ動物医療における献血システムや血液バンクは確立されていません。
海外では血液バンクが広まりつつあるペットの献血ですが、日本においてはまだ認知度が低く、施設やドナーが不足しています。
採取した血液を自分の病院で投与するのは問題ありません。
しかし、犬の血液は長期保存ができない他、農林水産省によると採血したものをほかの動物病院などの施設に供給する際には、血液の安全性や品質などを確認した上、国の承認を受ける必要があるということです。
また、日本では小型犬の飼育頭数が多く、供血犬になりうる大型犬の飼育頭数が少ないことも血液不足の一因になっているとの見方もありました。
うちの子も献血ボランティアに
「うちの子も献血して困っている子の力になりたい!」と思った方もいらっしゃるでしょう。
でも、供血犬ボランティアになるにはいくつかの条件を満たす必要があります。
動物病院によってそれぞれにルールが異なるため、詳しくはかかりつけの動物病院へご相談いただくことになりますが、主に以下のようなものが挙げられます。
≪例≫
✔1~8歳程度の健康な成犬
✔中型~大型犬(10キロ、または15キロ以上)
✔混合ワクチン、狂犬病予防接種済み
✔フィラリアノミダニ予防済み
✔血液に寄生虫がいない
✔血液の病気がない
✔避妊手術済の女の子(妊娠出産歴なし)
✔交配未経験の男の子
✔過去に輸血を受けた経験がない
✔血液型のマッチングをクリアする
✔麻酔をかけなくても、おとなしく採血ができる
供血犬ボランティアが実際にすること
さて、気になる血液量についてもここで触れたいと思います。
供血犬の体重1キロあたり20CCが、1回の輸血の目安とされていますが、実際には犬の大きさや状態によって変動します。
動物病院によっては患者様にボランティアで献血のためのドナー登録を行ってもらい、供血犬として協力してもらっているところもあります。
「うちの子も献血ボランティアができるかも」という飼い主さんは、ぜひ、かかりつけの動物病院に相談してみてください。
愛犬の血液型を知っていますか?
詳しいことはまた別の機会にするとし、簡単に犬の血液型についてお話しします。
人の場合はABO式で血液を分類しますが、犬ではDEA(Dog Erythrocyte Antigen)式による分類が多く用いられます。
国際的に認知されているのは、DEA1.1、1.2、3、4、5、6、7、8型の8種類ですが、13種類あるという研究結果も。
また、人の場合は1人ひとつの血液型を持っていますが、犬は1頭につきDEA1.1型と6型と7型など、複数の血液型が組み合わさっていることがあります。
あらかじめ愛犬の血液型がわかっていれば、いざというときの輸血の助けにもなるので、万が一に備えて血液型を調べておくと良いですね。
まとめ
犬の血液は長期保存ができないという背景から、輸血が必要なときにドナー登録している犬を呼び、その場で献血してもらうケースが一般的です。
しかし、飼い主さん自身で輸血可能な献血犬を探さなければならないケースもあります。
そうした非常時のために供血犬ボランティアの輪を広げ、助け合いの仕組みが広がる、優しい社会がつくられることを願っています。
(獣医師監修:平松育子)