「一匹でも多くの命助けたい」ペットショップの新たな挑戦
2022年3月29日(火) テレビ高知
高知県南国市のペットショップが犬と猫の展示販売をやめ、保護犬・保護猫の『譲渡』を応援するスペースをオープンしました。
「一匹でも多くの命を救いたい」。
動物と笑って暮らせる未来を思い描いた、大勢の人の『熱意』が大きな一歩を後押ししました。
南国市にある「アシスト南国」。
ペットグッズの販売やドッグランの開放などを行い地元住民からも親しまれるペットショップです。
4年前から力を入れ始めた活動があります。
保護犬・保護猫の『譲渡会』です。
『犬や猫の命を救う手助けになれば』と、動物愛護団体が行う譲渡会の場所を提供。
新しい家族との出会いを支えてきた一方、気温や天候に左右される屋外での譲渡会も目にし、もどかしさも感じてきました。
「夏の暑さや冬の寒い時期になるとどうしても動物やボランティアさんに負担が掛かるので大変でした。一匹、譲渡が決まることで大喜びしているボランティアさんを見ると、『自分たちももっと前に進んだ協力ができないか』と感じるようになりました」(アシスト南国 店長 前田英良さん)
雨の日も、風の日も、動物たちのために活動する『熱意』に心を打たれ、ペットショップであるアシスト南国は大きく舵を切ることになりました。
16年前の開店当初から行っていた犬や猫の展示販売を、今年1月で終了。
新たに、保護犬・保護猫の譲渡の場として活用する、『OUEN SPACE』を今月13日にオープンさせました。
「こちらの猫、実は保護ネコなんです。この場は、犬猫と新しい飼い主とをつなぐ場として活用されているんです」(三上萌々アナウンサー)
現在はこの場所を活用して動物愛護団体が365日、毎日譲渡会を開いています。
「動物たちにストレスがあまり掛からない環境にしたかったので、部屋のような形で生き生きとした動物たちを見てもらいたいと。1つでも多くのいいご縁を繋ぎたいと考えてつくりました」(アシスト南国 店長 前田英良さん)
(Q.譲渡会スペースの提供について)
「本当にびっくりする画期的なことでリスクも多い中での決断だと思うので本当に有難い。動物が幸せだということは人間も幸せだと思うので、それを目指して動物の命を大切にして、みんなで温かい社会にしていけたら」
(譲渡会を開催 アニマルサポート高知家 理事長 吉本由美さん)
県によりますと県内では、飼育崩壊や病気などが原因で捨てられた保護猫のうちおよそ300匹が、今でも処分されています。
しかし、20年前と比べると、保護される犬、猫の数自体が大幅に減少していて、特に、犬に関してはおととし10月以降、殺処分はされていません。
県は『譲渡』が広がっていることが要因と捉えています。
加えて、コロナ禍で新たな家族を迎えたいという人が増えたことも、処分の減少を後押ししているといいます。
今月23日、『OUEN SPACE』で行われた譲渡会には、平日にもかかわらず絶えず親子連れの姿がありました。
こちらのチワワのハルくんは、車の中で飼われていたところを保護されました。
「飼い主が亡くなってしまって、車の中に取り残されて、保健所に入る前日に保護された。怒っちゅう・・言われん。もう13歳なのでゆっくり老後生活を過ごしてもらえたら」(動物愛護団体メンバー)
譲渡会には、平日はおよそ80人、土日は多い時で200人が訪れると言います。
「まるこちゃんとはなこちゃんが 可愛いから飼いたい!」(利用した親子)
「『保護されている犬や猫はもしかしたらこのまま亡くなる かも分からない』、『1つの命を救えたら』、『その手助けがちょっとでもできたら』と子どもに伝えた。分かってくれたらいいなと思う」(利用した親子)
「動物が幸せだということは人間も幸せだと思うので、それを目指して動物の命を大切にして、みんなで温かい社会にしていけたら」(譲渡会を開催 アニマルサポート高知家 理事長 吉本由美さん)
「実際利益面では大変なところは ありますけれども・・・犬や猫を見て笑顔になるというのは『元気をもらっている』こと。そのお返しをちゃんとお世話をすることで動物たちに返していく。これが『共存』だと思う。最終的には譲渡会のスペースに動物が来なくてよくなる、『保護される子がいなくなる』状態をつくっていきたい」(アシスト南国 店長 前田英良さん)
「一匹でも多くの命を救いたい」。
大きな一歩を踏み出したペットショップの挑戦は、まだ、はじまったばかりです。
その思いはいま、確かに広がり、大勢の人が、『動物と共に笑って暮らせる未来』を思い描いています。