自分を成長させてくれた猫に心から感謝!
映画『ボブという名の猫2 幸せのギフト』
2022年3月4日(金) sippo(朝日新聞社)
茶トラ猫のボブと青年ジェームズの心温まる名コンビが、再びスクリーンに帰ってきました!
2016年に製作された前作『ボブという名の猫 幸せのハイタッチ』は、今もなお世界中で愛され続ける猫映画の名作ですが、続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』も、観る人たちに特別なギフトを与えてくれるような珠玉の1作となりました。
(c)2020 A GIFT FROM BOB PRODUCTION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
◆実話に基づいた猫と青年の友情物語
前作では、ストリート・ミュージシャンとして生計を立てていた孤独なホームレスの青年ジェームズが、野良猫のボブと出会ったことで、薬物依存を乗り越え、生きる希望を見いだしていく様が描かれました。
なんと本作、実話に基づいた物語なのです。
原作は、ジェームズ・ボーエンが自らの体験をつづったノンフィクション「ボブという名のストリート・キャット」で、世界30カ国以上で出版され、大いに反響を呼びました。
映画に出演しているのは、実在のボブで、2017年には親日家のジェームズが、ボブと一緒にキャンペーンでの来日を果たしています。
続編『ボブという名の猫2 幸せのギフト』の原作は、後に出版された「ボブが残してくれた最高のギフト」と「ボブが教えてくれたこと」で、こちらもクリスマスに起こった驚くべき実話をつづったものです。
もちろん、主演のルーク・トレッダウェイとボブ本人も続投しました。
ちなみに、前作から4歳年を重ねたボブは、入念なメディカルチェックを受けてから撮影に入ったそうですが、もはや堂に入った存在感を発揮していて、ルークとの息の合ったバディぶりが最高です。
◆失意のどん底にあったクリスマス
しがないホームレスのミュージシャンから、一躍ベストセラー作家となったジェームズ。
彼が、あるホームレスの青年を助けたことで、人生のどん底にいた数年前のクリスマスシーズンを振り返っていきます。
ジェームズは、日々プリベイド式のガスメーターの残高を気にしながら、雑誌「ビッグイシュー」を販売し、路上演奏をしながら、日銭を稼いでいました。
ボブはすっかり町の人気者となり、ファンの人から毛糸のサンタ服もプレゼントされています。
ところがある日、ジェームズはかつてのジャンキー仲間から乱暴され、ギターを壊されてしまいます。
また、寒空のなかで帰宅すると、ガスメーターが切れていて、冷蔵庫内の食べ物がすべて傷んでいて大ショック!
さらにボブが、ゴミ箱に捨てたはずの腐ったチキンを食べたことで、食中毒になってしまい、踏んだり蹴ったり状態です。
揚げ句の果てにジェームズは、動物福祉担当職員から目を付けられてしまいました。
◆誠実なジェームズに起きた奇跡
ボブの定位置といえばジェームズの肩で、見るからに居心地が良さそうなのですが、動物福祉担当職員は、そのことをうたぐっているようです。
このままいけば、ジェームズとボブは引き離されることになりそうですが、実はジェームズ自身も、貧しい暮らしが続くなかで、果たしてボブは、自分と一緒にいて幸せなのだろうか?と自問自答していました。
それは、ジェームズは常にボブのためを思って動いていて、ボブの幸せを最優先しているから。
そして、2人が一緒にいるシーンを見るかぎり、ボブも同じ思いでいるのではないかと思わずにはいられません。
ジェームズは「ボブは僕を成長させてくれる」と、心から感謝もしているようです。
ジェームズの知人たちは、ジェームズが毎日、ボブに「一緒に行く?」と聞いてから、町に連れ出していることをよく知っています。
なかには「あの“2人”を引き離すなんてありえない」と、ボブとジェームズが三銃士ならぬ“二銃士”に例える声も挙がりました。
また、ジェームズはボブに対してだけではなく、常にすべての人に対して、温かく接してきました。
彼は困っている人には必ず声をかけられる心の美しい青年で、だからこそ後半で、ある奇跡が起きます!
きっと誠実で優しい彼だからこそ、ボブに選ばれたと思いますし、結果として、神様からとっておきのギフトを与えられます。
さらに様々な奇跡が連鎖していき、かなり胸アツとなりそう。
また、ボブにとって何が最良の幸せなのかも、彼らの表情から伝わってきそうです。
なお、本作が撮影されたのは、2019年11月初旬から12月6日ですが、その約半年後の2020年6月15日に、ボブは天寿を全うしました。
飼い主で作家のジェームズにより、Facebookで訃報(ふほう)が伝えられましたが、ボブの死を悼んだ人々が、#RIPBob(ボブ安らかに)のハッシュタグをつけた投稿が数多く寄せられたそうです。
本作のクレジットにも「ボブの愛すべき思い出に」とありますが、ジェームズとボブの深い絆を描いた本作が、また多くの人々の琴線を揺らすことは間違いないでしょう。
世知辛い今、本作は、きっと世界中の人々の心を温めてくれるのではないかと。
そういう意味で、ぜひ多くの方に観ていただきたいです。
『ボブという名の猫2 幸せのギフト』
2月25日(金)より全国ロードショー 公式サイト:bobthecat2.jp 監督:チャールズ・マーティン・スミス 原作:ジェームズ・ボーエン「ボブが遺してくれた最高のギフト」&「ボブが教えてくれたこと」(辰巳出版) 出演:ルーク・トレッダウェイ、クリスティーナ・トンテリ=ヤング、ファルダット・シャーマ、アンナ・ウィルソン=ジョーンズほか 配給:コムストック・グループ (c) 2020 A GIFT FROM BOB PRODUCTION LTD. ALL RIGHTS RESERVED.
【動画】映画『ボブという名の猫2』メイキング映像
【動画】『ボブという名の猫2』本編映像
【動画】奇跡の実話『ボブという名の猫2』予告編
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