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ペットとの共生 「モノ」扱いはやめよう

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社説:ペットとの共生 「モノ」扱いはやめよう

2015年01月16日 毎日新聞

12万8135頭。
2013年度に全国の自治体に引き取られ、殺処分された犬と猫の総数だ。
環境省が昨年末に集計し、公表した。
前年度に比べ3万頭余り減っているものの、多くのペットの命が奪われている現実を厳粛に受け止めたい。
ペットは私たちの暮らしに喜びや潤いを与えてくれる。
犬や猫はさまざまな感情を持つ生き物だ。
にもかかわらず、「モノ」や商品として扱ってきたことが、殺処分の数に表れているのではないか。
国内のペット関連産業の市場規模は1兆円を超えるという。
飼育数は犬猫だけで2000万頭に上り、15歳未満の総人口を上回る。
少子高齢化の進展もあり、ペットをかけがえのないパートナーと考える人も増えている。
一方、飼育放棄も絶えない。
昨年は、繁殖用に大量飼育されていたとみられるチワワなど人気の小型犬が捨てられる事例が相次いだ。
まさにモノ扱いの結果である。
ペットの福祉向上に向け、13年9月に施行されたのが改正動物愛護管理法だ。
人と動物の共生する社会の実現を掲げ、飼い主には、ペットが命を終えるまで適切に飼育する「終生飼養」の責任があるとした。
自治体は所有者の求めに応じ犬や猫を引き取る義務を負っているが、ペット業者からの依頼や終生飼養の原則に反する場合は拒否できることを明文化した。
業者に対しては、犬猫の健康や安全に配慮した繁殖や展示計画を策定し、都道府県に提出することも義務付けた。
これらの施策が、犬や猫の殺処分の減少につながることは確かだろう。
だが、引き取りを断るだけでは、昨年のような犬の遺棄が繰り返されかねない。
多くの自治体は動物愛護団体などと連携し、改正法の施行前からペットの譲渡先を探してきた。
官民が連携し、そうしたペットの受け皿づくりを促進する必要がある。
飼い主の責任も重い。
かわいいからといってペットを衝動買いせず、最後まで飼育できるかどうかを冷静に考えたい。
望まない繁殖を避けるため、不妊や去勢手術を受けさせることは当然の責務だろう。
ペットの繁殖や販売、保管を行う事業所は全国に約4万ある。
中には、コストを削減しようと、ペットを劣悪な環境に置いている業者もある。
しかし、行政の監視や指導には限界があり、動物愛護団体が悪質な業者を行政に通報しても、なかなか対応が改善されないケースがあるようだ。
繁殖や展示のスペースは十分か。清潔か。販売時の説明は適切か。
消費者側がきちんと見定めることで、悪質な業者を淘汰(とうた)していきたい。
人間の身勝手な振る舞いで、生き物を不幸にしてはいけない。


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