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ピンと立った耳・輝く瞳…頬寄せて走る「山陰柴犬」

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ピンと立った耳・輝く瞳…頬寄せて走る「山陰柴犬」、かわいさにメロメロ

2021年9月19日(日) 読売新聞

昨年6月、ツイッターに1枚の写真が投稿された。
頬を寄せ合って走る2匹の子犬。
ピンと立った耳に、ガラス玉のように輝く瞳をしたその犬は、日本犬の「山陰柴犬(しばいぬ)」だ。
絶滅の危機に瀕(ひん)していたが、有志が力を合わせて繁殖に取り組み、個体数が次第に回復。
鳥取から全国に広がりつつあり、多くの人をとりこにしている。
(門前光)


読売新聞 ツイッターで話題となっている山陰柴犬の写真=豊さん提供

■絶滅の危機
山陰柴犬は、穏やかで人懐っこい性格の小型犬。
子犬の頃は丸っこくて愛らしく、成長するにつれてスリムでキリッとした顔つきになっていき、冬にはヒツジのようにモコモコとした毛が生えることもあるという。
生みの親は、鳥取県湯梨浜町宇野地区の地主だった尾崎益三さん。
昭和初期の洋犬ブームに押され、洋犬との交雑などで純粋な日本犬が減っていくことに危機感を覚えた尾崎さんが、鳥取固有の因幡犬と島根の地犬である石州犬を交配させる取り組みを始めた。
戦時中には、兵士の防寒着のために毛皮が利用されるなどしたため、終戦時には約20匹しかいなかったという。
その後、1947年に今の山陰柴犬の祖犬と呼ばれる「太刀(たち)号」が誕生。
50~60年頃に動物がかかる感染症「ジステンパー」が2度流行し、絶滅の危機に直面したが、尾崎さんらが根気強く繁殖に取り組み、血をつないできた。

■PRへ鑑賞会
山陰柴犬の魅力をPRしようと、飼い主らが2003年から「山陰柴犬鑑賞会」を開催。
翌04年には「山陰柴犬育成会」を結成して、血統や繁殖を管理するようになった。
次第に地域での認知度がアップし、保護活動も広がりを見せ、1993年には90匹程度だったが、約490匹まで増えた。
近年は繁殖が追いつかないほど人気も高まっており、現在は約20人待ちという。
以前は県内での飼育がほとんどだったが、信頼できる愛犬家に子犬を引き渡していく中で、今では東北から九州まで飼われるようになった。
育成会事務局長の松本守人さん(64)(北栄町)の自宅でも、今月上旬に子犬が6匹生まれたが、大阪や長野などの愛犬家に引き取られることが既に決まっているという。
松本さんは「一時に比べるとかなり増えたが、気を抜けばすぐにいなくなってしまう程度の数。引き続き、保護や繁殖を頑張りたい」と話す。

■SNSで話題
話題を集めたツイッターの投稿には、9万件を超える「いいね」が寄せられている。
撮影したプロカメラマンの豊(ゆたか)哲也さん(43)(大山町)も飼い主の一人。
写真は瞬く間に拡散され、有名玩具メーカーがジグソーパズルを製作するまでに。
豊さん自身も写真を載せた本を作ろうとクラウドファンディングで寄付を募ったところ、目標額の1.5倍を上回る約330万円が集まり、今年5月に「生まれたよ! 山陰柴犬」(今井出版)を刊行した。
人懐っこさから、ペットを飼うのが初めての人でも飼育しやすいといい、豊さんは「取り立てて動物が好きだったわけではなく、娘のために飼い始めたけど、今では自分も魅力にとりつかれている」と笑う。
約1か月前に豊さんから子犬を譲り受けた男性(32)(大山町)も、「初めて飼う犬が山陰柴犬でよかった」と目を細めつつ、「かわいいだけでなく、地域の誇りでもある。大切に育てていかなければいけないという責任も感じている」と気を引き締めている。


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