女優・黒谷友香 高齢の愛馬2頭とオフを満喫
「最期まで面倒をみてあげたい」
2021年8月16日(月) Hint-Pot
動物と家族になって一緒に暮らすといえば、ワンちゃんや猫ちゃんが多いが、馬と家族になる人はちょっと珍しい。
女優・黒谷友香さんだ。
自然を愛し、オフの日には愛馬の待つ関東近郊で田舎暮らしを満喫している。
8月20日(金)公開の映画『祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-』で主演するなど女優として充実している黒谷さんに、愛馬との出会い、馬ならではの魅力について聞いた。
千葉県の「エバーグリーンホースガーデン」で2頭の愛馬を飼う、女優・黒谷友香さん【写真:荒川祐史】
◇ ◇ ◇
◆馬好き仲間と乗馬クラブを発足 元競走馬ラルフとの出会い
「ラルフ」と「ヨモ」という2頭の馬を飼っています。
どちらも騙馬(せんば・去勢済みのオスの馬の意味)。
馬の平均寿命は25から30歳と言われていますが、ラルフは元気な30歳!
おじいちゃんなので随分前にお仕事は引退して、のんびり余生を過ごしています。
ヨモは22歳になりますが、おかげさまでとても元気、現役です。
最初に私が出会ったのはラルフ。
もう25、26年前になりますが、友達が馬を持っていたので、乗せてもらったら楽しくて!
それから馬が好きな仲間たちで「乗馬クラブを作ろう」という話になったんです。
自分も馬を持って乗馬がしたいと友人を通して探し、出会ったのがラルフです。
元々、馬が好きだったとか、子どもの頃から動物を飼っていて動物が好きだった、というわけではないのですが、やはり“自分の馬”を迎えてみるとうれしかったですね。
芦毛のサラブレッドで、体高が高い馬なんですよ。
最初に乗った時は「わ、こんなに高いんだ!」と思いましたけど、怖くはなかったです。
ラルフはサラブレッドなので、競走馬として何度かレースにも出ていましたが、4歳で競走馬を引退し、常用馬に転向したところで私と出会いました。
それまで速く走ることを目的に訓練を受けていたからか、性格も最初は結構とがっていました(笑)。
クールだし、ベタベタ触られるのはあまり好きじゃない。
でも、インストラクターさんたちにかわいがってもらうなどして、年を重ねていくうちに、ずいぶん丸くなったように思います。
撮影されるのは分かるみたいで、カメラを向けられるとカメラ目線でいい顔をします。
動物は飼い主に似るというので、ラルフも私に似て“俳優”気質があるのかもしれません(笑)。
◆30歳でも元気なラルフ サラブレッドの最長寿記録更新が目標
美しい白馬のラルフ。30歳という高齢ながら元気いっぱいだという【写真:スペースクラフト・エージェンシー】
ラルフにはもう乗りませんが、お仕事がオフの時には、その仲間で作った千葉の乗馬クラブ「エバーグリーンホースガーデン」で、シャンプーやマッサージなどラルフのお世話をしています。
普段はインストラクターさんがお世話をしてくださっているので、「ごはん食べていますか」「水飲んでいますか」「体温どうですか」というメッセージをこまめに送って、写真を送っていただいています。
馬は突然体調を崩して、徹夜で看病することもあるので。
幸い大病したことはなく元気で、サラブレッドの最長寿記録(40歳2か月20日)を塗り替えてくれたらいいなあ、と思っています(笑)。
ラルフを迎えた当初は何も知らなかったのですが、馬の“人生”って結構厳しい。
競走馬を卒業した後の道は限られているうえ、うまく乗用馬に適応できればいいのですが、適応するための訓練には、時間もお金も必要になってきます。
頑張ってうまく適応できた馬は、乗馬クラブでその後を過ごします。
私がラルフを迎えたことで、1頭でも馬を幸せにできたのなら良かったな、と今振り返ってみて思います。
今後、ラルフがさらに年老いても、最期まで面倒をみてあげたいですね。
◆性格や乗り心地は馬それぞれ 2頭とも相性抜群
ヨモとのツーショット! 愛馬のリラックスした表情と黒谷さんの笑顔が素敵
ヨモを迎えたのは5、6年前。
ラルフと同様に、信頼している方からの紹介です。
体高はラルフより低く、最初から乗用馬として訓練を受けてきました。
馬の魅力は、その背中に乗って“人馬一体”を感じることができること。
ラルフを飼うと同時に乗馬も始めたわけですが、動物と一緒にやれる競技って、他にはあまりないですよね。
身体や声を使って馬とやりとりしてうまくそれが伝わって、馬と一体になれた瞬間って、他では得られない気持ち良さがあるんですよ。
ヨモは表情も豊かで、鞍を着けたりすると「仕事だな」と分かるみたいでキリッとします。
ところが乗馬を終えた後、「暑い中、ありがとう」という気持ちでブラシをかけてあげたり、たてがみをといてあげたり、ゴムブラシでクビをマッサージしてあげたり……。
ケアをしている時はのんびりリラックスしています。
あくびや鼻を思いっきり伸ばしている時は、信じられないくらい変顔になります(笑)。
私も笑顔になれるし、馬たちはかわいくて、「リラックスしてくれてるんだな」と思うとうれしい。
性格も人間が大好きで、ジェントルマンですね。
性格も馬によって違います。
乗った感じも馬それぞれで違います。
ただ、ラルフはブリティッシュの乗馬スタイルで、ヨモはウエスタンで動きが違うので、ラルフとヨモの違いをうまく表現するのは難しいのですが……。
でも、どちらの乗り心地も好きですよ。
馬と人間も相性があると思いますが、私の場合は2頭とも良かったです。
ちなみに、においも馬それぞれ。
ワンちゃんや猫ちゃんの肉球のにおいが好き、という方は少なくないですよね。
馬の場合はそれが鼻息なのかも。
草食だからか、ラルフもヨモも香ばしくていいにおいがするんですよ!
ウェスタンスタイルのヨモとぴったりのデニムコーデにも注目(左)、ラルフとお散歩。白のレーススカートと白馬が何ともゴージャス(右)
◇黒谷友香(くろたに・ともか)
1975年12月11日、大阪府堺市生まれ。金蘭短期大学卒。17歳の時、オーディションを受けファッション誌「mc Sister」(婦人画報社)の専属モデルに。1995年、映画『BOXER JOE』で女優デビュー。96年、チョーヤ梅酒のCMで注目され、以後、映画『TANNKA短歌』やドラマ「ハンチョウ~神南署安積班~」(TBS系)、「カーネーション」(NHK)などに出演。現在は情報番組「TOKIO城島 ほのぼの茂」(朝日放送)に出演中。2021年8月公開の映画「祈り-幻に長崎を想う刻(とき)-」では高島礼子とともに主演を務めている。
中野 裕子