殺処分寸前の老犬が「防犯パトロール」で活躍
「ご苦労さま」の声かけに、閉ざした心も優しい瞳に
2021年6月3日(木) まいどなニュース
飼い主に捨てられ、長く施設で保護されていた高齢犬「ベル」が、散歩を通じて地域防犯に取り組む「わんわんパトロール」活動に励んでいる。
京都市山科区の家族に引き取られ、居場所と活躍の場所を得た。
今では、保護当初と見違えるような優しい瞳で街を見守っている。
「わんわんパトロール」の腕章をつけて仲良く散歩するベルと樫野さん(京都市山科区)
ベルは雑種の和犬で、推定8歳の雄。
岡山県動物愛護センターに保護された当時は、心を閉ざした状態で、かみつき癖やうなりもあったという。
殺処分される寸前に同県の動物愛護団体に引き取られ、2年間保護されていた。
ただ高齢の大型犬とあって飼い主が見つからず、何度も殺処分候補に挙げられたという。
昨年末、飼い主を募集していることを知った京都市山科区大宅の樫野弘美さん(41)が家族に迎えた。
「行き場のない大人の保護犬を引き取りたい」と探す中で、写真を見て直感でひかれたという。
飼い主に捨てられ、保護された頃のベル。人に心を閉ざしていたという=樫野さん提供
最初は警戒心が強かったベルだが、樫野さんと母親、4匹のネコと暮らすうちに表情が和らぎ、家族に甘えるようになった。
樫野さんは散歩が大好きなベルが地域の役に立てるのではと考え、認定NPO法人アンビシャス(中京区)が市内で普及に取り組んでいる「わんわんパトロール」活動に参画。
4月からベルの首と自身の腕に腕章をつけ、毎日のように山科区内のパトロールに励んでいる。
活動を始めてから「ご苦労さま」と声をかけられたり、小学生にあいさつされたりと、地域の人たちとの触れあいも増えたという。
樫野さんは「ベルに人間の優しさを感じてもらいつつ、防犯にも貢献できたら。シニアの保護犬でも大きな可能性を秘めていることを知ってもらいたい」と話し、元気に歩くベルに寄り添っている。
(まいどなニュース/京都新聞)
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