大野・上庄中「愛犬」死ぬ
お別れ会「笑顔与えてくれた」
2014年12月23日(火) 日刊県民福井
13年間、上庄中生徒たちに愛されていたシロ=2008年2月21日
シロのお別れ会で、生徒たちに語り掛ける勝矢和宏さん=22日、大野市上庄中学校で
大野市稲郷(とうごう)の上庄中学校で長年飼われていた雌犬「シロ」が今月初め、老衰で死に、二学期終了の22日、同校でお別れ会が開かれた。
給食のパンが大好物で、授業中はほえず、生徒と散歩に行くのを楽しみにしていたシロ。
13年間で延べ約五百人の卒業生と教員を見送ってきた。
お別れ会で生徒らは、みんなのアイドルだったシロに「ありがとう」を伝えた。
(尾嶋隆宏)
シロが学校に姿を現したのは2001年ごろ。
校門の傍らにちょこんと座り、生徒たちの朝のあいさつを見ていた。
交通事故に遭い、脚をけがしたのをきっかけに、当時教諭だった勝矢和宏さん(55)=県立奥越高原青少年自然の家勤務=らが、学校で飼おうと決めた。
小屋は廊下のすぐ外にあり、4月には新入生で必ずあふれた。
世話は生徒から募った「シロボランティア」が担当。
朝昼の散歩や餌やりだけでなく、シャンプーもしてあげた。
しかし、年齢のせいか今年夏ごろから足が弱り、散歩にも行けないようになり、この3日に息絶えた。
5日の出棺には、生徒らがペット用の段ボールの棺に入れられたシロの周りに花を添えたりして別れを告げた。
この日のお別れ会は、全生徒と教職員ら115人が参加。
祭壇の前で、川田信行校長が「日中はみんなに愛嬌(あいきょう)を振りまき、夜は学校を“一人”で守ってくれた。天国で大好きな散歩を思う存分してほしい」と語り、生徒会長で三年の山内哲也君(15)が「上庄中に明るい笑顔を与えてくれて、本当にありがとう」と述べた。
計8年間、シロと学校で過ごした勝矢さんが「こんなにもたくさんの人と出会え、こんなにもたくさんの思い出を持った犬はいないぞ」と話すと、むせび泣く生徒の姿も。
最後に全員で合掌して感謝の気持ちを伝えた。
共に12年半「ありがとう」 生徒ら別れ惜しむ
2014年12月23日 福井新聞
シロとの別れの式で黙とうささげる生徒たち=22日、福井県大野市上庄中
学校のアイドルとして愛されたシロ=大野市の上庄中(同校提供)
福井県大野市上庄中で12年半にわたり飼育され、学校のアイドルとして親しまれた雌犬の「シロ」が今月3日に死去した。
別れの式が22日、同校で行われ、生徒たちはシロの死を悼み、安らかな眠りを祈った。
体長約1メートルの雑種のシロは2002年春ごろ、同校に度々現れるようになった。
左の後ろ足が不自由で、見かねた当時の同校野球部の顧問が保護。
学校に掛け合い、生徒たちとともに飼育することになった。
体毛が白かったことからその名が付けられた。
生徒たちは「シロ・ボランティア」を立ち上げ、毎日当番制で餌やりや散歩などの世話をしてきた。活動は毎年引き継がれ、08年には奥越青少年愛護センターの善行青少年表彰を受けた。
シロは休憩時間に生徒と触れ合ったり、放課後は野球部の練習を見守るなど生徒たちと日々を過ごし、運動会や文化祭などにも参加。
卒業式にも出席して500人以上の生徒を見送ってきた。
推定14~15歳と高齢となったシロは足腰が弱り、今年春ごろには散歩もできない状態に。
先月末、体調を崩し今月3日、息を引き取った。
悲報を聞いた卒業生や地元住民が5日の出棺まで次々と同校を訪れ、花を添えるなど別れを惜しんだ。
別れの式には生徒ら約120人が参加。
黙とうに続き川田信行校長が「昼は愛嬌(あいきょう)を振りまき、夜は学校を守ってくれた。これからは天国から見守って」と遺影に呼び掛けた。
生徒会長の山内哲也君(3年)は「もっといてほしかった。命の大切さを教えてくれてありがとう」と述べた。
当時の野球部顧問で長くシロを世話してきた奥越高原青少年自然の家の勝矢和宏青少年指導課長(55)は「たくさんの人と出会えたシロは世界一幸せな犬。最期まで面倒を見てくれてありがとう」と生徒たちに語り掛けた。
約30分間、5日の出棺の様子などを映像でしのんだ。
生徒らシロと涙の別れ~大野市・上庄中学校の飼育犬
2014年12月22日 福井テレビ
大野市の上庄中学校で13年以上にわたり飼育されていた犬、シロが12月3日にその生涯を終えました。
学校や地域の人たちに愛されたシロを偲び、22日別れの式が行われました。
上庄中学校のアイドル的な存在だったシロ。
平成13年の秋に学校に迷い込んだメスの犬です。
当初、学校での飼育には慎重な意見もありましたが、足をけがしていたことから生徒たちがボランティアで世話を続けることになりました。
人なつっこい性格で、生徒だけでなく住民にも愛されたシロ。
13年間、たくさんの卒業生を見送ってきましたが、12月3日にその生涯を閉じました。
22日の別れの式では、シロを学校で飼うために奔走した当時の教頭、勝矢和宏さんらが別れの言葉を送り、元気だった頃の映像を見ながらシロを偲びました。
生徒たちは、シロの死を通して命の尊さと向き合っていました。