赤ちゃんゾウを救え!
ぬかるみにはまった赤ちゃんゾウの救出劇!!
最後に起こる感動の結末は・・・?
TRENDING JANUARY 6, 2021
動物園でも人気者のゾウ。
皆さんはゾウにどんなイメージを持っていますか?
「優しい」「力持ち」「穏やか」「賢い」こんな声が聞こえてきますね。
実はゾウは感情豊かで共感能力が高く、仲間に対して深い愛情を見せることでも知られています。
ゾウは群れで行動します。
群れの中で赤ちゃんが生まれるとすぐに仲間と認識し、母親ゾウとともにみんなで子供を育て、守るのです。
移動中に他の動物に狙われた時には、怪我を負っているゾウや子供を内側に囲むような隊列を組み、百獣の王ライオンですら撃退します。
家族や仲間の結束がとても強く、仲間に何かあっても決して見捨てることはありません。
たとえ赤ちゃんゾウが動けなくなったとしてもどうにか助けようとするのです。
どうする?!赤ちゃんゾウがぬかるみに落ちた!なんと仲間たちは2日間も励まし続けたのです!
インド南部のケララ州で、あるゾウの群れが移動中、赤ちゃんゾウが使用されていない古井戸のようなものに落ちてしまいました。
井戸は長年使っておらず、中はぬかるんでおり、簡単には抜け出せそうもありません。
どうしていいかわからずパニックになる赤ちゃんゾウ。
とにかくここから脱出しなければと死にもの狂いで足を動かします。
このままここに置いていくことはできません。
手出しができず見守る仲間と必死にもがく赤ちゃんゾウ。
しかし、もがけばもがくほど足がぬかるみに沈み、どうすることもできません。
常に集団で行動し、仲間意識が強いゾウは家族を見捨てることはありません。
この時も近くで赤ちゃんゾウを励まし、見守り続けていました。
なんと2日間も!
しかし、打開策はなく赤ちゃんゾウの試練は続きます。
◆古井戸に浸水してきた!
近くの川の水位が上がったのでしょうか?
古井戸に水が入ってきました。
赤ちゃんゾウは驚き、さらにパニックになったようです。
しかしもがけばもがくほど体は沈んでいきます。
周りのゾウたちも迂闊には近づけないようで、ただ見守ることしかできませんでした。
◆状況は深刻になっていきます
ここに閉じ込められているもう一つの問題点がありました。
直射日光です。
いくらゾウは暑さに強いとはいえ、十分な餌や水分がない状態では、かなり過酷だと思われます。
しかもこの赤ちゃんゾウは正確な判断ができず暴れまわったためかなり体力も消耗していました。
強烈な日差しが井戸の中にも入ってきます。
◆いよいよ赤ちゃんゾウの体力、気力も限界に・・・
とうとう赤ちゃんゾウもぐったりし始めました。
少し離れたところで見守っていた仲間たちも近寄ってきます。
集まったゾウたちは鼻を伸ばし、赤ちゃんゾウを助けようとしますがどうすることもできません。
あるゾウは鼻を持ち上げ鳴き声を上げだしました。
ようやく異変に気づいた森林局のスタッフ達が集まってきます。
◆助けがやってきた!
森林局スタッフの他に騒ぎを聞きつけて近隣住民も集まってきました。
しかし、仲間を守ろうとしているのか、ゾウの群れに行く手を遮られます。
集まってきた人たちは一体中で何が起きているのか確かめようとしましたが、ゾウ達は動きません。
しばらく睨み合いは続きました・・・・。
◆赤ちゃんゾウを救出せよ!
何かを感じたのか、もしくは諦めたのかようやくゾウ達はその場を離れました。
森林局スタッフと住民達は慎重に井戸に近づき、この騒ぎの原因を突き止めました。
穴に落ちてから一体どれくらいの時間が経っているのでしょう?
赤ちゃんゾウはかなり衰弱しているようです。
早くゾウを救出しなくては!
誰もがそう思いましたが、むやみに手を出せば赤ちゃんゾウがパニックになるかもしれないし、また群れのゾウも向かってくるかもしれません。
そして仲間達でも助けられなかったゾウを一体どうやったら助けられるのでしょうか?
◆数時間に及ぶ救出作業が始まった!
救助隊はまずもっとも簡単な救助計画を進めることにしました。
泥をかき分け、周りの土を崩し、赤ちゃんゾウを自力で平地に戻すことを促そうとしたのです。
しかし井戸は思ったより深く、うまくいかないことがわかりました。
次に赤ちゃんゾウの足にロープを結んで引っ張り出そうと試みましたが、これも不可能でした。
これは簡単なことではないと気がついた彼らは、作業員を確保し重機を使うことにします。
◆なかなか上手くいかない救助作業
近隣の村も巻き込んでの大作業になりました。
ショベルカーや足場を固めるための土嚢を手配し、協力してくれる人たちも確保しました。
しかし問題は深い井戸だけではなく、周りで見守っているゾウの群れや、さらに他の野生動物達の動向も注意を向けなくてはなりません。
一瞬たりとも気が抜けない救出劇ですが、赤ちゃんゾウは刻一刻と元気をなくしていきます。
◆母親の励まし
いよいよ重機が届けられ、周りの壁を切り崩し、泥を掻き出していきます。
そこへ一頭のゾウが近づいてきました。
どうやら母親のようです。
救助隊、母親ゾウ、赤ちゃんゾウの誰もがこの状況が一刻を争う状態であることを共通認識していました。
そして彼らの信頼がこの後奇跡を起こします。
◆最後の戦い
井戸を切り崩し始めてから、すでに5時間が経過していました。
赤ちゃんゾウの体力ももはや限界です。
しかし、母親ゾウの励ましにより、また元気を取り戻していました。
また足を動かし始めたのです。
救助隊もあともう少しだ!と必死に泥をかき分けます。
◆信頼が起こした奇跡
どうにか周りの泥をかき分け、赤ちゃんゾウが自力で動けるところまでやってきました。
いよいよ救出は目前です。
救助隊が肩に担ぎ、井戸から引っ張り上げました。
周りで見守っていた人からは安堵の声と、拍手が鳴り響きます。
その時川の方から音が聞こえてきました。
川で待っていたゾウの群れが水しぶきを上げてこちらに駆けてきたのです。
◆家族との再会
なんと救出作業には2日間もかかっていました。
その間救助隊は赤ちゃんゾウに寄り添い続けていましたが、家族であるゾウの群れもその場を離れず見守り続けていたのです。
ようやく救出されたことがわかり、ゾウ達が駆け寄ってきたのでしょう。
それに気づいた赤ちゃんゾウも大きな鳴き声を上げながら家族に駆け寄って行きました。
ようやく合流できた仲間達との嬉しそうな姿を見て、救助隊からも歓喜の声が上がります。
◆ゾウからのお礼!
仲間と合流し嬉しそうなゾウ達。
赤ちゃんゾウも仲間に温かく迎え入れられて嬉しそうです。
それを幸せそうに見守る救助隊からも拍手や口笛とともに温かな声援が飛びます。
しかし、赤ちゃんゾウを取りかこむ他のゾウとは違った一頭の大きなゾウがこちらを向いています。
しかも何かしきりに気にしているようです。
なんだろう?と思った瞬間、そのゾウが高く鼻を持ち上げました。
さらに何度もお辞儀をするように、鼻を上下に動かしています。
これを見た人達は一段と高い歓喜の声を上げ、川の奥へと消えていくゾウの群れを見送りました。
ゾウはとても賢く、家族や仲間をとても大切にしていることがわかりますね。
愛情や悲しみという感情を持ち、仲間の死を悼む動物としても知られています。
今回のこの出来事では、言葉が通じない人間とゾウという別の種族でありながら、意思の疎通が間違いなくあった瞬間でした。
ゾウが示してくれた感謝の気持ちにも感動させられますが、赤ちゃんゾウを救った地元の人たちとその感謝の行動に対する素直なリアクションがこの場の一体感をよく表し、感動的なワンシーンとなっています。