岩合さんの『世界ネコ歩き』が再び映画化!
猫たちの“あるがままに生きる命”に迫る
2020年12月30日(水) sippo(朝日新聞社)
動物写真家の岩合光昭さんが世界中の猫を撮影する、NHKの人気ドキュメンタリー『岩合光昭の世界ネコ歩き』。
8年続く名番組の劇場版第二弾『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』が2021年1月8日(金)より全国ロードショーされる。
(c)Mitsuaki Iwago
初監督作品『ねことじいちゃん』に続き、岩合さん自身が監督を務める今作。
岩合さんが今改めて感じる猫の魅力、映像に込めた思いを聞いた。
■あの子たちの「その後」を撮りたい!
インタビューに応える岩合光昭さん 撮影:山形赳之
ミャンマー中部、インレー湖の水上にたたずむ小さな家には、人の家族と、チャトラ・サビ猫夫婦と両親そっくりの2匹の子猫の猫の家族が身を寄せ合って暮らしている。
岩合さんはなぜ、撮影先にここ、ミャンマーを選んだのだろう?
「長年にわたって、世界中のネコたちを訪ね歩きましたが、基本的にテレビでは放送1回につき取材1回。特番以外で再訪したことはありません。今回は映画のために新たに撮り下ろすことになって、さてどこにしようかと考えました」
真っ先に岩合さんの頭に浮かんだのが、かつて取材したミャンマーの人間家族と猫家族だった。
あの、人と猫の一家はその後どうしているだろうか。
「以前テレビ用に撮影して使われなかった映像も出てきます。ちょっとネタバレになりますが、子ネコが湖に落ちるという事件が起きたんです。それを懸命に助けようとする母ネコの姿が脳裏に焼き付いていて。あの子ネコたちがどう成長していくのか、見届けたいという思いがありました」
同時にミャンマーの人たちの魅力も忘れ難かった。
ただ「歓迎する」という以上に、人としての愛情を惜しみなく与えてくれる、純朴な人々。
人間家族の少年も、猫と一緒に大きくなっているはず。
いたわり合い、支え合って生きている彼らの様子を、岩合さんのレンズはどこまでも温かく映し出す。
■人間の思惑通りにはいかない 美しくも厳しい環境下の猫たち
(c)Mitsuaki Iwago
もうひとつの舞台は北海道の牧場。
牛や犬たちと共に、たくさんの猫の家族が暮らしている。
親牛牛舎に暮らすのは、母猫「ヒメ」と息子「カーショ」親子。
仔牛牛舎にはゴッドマザー「チャカスケ」を筆頭に、たくさんの若猫、子猫たちが。
「仔牛牛舎で驚いたのは、若い母ネコたちが共同保育していたこと。我が子もよその子も分け隔てなく授乳して、愛情を込めて育てているんです。ネコ科の動物で共同保育するのは、イエネコとライオンだけ。完全室内飼育が主流の都会では、こうした姿はなかなか見られません」
誰かが誰かに毛づくろいを始めると、その隣の子へ……とグルーミングが連なっていく。
搾りたての牛乳のおこぼれをもらったり、体温の高い牛の背中で香箱を組んだり。
ホルスタイン柄の子猫が子牛に寄り添うさまは、見ていて思わずほほがゆるんでしまう。
「実は、心の中で主役に据えていた若い母ネコがいたんです。北海道ロケには5回通いましたが、ある時、その母ネコがいなくなってしまった。牧場の人たちも心配していましたが、とうとう見つかりませんでした。 冬の寒さは厳しいし、ネコ同士の摩擦も起きる。野生動物ではないけれど、完全に室内で保護されて生きるペットとも違う。新たに自分の生きる場所を築くこともあれば、そうでないこともある。レンズを向けるたびに、今撮影できていることのありがたさ、命の尊さを感じずにはいられませんでした。撮影しているのは人間の勝手な都合ですしね」
岩合さんが一番描きたかったこと。
それは命そのものの、あるがままの姿だという。
「我々人間が一人一人違うように、ネコも一匹一匹個性があります。みんな必死に『自分』を生きている。つい『ネコってこうだよね』とひとくくりにしがちですが、ふたつと同じ命はありません。願いでもありますが、すべての命は尊く、家族の愛情は深くて温かい。彼らと同じ空間に身を置いて、温度や風の変化を一緒に感じながらレンズを向けて、改めてそれを痛感しました。あるがまま、まっすぐに生きる彼らの姿から、その尊さが伝われば嬉しいと思っています」
『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』
『劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き あるがままに、水と大地のネコ家族』
公開日: 2021年1月8日(金) 全国ロードショー
監督・撮影:岩合光昭
ナレーション:中村倫也
音楽:高野正樹
制作プロダクション:ジーズ・コーポレーション
製作:「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2」製作委員会 ユナイテッド・シネマ NHK エンタープライズ 朝日新聞社 クレヴィス ジーズ・コーポレーション
配給:ユナイテッド・シネマ
映像提供:NHK
公式ホームページ:http://nekoaruki-movie2.com (c)「劇場版 岩合光昭の世界ネコ歩き2」製作委員会 (c)Mitsuaki Iwago