子ども被害証言に付き添い犬同伴
虐待事件公判で異例許可
2020年10月6日(火) KYODO
虐待を受けた子どもの刑事裁判を巡り、関東地方の地方裁判所が、被害を証言する子どもの精神的負担を減らすため、公判への付き添い犬の同伴を許可していたことが6日、関係者への取材で分かった。
虐待を受けた子どもの刑事裁判を巡り、公判への同伴が許可された「付添犬」のゴールデンレトリバー=9月
裁判関係者によると、精神的負担の軽減を目的とした動物の同伴許可は異例という。
子どもが被害者となった事件では、司法手続きでつらい体験を話すことへのストレスが指摘され、負担軽減の取り組みとして注目される。
入廷したのは訓練を受け、「付添犬」として認定を受けた犬。
国内では4頭が活動している。
許可されたのは10代の女児に虐待行為をしたとして、男が児童福祉法違反の罪で起訴された事件。
【付添犬が活躍しています】
◆付添犬とは
被害を受けた子どもが、安心して自分の受けた出来事について、他者(司法関係者/医療従事者など)に伝えられるよう手助けをする犬です。
虐待などでトラウマを受けた子どもが、事情聴取などでさらなるトラウマを受けないように精神的にサポートします。
アメリカで始まったこの活動は、2012年にCourthouse Dog® Foundation(CDF)が設立されて以来、厳格な基準のもと、アメリカ国内だけでも241もの犬たちが活躍しています。(2020年6月時点)
私たち 「つなっぐ」の付添犬認証委員会(前コートハウスドッグ準備委員会)は2014年より、CDFと緊密な連携を取り、日本への安全かつ効果的な付添犬導入のための情報共有を行っています。
獣医学的に健康であることや攻撃性がないことはもちろん、包容力のある穏やかな犬で、一般の犬が入ることのできない施設でも落ち着いて行動ができ、指示に適切に従う、などの十分な行動学的な安全性がすべての犬に求められます。
その特殊な活動内容と日本の現状に適応した、犬への厳正なスクリーニングとハンドラーに対する研修教育などを経た上で、子ども達やご家族の笑顔のための優しい活動を目指しています。
現在、「つなっぐ」と連携を結んだ2つの団体、社会福祉法人 日本介助犬協会と公益社団法人 日本動物病院協会(JAHA)からそれぞれの専門機関で認定を受けた犬とハンドラーが、さらに付添犬認証委員会の認証を受けて、毎回依頼活動内容やニーズに合わせて活躍しています。(2020年7月時点)
◆付添犬とハンドラー・団体の選定について
日本で付添犬を認証しているのは、付添犬認証委員会(前コートハウスドッグ準備委員会)のみです。
当法人は、米国Courthouse Dog® Foundationの制度に則って、付添犬を認証しております。
コートハウスドッグの商標権登録の申請中です。
類似の活動については認められていません。
◆付添犬チームの活動
〜子どもが刑事手続きを受ける際の負担を減らすための支援〜
「つなっぐ」では、子どもが刑事手続きを受ける際の負担を減らすための支援をしています。
子どもが、刑事事件の被害者や証人となる際の支援です。
子ども達は被害者や証人として、時につらい体験を法廷で話さなければなりません。
慣れた環境で話す場合ですら二次被害になると言われますが、大人でも緊張する法廷で、加害者の近くで話すとなれば、子ども達には不可逆的な影響が残ってしまう場合があります。
私たちは、早期から支援を開始し、子どもの生活上の支援や適切な医療へのつなぎを行い、支援者として子どもの状態を把握し、医療の手を借りながら子どもの状態を見極めます。
そして、子どもの尋問が決まると、法曹関係者、医療者、支援者などで、子どもの福祉に合致する証言方法を協議します。
その上で、裁判所に子どもの状態を「上申書」として提出したり、医師の「診断書」や「意見書」を提出したりして、裁判官に子どもへの負担を軽減するように上申します。
子どもの状態が悪い事案では、期日外尋問とビデオリンクを利用してもらい、子どもは加害者から離れた場所で、ビデオの前で証言できるようにします。
子どもと同じ部屋には、以前から生活支援をしている付添人や付添犬のほか、付添医師がいる環境になり、安心して証言をすることができます。
神奈川県からの助成金や皆さまからのご寄付により、基本的に無料でご利用いただけます。
子どもたちの「話す」をサポートそしてケア
公益社団法人日本動物病院協会所属 ハンドラー たのさん
初めて付添犬の活動をしたのは2年程前でしょうか。
今年に入り4回活動させて頂きました。
フランなら大丈夫と彼女を信じ、お子さん達とのふれあいや実際の調書の場での参加を致しました。
フランはお子さんと遊んだり、調書の際は横に伏せて寝ているだけで特に何をするわけではありませんが、きっとお子さんの心の支えにはなっている事と感じます。
何も喋らない犬ですが、だからこそ心にグッと「ついてるから、大丈夫!」と無言の応援をしているのだと思います。
時々フランに目を落としたりして、きっと姿を確認する事で少し落ち着いてお話ができるのかも知れません。
犬の底知れぬ深い愛情で、少しでも心に寄り添うことができたらと私は、毎回後方から応援しています。
◆活躍中の付添犬たち
公益社団法人日本動物病院協会に所属しているゴールデンレトリーバーのワンちゃんです。
いつも子どもたちのそばで、優しく子どもを見守っています。
社会福祉法人日本介助犬協会所属のワンちゃんたちです。
人が大好き!子どもの表情を読み取り、子どもたちが癒されています。
◆付添犬認証委員会(前コートハウスドッグ準備委員会)とは
付添犬認証委員会は、付添犬の質の確保、適正な運用、日本における付添犬の普及啓発を行う組織です。
Courthouse Dogs Foundation®と密に連携を取りながら、日本の現状に即した切れ目のない支援を実現するために、セラピードッグとファシリティドッグの2種類の付添犬を場面に応じて派遣しています。
◆委員会メンバー
新井 康祥(楓の丘こどもと女性のクリニック院長 児童精神科医)
高柳 友子(社会福祉法人日本介助犬協会 専務理事 医師)
丸山 洋子(名古屋市中央児童相談所 児童精神科医)
水上 言 (社会福祉法人日本介助犬協会 センター長)
山本 真理子(帝京科学大学 講師)
吉田 尚子(日本動物病院協会 理事 NPO法人CANBE 理事 獣医師)
飛田 桂 (ベイアヴェニュー法律事務所 弁護士)
「付添犬」について詳細の記事がありますので明日のブログに掲載します。
長いですが最後まで御覧ください。
欧米先進国に比べ遅れている日本の動物福祉社会を向上させるために、まずは多くの国民が認識することが必須です。
よろしくお願いいたします。
(byぬくもり)