子猫 空き部屋で世話 飼い主見つかるまで 福井のペットホテル
2020年11月5日(木) 日刊県民福井
猫専門のペットホテル「宿と猫」(福井市板垣三)が、県の動物愛護センターから生後間もない子猫を引き取り、飼い主が見つかるまで世話をするミルクボランティアに力を入れている。
ホテルの空き部屋を使用し、これまでに引き取った35匹を新しい家族の元に送り出した。
経営する二宮さやかさんは「一匹でも多くの猫の力になれれば」と話している。
(波多野智月)
「卒業」を間近に控える猫たちの世話をする二宮さん=福井市内で
二宮さんがペットホテルを始めたのは約3年前。
ペットショップの宿泊サービスに飼い猫を預けたことがきっかけだった。
「ストレスを感じたのか、痩せてぼろぼろの状態で帰ってきた」。
その経験から、猫が伸び伸び過ごせるペットホテルをつくろうと決意。
旅行や出張で県外に出掛ける人から猫を預かり、自宅の空き部屋を利用してケージを使わずに世話をする。
新型コロナウイルスの影響で旅行者が減り、猫を預ける人も少なくなったことから、ホテルは2月末で休業。
以前から猫の殺処分の問題に関心があったこともあり、空いた宿泊部屋を使い、県の動物愛護センターから猫たちを引き取って飼い主が見つかるまで世話をするボランティアを始めた。
9月にホテルの営業を再開した後も、活動を続けている。
子猫は体調の変化が激しく、体に寄生虫を持っていることも多い。
本業のグラフィックデザイナーとして活動しながら、小まめにミルクを与えたり、シーツやトイレを洗ったりと忙しい日々を送る。
それでも、猫たちが無事に飼い主の元へ旅立つ喜びは、何物にも代え難い。
愛情たっぷりに育て、旅立つ猫たちには必ず自作の「卒業証書」をプレゼントする。
活動の様子は写真投稿サイト「インスタグラム」や動画投稿サイト「Youtube」で配信。
閲覧者が「自分でもやってみたい」と思えるような明るい配信を心掛ける。
応援してくれる人が増え、猫の餌やおもちゃが全国から届くようになった。
今年限定のボランティアの予定だったが、「来年以降もできるかも、という自信がついた」と二宮さんは話す。
「大変じゃないと言えばうそになるが、猫が無事もらわれていくのはうれしい。できる限り続けたい」