殺処分しなくても「野良猫消えた」島、海鳥保護の貴重な事例に
2020年10月19日(月) 読売新聞
(写真:読売新聞)
国内有数の希少な海鳥の繁殖地である北海道・天売(てうり)島で、地元の羽幌(はぼろ)町が海鳥の天敵となる野良猫を殺処分せずにほぼ一掃したことがわかった。
去勢手術や、人にならして飼い猫にする取り組みなどが功を奏したという。
環境省は「海鳥保護の貴重な事例」と評価している。
天売島は、北海道本土の同町から約28キロ沖の日本海にあり、周囲12キロ、人口約250人。
絶滅危惧種のウミガラスなど海鳥約100万羽が飛来する。
町によると、2014年時点で野生化した猫が200匹超まで増え、岩場や草地の巣にいる海鳥のヒナが相次いで被害に遭った。
町は1992年から野良猫の避妊去勢手術などの対策を始め、2012年に飼い猫を登録制とし、みだりに餌をやることを禁止するなど「天売島ネコ飼養条例」を制定。
14年秋から捕獲と人への順化、譲渡に取り組んだ。
これまでに捕獲した野良猫130匹は、町内の北海道海鳥センターなどで飼いならし、動物愛護団体の譲渡会などで123匹を飼い主に引き渡した。
町は「ここ数年、島内で野良猫の有力な目撃情報がなくなった」としている。
町は新たな野良猫の侵入を警戒し、来年にも成果の報告会を計画している。