桂川の野犬減らず、市民困惑
餌やり増え、子犬の出生増「いたちごっこのよう」
2020年8月31日(月) 京都新聞
昨年春、京都新聞社の双方向型報道「読者に応える」に相次いだ京都市右京・西京両区にまたがる桂川河川敷での野犬の目撃情報について、今年も「遭遇した」との声が寄せられている。
府と市は連携して巡回や捕獲を進めているが、野犬の数は減っておらず、担当者は「いたちごっこのような状況」だと頭を悩ませている。
桂川の河川敷で保護した野犬(京都動物愛護センター提供)
■餌をやりに来る人が増えた?
6月下旬の夜、右京区の会社員男性(40)は日課のランニングで松尾橋上流左岸付近を通りがかったところ、野犬に追いかけられた。
大声で威嚇するなどして、その場は何とか逃げ切ったものの「すごく恐怖を感じた」と振り返る。
「野犬を見かける機会は減ったと感じていたが、最近また増えたように思う」
捕獲用の檻(おり)を設置している市医療衛生センターによると、昨年の報道以降、河川敷のパトロールで餌の残骸が見つかるケースが「以前より増えた」という。
担当職員は「報道で広く知れ渡ったことで、かえって『かわいそうだ』と餌をやりに来る人が増えたのでは」と推測する。
桂川河川敷の茂み近くに散乱したパンのくず。野犬に与えた餌とみられる(京都市西京区・市医療衛生センター提供)
野犬の保護を担当する京都動物愛護センター(南区)によると、昨年4月~今年7月、桂川の河川敷付近で捕獲したのは40匹に上り、うち子犬は29匹だった。
近年は餌を食べた成犬の健康状態が良いため、子犬の出生数も増加する傾向が続いている、とみる。
保護した犬の一部は、引き取り手が見つかり譲渡されている。
一方で、攻撃的になってしまった犬は飼うのが難しく、17匹は殺処分となった。
担当者は「餌をあげることで、一時的に命をつなぐことはできるかもしれないが、最終的には殺処分という不幸な結果を招きかねない」と指摘する。
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