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猫好きを装い、虐待するために引き取る「里親詐欺」

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猫好きを装い、虐待するために引き取る「里親詐欺」。命を守る方法は?

2020年9月3日(木) 女子SPA!


写真はイメージです(以下同じ)

動物好きを装い、虐待目的で猫を引き取る――そんな「里親詐欺事件」が、近ごろ増加中。
コロナ禍の影響もあるのか、中には保護団体を装い、金銭目的で里親を探す譲渡主も増えてきています。
そこで今回は、保護団体や保護猫カフェの元スタッフなどに里親詐欺の実態を取材。
命を守れる対策法を一緒に考えていきましょう。

◆里親募集掲示板やSNSでの手口
今回、特に多く寄せられたのがジモティーのような無料掲示板で、里親詐欺に遭ったor遭いそうになったという報告。
掲示板での詐欺事件では「惹かれる好条件を提示されたけれど、嘘だった」「保護団体やボランティアだと偽り、一時保護や引き取りを希望してきた」というケースが目立ちました。
そして、里親詐欺が起こる危険性が高いといわれているSNSでの譲渡では、「複数のアカウントを作って多重応募をし、そのことを指摘した途端に連絡がつかなくなった」という経験談をした方が多かったよう。
顔の見えない相手に“命”を託すには、相手の素性を知り、語られる情報が正しいのか入念にチェックする必要があります。

◆猫を虐待したい息子のため、両親が譲渡希望してきた
里親詐欺は掲示板やSNSのみならず、「リアル」な場でも起こります。
譲渡会に堂々と現れたり、保護団体に接触したりする詐欺師も少なくありません。
実際に、保護活動をしている田中さん(仮名)によれば、単身者への譲渡を警戒する気持ちを逆手に取り、夫婦や家族を装って猫を譲り受けようとする詐欺師が増えているそう。
「私自身、偽装夫婦に遭遇しましたし、知人は遠い親戚や知人宅を自宅と偽ってトライアル先に指定し、譲渡後に音信不通になったことがありました。また、虐待目的の息子に猫を渡すため、両親が譲渡希望してきたケースもあったそうです」

◆面談の途中で猫をさらって逃げられたケースも
そして、命を助けたいという想いを利用されたことも。
「以前、私が動物愛護センターから引き出した子が、騙されて収容された猫でした。騙された人は知り合いの知人だったのですが、『家に居着いた猫を飼いたいので捕獲してほしい』と言われ、捕獲したら、実は飼育する気がなくて即日、保健所収容にされたそうです。引き出して数ヶ月後にそれを知り、一緒に弁護士事務所へ行きました。  猫の“盗難”に遭ったという話も耳にしたことがあります。知人は以前、譲渡希望者と1対1で面談中、お茶を入れようと立った時に猫をさらって逃げられました」

◆人の本性を見抜くことの難しさ
また、保護団体よりも渡してもらいやすいのではと考え、保護猫カフェを訪れる詐欺師もいるよう。
実際、保護猫カフェの元スタッフは、言葉巧みに一般人を装う虐待者をどう見抜くか悩んだと語ります。
「里親希望の人を審査書類していた時、別のスタッフが偶然にもその人と同じ学校で、昔、動物虐待をしていたことが判明。もしかしたら更生したのかもしれないけれど、心情的に譲渡はできなかった。人の本性を見抜くことの難しさを痛感しました」
どんな場所やどんな相手でも、里親詐欺は起こり得るもの。
そう知ることが、悲しい思いをする動物を生み出さない第一歩になるのです。

◆里親詐欺を防ぐ5つの方法
里親詐欺を防ぐには、譲渡時にいくつかの条件を設けることが大切。
譲渡のハードルをある程度高くすることで、虐待者に目を付けられにくくなります。
①譲渡契約書と用意と身分証明書の提示
一番大切なのが譲渡契約書へサインしてもらうことと、身分証明書を提示してもらうこと。
譲渡契約書には氏名や住所、連絡先などを必ず記入してもらい、身分証明書はコピーし、手元に。万が一の時に対応できるよう、どちらも保管しておきましょう。
②譲渡費用をお願いする
詐欺師の中には身分証明書を偽造する人もいるため、里親詐欺を防ぐには身分証明書の提示と共に、譲渡費用のお願いをする必要があります。
ただし、譲渡費用はあまりにも安価だと効力がなく、高すぎると譲渡が滞ってしまうのが問題。
筆者の知り合いの保護団体では譲渡費用の導入をめぐってメンバー内に亀裂が生じてしまったこともあったので、方向性の共有が難しい場合もあるかもしれません。
けれど、譲渡費用を受け取ることは別の猫を保護したり、保護活動を続けていったりするためにも大切なこと。
保護団体にのしかかる負担を軽減することにも繋がるので、前向きに検討していく必要があります。
③受け渡しは相手の自宅で
たとえ受け渡しの時に、「届けてもらうのではなく、そちらに猫を引き取りに行きたい」と交渉されても、こちらから伺うと伝え、現地で飼育環境の確認を。
盗難被害などの危険を避けるべく、現地にはできる限り複数で赴くようにしましょう。
受け渡し時や自宅面談の時は希望者とじっくり話し合ったり、トライアル期間を設けたりし、少しでも違和感を覚えたら譲渡しないorトライアルを断念する勇気を持つことも大切です。
④アフターフォローの導入を検討する
保護団体や保護猫カフェの場合は譲渡数が多くなると、その後どう暮らしているのか知ることが難しくなっていくもの。
譲渡後にマメな連絡のやりとりを苦手に思う飼い主さんもいるので連絡手段や頻度などを考慮する必要はありますが、卒猫をどう見守っていくのか考えることも里親詐欺を防ぐためには大切なことだと言えそうです。
⑤多重応募者を見抜くには?
ネットを介して譲渡を行う場合は、希望者のフォロワー数をチェック。
フォロワーが0もしくはごく少数である場合は複数のアカウントで多重応募している可能性が。
怪しい場合は、相手が誰にどんなコンタクトを取っているのかもチェックしてみてください。

◆横のつながりを広く持ち、みんなで動物を守る
また、保護団体や保護猫カフェは横のつながりを強化し、同一県内や近隣県で情報を共有できるようにして同一人物が多重応募していないかチェックできる仕組みを整えていくことも必要だと言えます。
現状では難しいものですが、SNSなどで不審な多重応募者を見つけた場合、保護団体や保護猫カフェへ情報を共有し、譲渡を防げるような仕組みを作っていくことも今後、求められていくはず。
SNSなどで注意喚起を拡散するのには限界があるので、横のつながりを広く持ち、「みんなで動物を守る」という意識を強めていきたいものです。
譲渡時のルールは厳しくしすぎると譲渡が進みにくくなり、命を助けること自体が難しくなってしまうためバランスが難しいところですが、里親詐欺を防ぐにはいくつかの条件を設けることが大切です。
ちなみに、保護猫や迷子猫の場合は拾得物として警察に届けると、譲渡時に警察で書類を書いてもらえるので安全性が高まります。

◆もしもの時は
なお、里親詐欺に遭ったかもしれないと思った時は、まず信頼出来る保護団体やボランティア、動物病院、保護猫カフェなどに相談。
大勢の人と共に改めて譲渡相手のことを考え、可能であれば、現地に一緒に行ってもらうのも手です。
信頼できる保護団体を見分けるには、「収支決算書は不透明ではないか」「血統書とMIXの両方を保護しているか」「団体としての主張に一貫性はあるか」「ホームページに住所や連絡先、代表名などが記載されているか」などをチェック。
メディアの情報だけを鵜呑みにせず、万が一の時に頼れる身近な保護団体を探してみてください。
里親詐欺を防ごうとしても一個人の努力では、限界があります。
けれど、譲渡条件を設けつつ、横のつながりを強化していけたら、少しずつだけれど犠牲になる動物は減っていくはず。
命を守るには里親詐欺を「自分事」として取られ、各々ができる対策法や協力法を探していきましょう。

<取材・文/古川諭香>
【古川諭香】 愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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