小型犬遺棄、全国で220匹 繁殖適さず不要に
2014年11月16日 日本経済新聞
小型犬の大量遺棄が後を絶たない。
ペットを終生飼育する義務を定めた改正動物愛護法が昨年9月に施行されて以降、山中などにまとめて放置された犬は全国で少なくとも約220匹に上った。
大半は人気種の成犬で、年齢に伴って繁殖に使えなくなり、業者が捨てた疑いが指摘されている。
衰弱したトイプードルや水たまりで息絶えていたチワワもいた。
栃木県で先月末に大量の犬の死骸が見つかった後、不法投棄が疑われる例が各地で発覚した。
共同通信の集計によると、これまで判明したのは、栃木95匹、群馬11匹、埼玉46匹、山梨39匹、長崎7匹。
佐賀ではマルチーズ21匹を県が保護し、ほかに数匹を動物愛護団体が確認した。
栃木県警は廃棄物処理法違反などの疑いで捜査中だ。
改正動物愛護法は自治体が業者から犬猫の引き取りを求められても拒否できると明記している。
取材に対し、全ての都道府県は「現在は業者からの引き取りは原則断っている」としている。
一方で、ある自治体担当者は「引き取りを規制されても捨てればいいという考えが一部でまかり通っている」と話す。
関東の繁殖業者は「不要な犬を安楽死させたり、庭に埋めたりする業者もいる。見つかったのは氷山の一角だ」と打ち明けた。
山梨では昨年春にも計33匹が湖畔や山中で見つかっており、不法投棄は改正法施行前から横行していた可能性がある。
日本動物福祉協会栃木支部の川崎亜希子さん(43)は「私たちも消費行動を改めないと不幸の連鎖につながる。ペットショップに並ぶ子犬の親はどうなっているのか、想像してほしい」と訴えている。〔共同〕