犬猫「殺処分ゼロ」にもコロナの影 助けられる命が…
2020年4月16日(木) 朝日新聞
殺処分を避けるために保護された犬や猫が行き場を失っている。
動物愛護センターなどから引き取った保護団体による新たな飼い主探しが、新型コロナウイルスの影響で難しくなっているからだ。
「殺処分ゼロ」を目指す全国的な取り組みが進んできたが、その流れが変わる可能性も出てきた。
間もなく、季節繁殖動物である猫の出産ラッシュも始まる。
保護猫カフェ「ねこかつ」が保護した猫
保護犬・保護猫を多数かかえている保護団体は、緊急事態宣言の対象となった7都府県を中心に、どこも苦境に立たされている。
埼玉県川越市などで2軒の保護猫カフェを運営する「ねこかつ」では、営業時間を3時間短縮して正午~午後5時までとしたうえで、大宮日進店(さいたま市)は平日を休業にした。
入店制限を行うことで人の密度を下げていることもあり、来店者は激減。月8回のペースで開催していた譲渡会も「3月以降は全滅」(梅田達也代表)という。
常時200匹程度の猫を保護しているが、譲渡数はこれまでに比べて9割も減ってしまった。
出ていく数が減っているので、新たに受け入れられる数も減らさざるを得ない。
梅田さんは危機感を募らせる。
「これから野良猫が産む子猫が増えていく季節。保護団体の受け入れ能力は限界に近づいており、このままでは自治体での殺処分が増えてしまう」
東京都墨田区の一般社団法人「CATS&DOGS動物福祉協会」では、保護犬・保護猫の譲渡施設として運営していたカフェの営業を、スペースが手狭なこともあって、4月1日から休止した。
吉田智恵子代表は「クラスターの発生源になるのを恐れたのと、私たちスタッフに感染の恐れがあれば犬猫を守りにくくなるからです」と説明する。
保護犬・保護猫の飼育にかかる費用や獣医療費の多くを、カフェの売り上げやカフェ店頭での募金で賄ってきただけに、ダメージは大きい。
いま保護しているのは猫約20匹。
新たな保護の要請も絶えず寄せられている。
このため、同協会から犬猫を引き取った飼い主らが中心となって、当面2カ月分の活動資金にあてようと、クラウドファンディングを始めた。
「新型コロナウイルスの影響で、活動に必要な資金を得る手段が絶たれてしまった。命を守るために、力添えをお願いしたい」(吉田さん)