Quantcast
Channel: 動物たちにぬくもりを!
Viewing all articles
Browse latest Browse all 3575

ペットと暮らす効用

$
0
0

子どもの読解力が上がる?
 高齢者の認知症を抑制?
  犬と暮らす意外なメリット

2020年1月17日(金) いぬのきもち

「犬を飼うと子どもがやさしく育つ」「犬を飼っている高齢者は元気」など、なんとなくそうだろうと思われてきたこと。
これらのことが、検証をもとに証明されました。
5歳の娘とミックス犬とともに暮らすエッセイストの藤田あみいが、その発表会の場「ペットとの共生推進協議会」で見聞きした内容を一部ご紹介します。

「ペットとの共生推進協議会」とは
“ペットとの共生推進協議会”は2019年11月、東京大学弥生講堂にて開催されたシンポジウム。
今回で8回目。
「ヒトとイヌの関係とその効果」をテーマとし、人と犬との共生に関する講演をはじめ、各分野の専門家たちが「人と動物の関係学」の文献等を踏まえてパネルディスカッションを実施。
今回は獣医師さんだけではなく “人のお医者さん”も登壇しました。

犬と暮らすと読解力が上がる!?
「犬を飼うとコミュニケーションが増え家族全体の関係が良好になる」。
何となく犬を飼っている人は察していると思うのですが、驚くことに、学習能力にも影響があるのだとか。
お話してくださったのは、医学博士の星旦二先生。
なんと犬を飼うと子どもの読書能力が上がるということがわかってきているそうです。
子ども36人に対し、制限時間内に文章を読み取るテストを実施。
半数には犬を同席させ、半数には犬を同席させなかった場合に、犬を同席させたチームではそうでないチームに比べ読書能力の向上が見られたとのこと。


本を読むときに愛犬が寄り添う、いつもの光景

犬と子どもが一緒に暮らすメリット
写真は私の娘が本を読むときに愛犬が寄り添う、いつもの光景。
犬を飼う前に比べ本を読む回数も増えたように思うし、勉強をするときなどは「お姉ちゃん頑張るからね!」といった意欲の向上が見られるように思います。
犬と子どもが一緒に暮らすことでのメリットはまだまだ奥が深そうです。

高齢者こそぜひ犬と暮らそう!
犬を飼うことで高齢者の認知症などにも良好な結果が出ているのだそう。
写真の男性は私の父ですが、父も愛犬のお世話をすることが毎日楽しいようで、以前よりもイキイキしているなあ、と私は実感しております。
これに関しては多くの研究結果があり、星先生をはじめ、医学博士の谷口優先生、看護学博士の小林真朝先生方もお話してくださいました。

高齢者こそぜひ犬と暮らそう!犬を飼っていると健康感が上がり、外出頻度が高まる
犬を飼っている人は、自身の健康感が上がり、外出頻度が高まるということから推察されています。
また犬の散歩により地域との交流が深まることから、孤独感が薄まっていくのだそうです。
「健康に長生きする」を目標とするのであれば、犬を飼っていない人に比べ、犬を飼っている人はほぼその結果をたどることが出来るそうです。

そうはいっても、やみくもに飼えない現状
写真は私と娘がはじめて愛犬を迎えた日の写真。


本当に嬉しい日でしたが、それまでは夫とともにさんざん悩み、決断するまでにかなりの時間がかかりました。
というのも、犬を飼うためには、いくつかの条件が必要となります。
犬を飼える環境、犬を飼育できる体力、犬の飼育にみあう資金……いくつかの課題があります。
多くの人に犬と暮らすことのメリットを感じてもらうための対策として、ペットシェルターなどに「集いの場」を設ける動きや、飼い主が死亡した後に犬を譲渡できる仕組み作りなどが進められています。
アメリカのミズーリ州では犬と飼い主、どちらが先に亡くなってもその後のケアができる施設があり、日本にもぜひそのような施設を多数設けて欲しいなと感じた次第です。
子どもにとっても高齢者にとっても、メリットがたくさんの犬との暮らし。
犬を飼うことにより子どもの幸福度が増し、老人の孤立が減り、近隣への信頼感や認知度が得られ、健康にも良い。
住環境や資金などの課題はあれども、なるべく犬のそばに居られるような仕組み作りも進んでいるようですので、これからの犬との共生社会に期待をして、犬との暮らしを想像してみるのもよさそうです。

撮影/泉山美代子(シンポジウム) 取材・文・写真提供/藤田あみい
いぬのきもちWeb編集室


譲渡に年齢制限設けている施設もあるが…
 高齢者がペットと暮らす効用 人とペットの赤い糸

2020年1月17日(金) 夕刊フジ

日本におけるペットの保護施設によっては、60歳以上の方にはペットを譲渡しない年齢制限を設けているところがある。
昨年7月30日に厚生労働省が発表した2018年の日本人の平均寿命は女性が87・32歳(世界第2位)、男性が81・25歳(同3位)だった。
女性は6年連続、男性は7年連続で過去最高を更新。
男女共に、3大疾患(がん、心疾患、脳血管疾患)による死亡率が改善した影響と見られている。
ちなみに人の健康寿命は平均寿命よりも女性で約マイナス12歳、男性で約マイナス9歳となっているので、健康でペットが世話をできる年齢は、女性で約75歳、男性で約72歳ということになる。
現在の猫と犬の平均寿命は、それぞれ15・03歳、14・44歳となっている。
ペットの平均寿命を60歳にプラスすると、猫で75・03歳、犬では74・44歳ということになる。
従って、保護施設では60歳からでは一生にわたってペットの世話ができないと判断しているようだ。
しかしながら、60歳になった高齢者の平均余命は、女性が約29年、男性が約24年もあるので、女性は約89歳、男性は約84歳生存することができる計算だ。
また、70歳になっても女性が約20年、男性は約16年の平均余命があるので、女性は約90歳、男性は約86歳生きることができる。
健康寿命を考慮したとしても、犬や猫を一生に渡って、責任を持って世話をすることができるとみるべきだろう。
さらに、米ロサンゼルスのアニマルシェルターでは高齢者がペットと暮らす効用を次のような10項目にして積極的に発信している。
(1)ペットと暮らしていない人と比べて血圧が低く、ペットに話しかける人は血圧の降下作用が認められた
(2)犬を世話する人は、そうでない人と比較して医者にかかる回数が21%減少した
(3)ペットと暮らす人は鬱病にかかるリスクが減る
(4)ペットの話をすることで、友人が多くできやすい
(5)ペットを散歩に連れて行ったりと、より活動的になる
(6)ペットを良き友としてみなす
(7)ペットの存在が夫や妻を失ったストレスを軽減する
(8)寂しさを減少する
(9)ペットをケアすることで、自分自身の体も大切にする
(10)信頼しているペットがいることで、日常生活において安心・安全の感情が芽生える
-というものだ。

以上のような項目にプラスして、
(11)寝たきり高齢者が改善する
(12)生活にメリハリがつき、リズムが生まれる
(13)笑顔が増える
(14)ペットとの触れ合いで人もペットも幸せホルモンであるオキシトシンが上昇する
(15)高齢者がかかりやすい心疾患で入院した患者の退院後1年後の生存率は、ペットと暮らしていない人が71・8%だったのに対し、ペットと暮らしている人は94・3%と高かった
-という点も忘れてはならないだろう。

若い人であっても明日の命の保証はない。
欧米のように年齢制限を設けず、積極的に高齢者がペットと暮らすことを支援・サポートしていくしくみやインフラを整備していくことが、人生100年時代における人とペットの共生のあり方ではないだろうか。

■越村義雄(こしむら・よしお)
 一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 3575

Trending Articles