犬や猫がポインセチアを食べると命の危機に
Xmasシーズンの「要注意」植物は
2019年11月25日(月) 石井万寿美 | まねき猫ホスピタル院長 獣医師
(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)
あと1か月でクリスマスです。
愛犬や愛猫と素敵な時間を重ねたいと思って、イベントを考えていませんか。
今年のことを振り返りながら、部屋もクリスマス仕様に飾りつけをしようと。
インスタ映えするし、お花屋さんの店先で赤と緑のコントラストの綺麗な「ポインセチア」を買って帰ろうかなと、思っていませんか。
しかし、自宅にポインセチアを飾って帰宅すると、ポインセチアの鉢が荒らされて、犬や猫がぐったりしているかもしれません。
ポインセチアを犬や猫が食べると中毒症状を起こすのです。
今回は、動物と植物の毒についてお話をします。
◆なぜ いま植物の中毒か
私たちのまわりには多くの植物があり、犬や猫たちと植物に囲まれて生活をするのは、理想かもしれません。
なのに、植物が問題になるのかを考えてみます。
・完全室内飼い
犬の場合は、散歩をする(小型犬は、散歩もしない子もいる)。
猫の場合は、動物病院に行く以外は、一歩も外に出ない子も多いので、部屋に目新しい植木鉢などがあれば、ニオイを嗅いだりします。
犬は以前は、玄関や庭に繋いで飼っていたので、その範囲(鎖が届く範囲)しか行けなかったのですが、いまや部屋で放し飼いの子が多く、どこでも行くことができます。
それで、植木でいたずらをするのです。
・飼い主が、仕事をしていることが多く留守番の時間が長い
飼い主が、いないので、ひとりの時間が長く、植木鉢で遊ぶなどの時間もたっぷりあるわけです。
彼らは、飼い主がいない家を守ろうとは考えていなくて、食べるものや遊ぶものを探しているのです。
そんなことが心配な飼い主さんは、室内にカメラをつけて様子をスマホから見ている人もいます。
そのため、室内に飾る植物の知識を持っていないと、彼らの命の危険に晒す恐れがあります。
具体的などんな植物が多いか見ていきましょう。
今回は冬のものをご紹介します。
・ポインセチア
ポインセチア 撮影筆者
有毒部分:茎、葉(白い汁)
成分:フォルボール
症状:嘔吐、下痢、口の中の焼けたような感じ(灼熱感)、皮膚炎
注意:ポインセチアの樹液は、人の皮膚についた場合も皮膚炎になるので気をつけてくださいね。
・クリスマスローズ
「動物が出会う中毒」より
受験生に縁起のいい花といわれています。
それは、花びらが5枚あり、5かく→合格、クリスマスローズのがくがなかなか落ちないので、がくが落ちない→合格といわれて受験生には人気があります。
有毒部分:全草、特に根
成分:強心配糖体のヘレブリンやアコニチン
症状:不整脈、血圧低下、心臓麻痺、嘔吐、下痢、口の中の焼けたような感じ(灼熱感)
・スイセン
「動物が出会う中毒」より
人間の例として徳島県の小学校で調理実習室のときに、餃子の具としてニラとスイセンを間違えて用意した中毒事件もありました。
有毒部分:茎、球根
成分:リコリン
症状:嘔吐、下痢
◆他の毒性のある植物
・ヒヤシンス:球根、皮膚のかぶれ
・キキョウ:根、嘔吐、下痢
・ヒガンバナ:全部、皮膚のかぶれ、中枢神経麻痺
・シキミ:葉、樹皮、呼吸困難、全身ケイレン
など、他にもあります。
わからない植物は、かかりつけ医に尋ねるか、調べましょう。
◆散歩中に植物を食べる
散歩中に植物を食べて、その場で吐く子がいます。
都市伝説として「胃の調子が悪いから、胃薬の代わりに食べている」とかいわれています。
その植物が、有毒なものでなくても、除草剤、殺虫剤、犬の排泄物がついている可能性もあります。
そのため、外の植物を食べてない方がいいです(猫草のようなものを植えて、毒のない衛生的なものを用意しましょう)。
◆植物を食べたらどうするか
・その場にいたら、オヤツを持っていく、それを吐き出させる。手を入れて取ろうとしても、取られるのが、嫌なのですぐに飲み込んでしまう可能性もあるので、焦らず、他のもので気を散らしましょう。
・有毒植物の場合は、口や皮膚などを水道水で洗う。
・ケイレン、よだれが止まらない、フラフラしているなどがあれば、すぐに動物病院へ連れていってあげてくださいね。
◆飼い主のできること
・犬や猫がいるところには、なるべく植物を置かない。
・肥料、殺虫剤なども犬や猫が触れるところには、置かない。
・植物を置く場合は、犬や猫に中毒成分がないか調べる。
・仏壇の花で遊ぶ、犬や猫がいるので、気をつけてくださいね。
・家の中でいたずらをする子は、留守のときはゲージにいれておく。
◆まとめ
犬や猫は、飼い主が仕事をしているときに、何か面白いものがないか、と探しています。
目新しい植木などがあると、遊んでいる場合もあります。
クリスマスシーズンは、慌ただしくなり誤飲などが増える時期です。
彼らと楽しい時間を過ごしたいのなら、植物の中毒の知識を持って、彼らを守ってあげてくださいね。
彼らを包む全てのものが、安全で優しさで溢れるような時間を送ってもらいたいです。
石井万寿美 まねき猫ホスピタル院長 獣医師
大阪市生まれ。まねき猫ホスピタル院長、獣医師・作家。酪農学園大学大学院獣医研究科修了。大阪府守口市で開業。専門は栄養療法をしながらがんの治療。その一方、新聞、雑誌で作家として活動。「動物のお医師さんになりたい(コスモヒルズ)」シリーズ「ますみ先生のにゃるほどジャーナル 動物のお医者さんの365日(青土社)」など著書多数。シニア犬と暮らす。
official site https://manekinekohospital.com/
※上記の記事に関連した植物の写真を掲示しました!
・ポインセチア
・プリンセチア
・クリスマスローズ
・スイセン
・ヒヤシンス