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飛行犬の世界

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犬が空を飛ぶ? かわいすぎる「飛行犬」の世界
 年間300匹を相手にする夫婦 栃木の撮影会に行ってみた 

2019年11月23日(土) 47NEWS

「かわいすぎる…! 『飛行犬』が大人気」。
そんなまとめサイトのタイトルが、犬好きの私の目を引いた。
空飛ぶ犬? なるほど、走る犬の前足と後ろ足が浮いた瞬間は、まるで空を飛んでいるように見え、愛らしい。
栃木県でも撮影会をやっていれば、取材にかこつけて犬と触れ合えるのに。
淡い期待を抱いて検索し、ヒットしたのが「飛行犬撮影所 栃木支部」。
すぐさま主宰者に連絡をとり、撮影会に足を運んだ。
この日の会場は、栃木県那須町のスキー場「マウントジーンズ那須」に併設されたドッグラン。
ゴンドラに乗って標高1410メートルの山頂にたどり着くと、10月上旬とは思えない寒さに体が震えた。
雨も降りそうだ。
カメラマンを務めるのは、同県那須烏山市在住の高山健司さん(48)と妻の千鶴さん(46)。
「こんな天気だから今朝になってキャンセルもあったけど、10匹くらいは来るはず」
午前10時過ぎ、1組目の姿が見えた。
受付を終えると、高山さんが飼い主の加藤将樹(36)さんと妻の理恵さん(39)、ミニチュアシュナウザーのシュヴィをドッグランに誘導した。


シュヴィの飛ぶ瞬間を撮影する高山さん

 
見事に飛んでいるように見えるシュヴィ(高山さん提供)

「お母さんは、そこから名前を呼んでください。いつも通りに」「お父さんは合図するまでシュヴィちゃんを離しちゃだめ。もうちょっと奥まで行けるかな」。
高山さんの細かな指示に、戸惑いながらも応じる2人。
立ち位置の調整が済むと、高山さんがカメラを構えた。
「シュヴィ、おいで」。
名前を呼ばれ、一目散に理恵さんの元へ爆走するシュヴィ。
カシャカシャカシャ。
空飛ぶ姿を捉えるシャッター音が響いた。
写真をその場で確認した加藤さん夫婦は「本当に飛んでいる」と歓喜。
「撮影会はネットで見つけて知った。この前1歳になったから、良い記念になると思って」と笑顔で話した。
予約客の合間には、飛び込みの参加も。
偶然、愛犬クレアを連れて家族でドッグランを訪れた吉田啓介さん(52)は「大型犬のグレートピレニーズだから、思い切り走る姿はなかなか見られない。うれしいね」と満足そうだった。
高山さんに肩書はカメラマンなのかと尋ねると「いや、会社員ですね。エンジニアやっています」と意外な返事が返ってきた。
犬を飼い始めたのが14年前。
写真を撮るようになると、スマートフォンのカメラ機能では満足できず、デジタルカメラ、一眼レフ、とこだわり始めた。


飛行犬写真の撮影を終えた、おすまし姿のクレア(高山さん提供)

飛行犬の発祥は、兵庫県・淡路島の南あわじドッグラン撮影所。
高山さんは2013年ごろ、同じ構図で撮った写真をブログに載せたいと問い合わせた。
すると、写真の腕を買われ、カメラマンになるよう勧められたという。
「機材もそろっているし、やってみようかなと。犬好きと撮影好きが高じたわけです」。
以来、休日や有給休暇を使い、北関東を中心に年間約300匹を撮影する。
千鶴さんは受付で料金や商品について説明。
写真は高山さんが編集し、後日データで郵送される。
追加注文のカレンダーやアルバムも人気で、3割がリピーターだという。
高山さんが心がけているのは、犬の性格や年齢を考慮し、無理をさせないこと。
撮影は、犬と飼い主とカメラマンの共同作業。
飼い主の態度や犬とのやりとりを観察し、声掛けにも注意を払う。
「飛んでいる姿を撮るのが目的だけど、1匹1匹の魅力を引き出す写真も撮ってあげたい」と、フォトスタジオで撮ったような「おすまし写真」の撮影も。


飼い主の元に飛び込んでいった犬を見つめる高山さん

自宅にはプライベートドッグランを設け、遠方にも駆けつけられるようにキャンピングカーを購入した。
「たくさんの犬と関わることができて、飼い主にも喜んでもらえる。趣味の延長として、私自身が一番楽しんでいるかもしれない」。
レンズ越しに「空飛ぶ犬」を見つめる目は、どこまでも穏やかだ。
(共同通信=小作真世)

【写真】




 那須どうぶつ王国より
https://www.nasu-oukoku.com/news/2016/07/post-201.html

 

的場信幸(写真)  飛行犬カレンダー2019


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