【特集】ペットの遺骨はどこに!?
手を合わせていた場所に納められておらず...困惑する飼い主たち
2019年10月11日(金) MBSテレビ
ペットブームを背景に、飼っていた動物の遺骨をめぐって“ある問題”が浮上している。
飼い主たちは可愛がっていたペットを火葬した後、市営の斎場の慰霊碑に手を合わせていたのだが、なんとそこに遺骨が納められていなかったことを知った。
一体どういうことなのだろうか。
愛犬の納骨法要に訪れた夫婦と住職(泰聖寺:大阪・天王寺区)
ペットの火葬・納骨の申し込みは近年増加
今年10月、大阪市天王寺区の泰聖寺に愛犬の納骨法要を行う夫婦の姿があった。
「どこへ行くのにも一緒な感じ。自分の分身のような感じで、24時間一緒にいた。孫みたいな感じ。」(愛犬の納骨法要を行った夫婦)
夫婦が可愛がっていた愛犬・ネロ
この夫婦が11年間可愛がっていた愛犬・ネロはこの1週間前に老衰で息を引き取り、夫婦は境内にある動物供養塔に遺骨を埋葬した。
この寺ではペットの火葬や納骨の申し込みが年間300件以上あり、ここ4、5年で約10倍に急増したという。
「火葬された時、もしくは埋葬された時の証明書を発行しています。自分のところの家族のペットがどこに納まったのか、どこにお墓参りをしたらいいのかということは皆さん心配されること。」(柳谷観音 大阪別院 泰聖寺 純空壮宏住職)
しかし、自分のペットが埋葬されていると思って手を合わせていた場所に、実は遺骨が納められていなかったという問題が大阪の別の場所で起きている。
河内長野市営斎場にある動物たちの合同慰霊碑
愛犬の遺骨がいつの間にか見ず知らずの場所に!?
大阪府河内長野市に住む主婦のAさん(60代)は、これまでに4匹の愛犬を看取り、市が運営する斎場で火葬を行ったという。
「近いということもあるし、近くの道を通ってもあそこにいるねって手を振ったりとか。近いっていうのも選んだ理由の1つ。」(Aさん)
Aさんが火葬を行った河内長野市営斎場には動物たちの合同慰霊碑が建てられている。
慰霊碑の背後には遺骨を保管するための箱が置かれていて、当然、この中に遺骨が納められているものと信じて手を合わせてきた。
ところが…
「びっくりしました。頭真っ白になりました。」(Aさん)
今年7月、愛犬の遺骨がこの場所に納められていなかったことを知ったのだ。
愛犬の遺骨がいつの間にか移されていたAさん(60代)
Aさんが市に問い合わせると、次のような回答が返ってきた。
【河内長野市からの回答】
「市営斎場において火葬を行いました動物の遺骨につきましては、従前より専門業者に委託の上、一定量が貯まり次第回収し、最終的に宗教法人施設への埋葬を行っております。」
河内長野市によると、市営斎場では少なくとも20年前からペットの火葬後、一定の遺骨が貯まると委託業者を介して静岡や千葉などの寺に骨を移して埋葬していたというのだ。
愛犬の遺骨が見ず知らずの千葉県の寺に埋葬されていたことを知ったAさんは…
「ずっとそこに埋葬されていると思っていた私たち飼い主の気持ちをどういうふうに思っているのか聞きたい。本当に(千葉に)運んでいるのか、もし運んでいたとしてもきちんと供養をしていただいているのかっていうのは私たちは全然見えないので、わからないままです。」(Aさん)
斎場に遺骨がないことを知ったのはAさんだけではない。
「あそこ(動物慰霊碑)に入っているものだと思っていたので、まさかという感じでびっくりしました。一切説明もなかったし、そうであるなら書面で今こういう形になってますというのと、きちんとした説明がほしかったです。」(7年前に犬を火葬した飼い主)
河内長野市・環境経済部環境政策課 上田浩史課長
飼い主の疑問に市は…
多くの利用者が遺骨の扱いに疑問を抱いていることについて市は…
「過去のことについてはわからない部分があるが、そういう思いを持っている方については申し訳ない。我々も(遺骨の埋葬先を)皆さんに言ったか言っていないかということを言われると不明確な答えしかできない。申し訳なく、今後そこについては取り組んでいきたい。」(河内長野市・環境経済部環境政策課 上田浩史課長)
市は今年9月末から、火葬を受け入れる際に納骨場所がこの斎場ではないことなどを記した紙の配布を始めている。
「人間の家族が亡くなった時と同じようにペットに対しても思いを抱いているというのはすごく感じた。
ペットだからということではなく、人間と同じように丁寧な対応をしていきたいと考えている。」(河内長野市・環境経済部環境政策課 上田浩史課長)
東大阪市の大阪稲荷山動物霊園
行き場を失う?ペットの遺骨
去年10月から河内長野市営斎場からの遺骨の受け入れを始めた東大阪市の大阪稲荷山動物霊園では、新たに供養塚を建て動物たちの遺骨を埋葬している。
「行き場を失っている遺骨を納める施設を作りたいと思ったところにちょうど河内長野市の話をいただいた。ペットブームになっていろんな形態の動物霊園ができて、骨は行き場を失っているということが起きているということだと思う。」(大阪稲荷山動物霊園 山川幸男理事長)
ペットブームのなかで新たに浮かびあがった遺骨の問題は、ペットとの向き合い方について改めて問いかけているのかもしれない。
(10月10日放送 MBSテレビ「Newsミント!」内『特集』より)