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ペットの介護事情

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犬も年を重ねるにつれて認知症に… 現代のペットの「介護」事情は 

2019年7月27日(土) 産経新聞

犬も年を重ねるにつれて認知症になったり、視力や聴力が衰えたりする。
飼い主はどうしたらいいのか。
現代のペットの「介護」。
その事情をのぞいてみた。


預かった犬にマッサージをほどこすスタッフ=横浜市中区山下町の複合施設「ワンコット」(松崎翼撮影)

柴犬やヨークシャテリアが気持ちよさそうに目をつぶって、寝転がっている。
そばで女性スタッフがかいがいしく犬の脚をマッサージする姿があった。
横浜市中区山下町の犬向け複合施設
WANCOTT(ワンコット)」。

この施設では屋内ドッグランやペットホテルだけでなく、24時間体制で老犬のケアを行うサービスを提供している。
老犬ケアのスペースには、11~17歳の犬が10頭ほどいた。
マッサージのほかに、においで餌を探し当てる訓練なども。
犬を寝かせっぱなしにしていると、どんどん体が固まって歩けなくなってしまう危険性があるという。
「人間と一緒で、介護疲れに悩む人が多い。年老いたワンちゃんを一人で世話するのは本当に難しいので、任せられる部分はプロに任せて」。
ワンコットのスタッフ、北島愛さん(37)はこう呼び掛ける。
ここで老犬の介護に当たるのは、獣医師や動物看護師、トレーナーなど計約10人。
事前のカウンセリングに基づき、食事や排泄(はいせつ)管理、マッサージ、ストレッチなどそれぞれの犬に応じたきめ細かいサービスを提供している。
老犬だけでなく、体に障害がある犬なども年齢にかかわらず預かっている。
入所金10万円で、月額12万~23万円、ほかに医療予備費として10万~18万円を預かる。
犬も人と同じように認知症になる。
進行すると、生活リズムが狂って夜に徘徊(はいかい)するようになったり、トイレの概念自体が失われ、どこでも排泄するようになったりするなど飼い主の負担は増える。
「夜に寝ることができず、もう限界」。
ワンコットでは夜通しの世話に耐えきれなくなった飼い主から、このような相談を受けることも少なくないという。
「真面目な人ほど『全部自分で世話しなきゃ』と考えてしまう。思い詰めてしまう前に相談してほしい」と北島さん。
人もペットも介護の悩みは同じ。
飼い主も一人で世話を抱え込まず、頼れる部分は他人に頼って息抜きすることも大切だろう。

■何ができる…悩む「看取り」
ペットと人との結びつきが強まると、家族同様、かけがえのない存在となる。
人間の長寿化が進むとともに、猫や犬も長生きするようになり、どう看取(みと)ったらよいか悩む飼い主も。最期まで世話をすることが飼い主の責任だ。
「最期まで強く立派だったね。ずっと、かあちゃんの自慢だよ」。
神奈川県茅ケ崎市の獣医師、古山範子(のりこ)さん(49)は今年1月、雑種の雄猫「あめり」(9歳)を看取った。
古山さんの家には保護した猫が5匹いる。
あめりは他の猫の毛繕いをしたり、トイレの砂かけをしてあげたり、「おせっかいのおばちゃんみたい」だった。
2年前から内臓の疾患にかかり、生死をさまよった。
最期の夜、妙な鳴き声が聞こえた。
「もう何かをしようという段階ではなかった」。
2時間ほど膝に乗せて様子を見守った。
「頑張ったから」「頑張ったね」。
涙は出なかった。
古山さんは5月に出版された「はじめての猫のターミナルケア・看取り」の監修に携わった。
ペットの看取りは難しい。
医療を尽くした後、果たして飼い主がしてやれることはあるだろうか。
「薬の副作用が強くなって『つらい時間』をつくってしまうこともある。穏やかな時間を過ごしてもらうことが大事だ」と古山さん。
看取りでは、どうしても自分の感情(悲しみ)を優先してしまうことがある。
飼い主の心配があまりに出てしまうと、犬や猫が「病気」と感づき、不安がらせてしまう。
普段通り接することが求められる。
死んだときの「ペットロス」も課題だ。
古山さんは「ペットロスは当然。誰でも愛する存在を失ったら同じ。悲しむときは悲しみ、気持ちを共有できる人がいればよい」と話す。
「日にち薬」という言葉がある。
時間がたてば心は軽くなっていく。
供養して気持ちの整理をつけ、再び前を向けば、天国のペットも喜ぶはずだ。 

【表でみる】治療中に飼い主が注意すべきこと 


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