「犬を飼いたいお友達へ」
ある少女の言葉をまとめた動画に涙
2019/7/8 07:00 おたくま経済新聞
子供の頃、友達がペットを飼っていて、自分も飼いたいと親にせがんだり、逆に子供からせがまれた経験、ありませんか?
そんな風に、犬がいることを友達からうらやましがられた時、ある少女が語った言葉をまとめた動画、「犬を飼いたいお友達へ」がTwitterで共感を呼んでいます。
Mack君と娘さん
犬を飼いたいお友達へ
犬と暮らしたら あんまり旅行に行けないよ
犬と暮らすと 外食もたまにだよ
犬がいると 自分の物は片付けないと壊されちゃうし、食べられちゃう
食べこぼしも気をつけないといけないし
ウンチやオシッコも手につくよ
我慢することいっぱいだよ
気をつけないといけないこと いっぱいだよ
でもね そのかわり毎日凄く幸せだよ
犬がいると、笑顔いっぱい 会話もいっぱい
看取りは悲しかったけど 私はずっと犬と暮らしたいな
犬っていいよ。 犬でも、大事な家族だよ。
天国に行くのを見守るまでが、犬を飼うってことだよ。
おわり U・.・U
この動画をツイートしたのは動画の少女の母であり、Twitterユーザーの「Mack爺@転生Shake君」さん。
動画にまとめられているのは、現在小学生の娘さんが、友達から「いいな~〇〇ちゃんちは犬が居て~」と言われている時、そのお友達に語ったもの。
詳しいお話をお母さん(Mack爺@転生Shake君さん)から伺いました。
娘さんが生まれた時、家にはお母さんが独身時代から飼っていた、ミニチュアダックスのMack君がいました。
Mack君とともに娘さんは育ちましたが、幼稚園の半ばごろまでは動物のいない家庭の子供とそれほど変わらず、自分が可愛がりたい時にMack君を撫で、排泄物には触れたくない……という感じだったそうです。
そんな娘さんに変化が訪れたのは、幼稚園の年中半ばごろ。
15歳をすぎ、老境に入ったMack君は、体調を崩すことが増えていったといいます。
ある時、免疫力の低下などにより、細菌の感染で皮膚に膿ほうができる膿皮症を発症したMack君。
背中一面がただれたような状態になりました。
症状の手当てで膿を絞り、薬を塗るお母さんの姿を毎日見ていた娘さんが、突然泣き出したことがあったそうです。
訳を聞くと「私は何もできない。かわいそう」と、自分の無力さを嘆いていたのでした。
お母さんはそんな娘さんに、そばにいてMack君を撫でてあげてね、とお願いしたといいます。
その時を境に、娘さんのMack君に対する接し方は変わっていきました。
膿の付着したティッシュを捨てにいったり、薬を塗布する際には声をかけ、Mack君を落ち着かせたりと積極的に関わるようになったとか。
娘さんが小学校に入学した頃からは、神経疾患や内臓疾患による入院などで歩けなくなってしまったMack君。
介護生活が始まりましたが、この頃になると娘さんは手に排泄物がついても動じなくなり、粗相するウンチを手で受け止めることも。
それとともに、寝たきり状態のMack君のそばで、おもちゃを使って遊んだり、愛おしそうに体を撫でたり、ただ姿を見つめて微笑んだりと、娘さんの中で犬を愛でる気持ちが育っていったようだ、とお母さんは感じていたそうです。
寿命が近づき、苦しむMack君の姿を目の当たりにし、再び「何もできない」と嘆く娘さん。
そんな娘さんをお母さんは、自分もずっと一緒に過ごしてきてつらい気持ちを抑えながら「Mackは最後に一番大切なことをあなたに教えるんだよ。それはもう、そんなに先のことじゃないからね。毎日を大切に、Mackとの時間を噛み締めてね」と、嘆くたびに何度も伝えたそうです。
Mack君との別れが訪れたのは、2017年10月20日23時5分。
18歳4か月と24日目のことでした。
娘さんは眠りについていましたが、お父さんが起こして、まだ温もりの残るMack君を抱かせてあげたそうです。
お母さんは「娘が声にならない声で泣いたのは、この時が初めてでした」と振り返っています。
火葬され、また家に戻ってきたMack君。
一連の弔いで、娘さんは少しずつ「死」というものを自分の中で整理し、理解していったようだったとお母さんは語っています。
Mack君がいなくなって、全員がペットロスとなり、会話も減っていたという家族。
そこにShake君がやってきたのは、およそ8か月後。
これにも運命的な巡り合わせがあったといいます。
Mack君の四十九日が過ぎたあたりから「誕生日は5月の初めだよ」と犬に伝えられる夢を見たというお母さん。
今度は娘さんに子犬から成長する姿を感じてもらいたい、とブリーダーのサイトをたまに閲覧していたといいます。
ある晩、枕の下の携帯を動かした際に起動してしまったらしく、画面の明かりが枕から漏れていたので、またスリープ状態に戻そうと携帯を取り出すと、そこにShake君の紹介ページが表示されていました。
誕生日を見ると5月4日。
あの夢の「誕生日」と時期が一致する上、カラー違いではあるもののMack君と同じスムースヘアのダックス。
まず一旦お母さんが会いに行き、数日後に家族全員で会いに行きました。
見慣れない人間と対面して緊張気味の子犬に、娘さんが何気なく「Shake」と呼びかけると、その声で尻尾を振ったといいます。
もう一度「Shake」と呼びかけると、同じように尻尾をふる子犬。
これをきっかけに、Shake君は家族の一員になったといいます。
Shake君がやってきてからというもの、それまでの日々が嘘のように家庭が明るくなったそうで、もちろんMack君のことは忘れてはいないものの、子犬らしいShake君の様子に笑顔が絶えない毎日だとか。
7月8日で、Shake君がやってきてちょうど1年。
最近娘さんはしみじみと「犬がいるって、いいよね」と言うそうです。
生まれた頃からMack君と一緒にいて、そして犬のいない期間を経てShake君を迎えた経験が、そう感じさせるのかもしれません。
膿皮症になったMack君ですが、ずっと治らない“かさぶた”があったとか。
実はShakeくん、ちょうどその位置にあたるところだけ、毛の色が濃いんだそうです。
本当に運命を感じさせるお話ですね。
お母さんはMack君の介護を通じ、娘さんが感じたことを「老犬の十戒」としてまとめ、公開しています。
これは犬に限らず、ペット全体に当てはまることでもあります。
命を預かるということ、ペットもともに生きる大切な存在であることを感じさせる言葉です。