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猫50匹を「手にかけた」…被害の猫見つからず

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猫50匹を「手にかけた」…被害の猫見つからず

2019年6月30日(日) 読売新聞 

他人の飼い猫を盗んだとして、13日に富山市の無職男が窃盗容疑で逮捕された。
男は猫の遺棄を含めて容疑を認めるが、重要な被害品の猫は見つからないままで、立証のハードルは高い。
容疑者の勾留満期が迫る中、捜査当局は、器物損壊罪や動物愛護法違反も視野に、どうにか起訴をしようと、ギリギリの検討を続けている。
(山下真範) 

「1年以上前から十数匹の猫を盗み、死んだ後に用水路に捨てた」。
5月に射水市内の路上で、近所の男性の猫を盗んだ疑いが持たれる容疑者の男(52)はそう供述する。
男は「盗んでいじめたかった。自宅でケージに入れ、園芸用の棒で突いていた」とも話し、自宅からはケージ1個のほか、金属製の棒数本が押収された。
県警は猫を車で持ち去る瞬間の目撃情報もあり、逮捕した。
容疑者のいじめによって猫が死んだとみて、裏付けを進めている。
だが、肝心の「盗品」である猫自体はこれまで一匹も見つかっていない。
起訴の可否については刑事裁判に詳しい弁護士の間でも、「盗品がない以上、難しい」「犯行前後の足取りに加え、犯行時の目撃情報もあれば可能だ」と意見が割れる。
器物損壊罪や動物愛護法違反での立件も、猫の未発見がネックとなる。
ある検察関係者は特に立証が困難とされる「遺体なき殺人」になぞらえ、「遺体があったとされる場所に大量の出血があり、被害者のものと特定された上で自白があれば立証は可能」とのことから、猫の場合でも、「傷つけた凶器に毛や付着物があれば鑑定ができ、手がないわけではない」と話す。
動物のDNA鑑定に詳しい麻布大獣医学部の村上賢教授によると、「容疑者と飼い主の双方から保存状態の良い毛が5本以上提供されれば、鑑定で猫の個体を特定することは可能」としつつも、今回の事件では容疑以外の猫も同じケージで飼われていたとみられることなどから、「複数の毛が交じったものが鑑定に使われれば、個体の特定は非常に困難だ」と指摘する。
男の勾留満期は来月3日に迫る。
逮捕前には「50匹ほど(を手にかけた)」とも語っており、警察幹部の一人は、「反響の大きさを考えても起訴できなければ世論が許さない。なんとか起訴にこぎ着けたい」と本音を漏らす。
一方、検察関係者によると、窃盗罪の成立には、「自己の所有物としてその経済的用法に従い利用もしくは処分する意思」などが求められる。
つまり、「売ろうと思った」「猫が欲しかった」などという意思が必要とされる。
「いじめたかった」という男の供述がこの意思に当てはまるかは微妙なため、動物愛護法違反より法定刑の重い器物損壊罪での起訴か、もしくは不起訴になる可能性が高い。


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