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犬猫の殺処分基準 自治体でばらばら

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犬・猫の「殺処分数」に含まれない処分 自治体で基準ばらばら 

2019年6月6日(木) sippo(朝日新聞)

犬猫の「殺処分ゼロ」を達成した――。
こう発表する自治体が相次ぎそうだ。
環境省が今年度から、「攻撃性がある」などと判断した犬猫を「譲渡不適切」と分類し、殺処分しても、従来の殺処分数から除く数え方に変更するためだ。
近年、一部の自治体で「ゼロ達成」が目的化しており、専門家からは「どんな犬や猫を譲渡不適切とするか、適切な判断が行えない自治体も出てくる」と、懸念の声も上がっている。


自治体施設に収容され、処分を待つ犬たち

2013年施行の改正動物愛護法で都道府県などの自治体は「殺処分をなくすことを目指す」という条文が盛り込まれた。
このため多くの自治体が、民間団体などと協力して収容した犬猫の譲渡先を探し、「殺処分ゼロ」を目指している。
環境省は毎年、この殺処分数を各自治体に調査、統計データを公表している。
しかし15度分の調査からは「譲渡することが適切ではない(譲渡不適切)」と判断したものと、収容中に「傷病死」したものを、試行的に分類して集計するよう自治体に求めてきた。
同省動物愛護管理室は「譲渡に適した個体を顕在化する効果がある」と説明する。
同省の要請と前後して、自治体側が「譲渡不適切」や「傷病死」を除いて、殺処分数を発表する事例が出てきている。


茨城県動物指導センターから愛護団体が引き出した保護猫たち

東京都は146匹を殺処分
この4月、18年度に「犬猫殺処分ゼロ」を達成したと発表した東京都の場合、実は、新たな飼い主に譲渡するのは不適切であると分類した犬猫146匹を殺処分している(速報値)。
収容中にケガや病気で死んだ犬猫も211匹いた。
東京都では16年度に発表した15年度分からこのような分類・集計方法を採用しており、16年度に就任した小池百合子都知事が「犬猫の殺処分ゼロ」という目標を立てたことを理由に挙げる。
「すべての殺処分をゼロにすることは不可能。努力で減らせる殺処分をゼロにしていくために、このような分類・集計方法に変更した」(都環境保健衛生課)と説明する。
また神奈川県では、環境省に報告する殺処分数から、傷病死した犬猫の数を除外することで、18年度まで犬は6年連続、猫は5年連続で「殺処分ゼロ」を達成したと発表している。

「譲渡不適切」の基準ない自治体も
専門家からは、自治体の恣意的な集計を懸念する声が出ている。
朝日新聞は昨年12月、動物愛護行政を所管する全国の都道府県、政令指定都市、中核市のすべて計121自治体に調査を行った。
すると17年度時点で「譲渡不適切」の分類を始めている自治体が107あった。
しかし、譲渡不適切と判断するための根拠となる「判断基準やガイドラインを策定している」と答えたのは73自治体で、何も策定していない自治体が34あった。
例えば東京都はガイドラインを持っていない。
都動物愛護相談センターで働く複数の獣医師がその都度、▽著しい苦痛をともなっている▽著しい攻撃性があるなどと判断し、分類している。
一方、兵庫県では、子犬・成犬・子猫・成猫についてそれぞれ細かく判定基準を設けている。
例えば子犬は、1次判定で生育環境や人への恐怖心、健康状態などをチェック。
2次判定では「子犬から少し離れてしゃがみ、軽く手を鳴らして子犬の注意をひく」時の反応など5項目で性格を判断するなどしたうえで、総合的な判定を下す。
成犬だとより項目を増やし、3次判定まで行う。
その結果、殺処分した犬猫のうち譲渡不適切と判断された割合が、自治体で大きく異なった。
ガイドラインなどを策定していないのに殺処分した262匹すべて(100%)の犬猫を譲渡不適切と判断した高知市などの自治体がある一方で、ガイドラインによって判断した結果、殺処分した犬208匹のうち17匹(8%)、猫278匹のうち30匹(10%)しか譲渡不適切としなかった高松市のような事例もあった。

「全国的基準が必要」
環境省が発表した17年度の殺処分数(負傷動物を含む)は犬8711匹、猫4万2784匹だった。
しかし、各自治体が「譲渡不適切」(犬5320匹、猫1万7382匹)や「傷病死」(犬1115匹、猫1万555匹)と判断した数を集計して除くと、新定義の「殺処分数」は、犬2276匹、猫1万4847匹にとどまる。
またこの分類・集計方法を採用すると、17年度時点で47もの自治体が「犬猫殺処分ゼロ」を達成していたことにもなる。
米国獣医師で、日米の犬猫保護施設の管理状況に詳しい西山ゆう子さんは、「全国的な基準を設けなければ、行政の透明性が確保できない。なかには『殺処分ゼロ』と発表することが目的化して、適切な判断が行えない自治体もあるのではないか。また、自治体の施設に入って傷病死している数が1万匹以上に上るのにも驚く。米国なら、『医療ネグレクト』と判断されるだろう」と指摘する。
一方で環境省は、譲渡不適切の判断基準があいまいだという指摘について「環境省として譲渡不適切な犬猫の定義や判断基準を作る予定はない。自治体の裁量で判断すべきものだと考えている」(同省動物愛護管理室)としている。

【写真特集】自治体施設から引き出されるなどして、譲渡会に参加した猫たち

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行政期間における「殺処分ゼロ達成!」は誇らしげに言うべきことではない。
日本はなにかにつけブームに乗るような傾向が見受けられる。
ここにたどり着くペットたちは最終的なものであって、ペット流通過程において捨てられ、虐待され、命を落とすペットたちは数知れず・・・
入り口の部分の問題を解決しない限り不幸な動物たちは無くならない。
表面的なことだけにとらわれないでほしい!
(byぬくもり)


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