和歌山県動物愛護センター 活躍スタッフ犬、笑顔の中心
2013.3.6朝日デジタル 朝日新聞
捨てられ収容・・・9頭 人気者に
紀美野町の県動物愛護センターに、スタッフとして活躍する9頭の犬がいる。
飼い主に捨てられ、保健所や同センターに収容されていた過去をもつ9頭は今、訪れる人々から愛され、センターに欠かせない“顔”となっている。
(益田暢子)
2月下旬、同センターで開かれた動物愛護教室。
職員が4頭のスタッフ犬を伴って登場すると、参加した大阪府阪南市の尾崎保育所の園児ら約90人は大興奮。
「フサフサしていて、かわいい」と笑い声が響きわたった。
この日登場したのは小型犬の「シン」と「リン」、大型犬の「ウータ」と「チイ」。
4頭とも雑種で、生まれて間もないころ同センターに収容された。
ポメラニアン系のシンとリンは兄弟で、母親犬が御坊署に保護されていた際に生まれたという。
同センターが2頭を引き取り、スタッフ犬として採用した。
スタッフ犬は、平成12年の同センター開設と同時に活動をスタート。
主に子供向けの動物愛護教室や、動物と触れあうことで高齢者に安らぎを与える活動などに参加する。
実際に人に触ってもらう機会が多いため、厳しい審査をくぐり抜けた適性のある犬だけが選ばれる。
審査基準は「まず人が好きでないとだめですね」と同センター業務課長の坂本広典さん(46)。
センターに収容された犬は人を怖がったり、凶暴性があったりする場合も少なくない。
「後ろから抱きつかれても我慢できるか」「人に囲まれても落ち着いていられるか」といった社交性や許容性をチェックし、適性審査は3回にわたって行われる。
審査をクリアしたスタッフ犬は人なつこく、「犬にまた会いたい」と県外から訪れる人も多いという。
坂本さんは「目標は処分される犬や猫の数をゼロに近づけること。動物が与える“潤い”をスタッフ犬との触れあいを通じて、感じてもらえれば」と話している