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ガン闘病中の愛犬と旅行に・・・

ガン闘病中の愛犬と旅行に出かけたら・・・まさかの行動に涙 

2019年5月2日(木) 女子SPA! 

<16歳の愛犬を亡くした心理カウンセラーが考えるペットロス Vol.23>
心理カウンセラーの木附千晶さんは、16年一緒に暮らしたゴールデン・レトリーバー「ケフィ」を2017年1月に亡くしました。

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⇒【写真】ケフィ 

ケフィはメニエール病などと闘い、最後は肝臓がんのために息を引き取ったのです。
前後して3匹の猫も亡くし、木附さんは深刻なペットロスに陥ってしまいます。
自分の体験を、心理カウンセラーとして見つめ、ペットロスについて考えます(以下、木附さんの寄稿)。

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◆ガン治療を始めたものの……苦しそうなケフィ
本格的な抗ガン剤の投薬をはじめてから10日が過ぎた2016年3月後半は、前々から予約していた2泊3日の小旅行の日でした。
小旅行の目的は、「ケフィとの夏休みを過ごすために良さそうな近場の海を探すこと」。
でも、今のケフィを外泊させて大丈夫なのか、さんざん迷いました。
投薬は始めたものの、ケフィは相変わらずぐったりとして、食欲ほとんどありません。
1日中、寝てばかりで、立ち上がるのもおっくうそう。
足取りも不安定なため、トイレに連れ出すときには介護ベストを着せていました。
右の胸から足の付け根にかけてはリンパが赤く大きく腫れ上がり、毛は抜け落ち、皮が割けて膿のような液体がしみ出し、べったり張り付いていました。
「熟れた果実の実がはちきれ、果汁がしたたって固まった」ような見た目です。
患部をなめてどんどん傷を広げてしまうので、洋服を着せたり、ガーゼを当てたり、エリザベスカラーを付けるなどしていました。

◆頭の中の“ぐるぐる”が止まらない
「この状態のケフィにとって小旅行は楽しい時間になるのか」
「移動するだけでもしんどいのではないか」
「私が『ケフィとの旅行を楽しみたい』という欲を押しつけているだけなのでは?」
いろいろな考えが頭の中を駆け巡ります。
2015年12月に、心膜に水が貯まる心タンポナーデでケフィが倒れてからというもの、悩んだり、迷ったり行ったり来たり、ぐるぐると考え込んでしまうことばかりです。
「いっそのこと宿はキャンセルしたほうがいいのでは」
「いやでも、もしかしたらこれが最後の旅行になるかもしれない」
「だったらやっぱり行くべきかも……」
担当獣医師にもすぐには相談できませんでした。
「もし、『止めておきましょう』と言われたら……」と思うと、なかなか踏み切れません。
毎年恒例だった沖縄旅行をあきらめたときの苦い思いがこみ上げてきます。

◆担当獣医師の言葉に励まされ
ところが、意を決して尋ねた担当獣医師の答えは、びっくりするものでした。
「行きましょう!! 大丈夫です、行けますよ!」
「家でじっとしていても病状が悪化するときは、します。それを恐れて家に閉じこもっていたら、ご家族が参ってしまう。それはケフィちゃんにとってもよくありません。ケフィちゃんは家族との旅行が大好きだし、ご家族もそれを楽しんできました。だったらできるだけ今までと同じように生活するほうが、みんなにとって幸せなはずです」(担当獣医師)
その言葉に励まされはしたものの、おっかなびっくりの小旅行。
元気なときのケフィは、犬用シートベルトを引きちぎらんばかりの勢いで後部座席を行き来し、窓から顔を出そうと乗り出したり、息を弾ませたりしていました。
でもこの日は、車中でも、宿に着いてからも、横たわっているだけ。
「やっぱり、無理させたのかも……」と、思って過ごした夜のことです。
家族で夕飯を食べていると、ケフィがおもむろに立ち上がり、テーブルの側まで寄ってきました。
そして、首をかしげながら人の間を行き来し、「なに食べてるの?」「おいしい?」「ケフィにもちょうだい」と、尻尾をぶんぶんと振り出し、ご飯を食べ始めたのです。

◆海からの風を嗅いで走り出した!
そして翌朝。
前日まではトイレに連れ出すのも一苦労だったケフィが、自ら宿の庭へ出て行き、草の臭いをかぎ、海からの風を味わうように鼻をひくひくさせて小走りに走り出しました。
驚いたことに、庭の草に体をこすりつけ、土の香りを楽しむように、「ごろん、ごろん」と砂浴びを始めたです。何ヶ月ぶりかの、元気なケフィの姿でした。
「ケフィが、『ごろん、ごろん』してる!!」
私は小躍りしてカメラをかまえました。
「こんなに元気な、楽しそうなケフィにまた会えるなんて!」と、目頭が熱くなりました。

◆夏の海で、ケフィとした約束
帰る際、海に立ち寄りました。
行くときには、ぐったりしたケフィに見せる気持ちにもなれず、スルーした海です。
ケフィは砂浜を駆けて海に近づき、振り返って「今日は海に入らないの?」といった視線を向けてきました。
「これがケフィが海に入れる最後のチャンスかもしれない」とも思え、海に入れてあげるべきか一瞬迷いました。
でも、3月の海はまだまだ冷たく、病み上がりのケフィには堪えそうです。
だから、立ち去り難く、ずーっと海を見つめてるケフィに、私はこう約束しました。
「ケフィ、また今度にしよう。今年の夏も必ず海に来よう」

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海を前に、名残惜しそうなケフィ

<文/木附千晶>

【木附千晶】
臨床心理士。子どもと家族カウンセリングルーム市ヶ谷共同代表。子どもの権利条約日本(CRC日本)『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの力を伸ばす 子どもの権利条約ハンドブック』など。著書に『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』など。


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