生動物のサーカス出演が禁止へ、イギリスが法案発表
世界40カ国以上に広がる動物を守る動き
2019年5月2日(木) FINDERS
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空中ブランコやアクロバット、ピエロの曲芸などのパフォーマンスで、大人気のサーカス。夢とスリルの詰まったサーカスは大人から子どもまで夢中にさせる。
しかし、そんなサーカスが今、大きな局面を迎えている。
トナカイやシマウマ、ラクダなどが活躍しているイギリスのサーカスで、動物たちの演目は今後見られなくなるかもしれない。
2020年1月までに禁止を導入
イギリスのマイケル・ゴーヴ環境相は1日、サーカスによる野生動物の出演を禁止する法案を発表した。
「21世紀に野生動物を使うサーカスの場所はない。この法案がこの慣習を終わらせることを嬉しく思っている」と話すゴーヴ環境相。
「動物保護の世界的リーダーの地位をより確固たるものにした」と付け加えた。
この発表は2018年2月の政府の公約に従ったものであり、2020年1月までに禁止を導入する予定だ。
この法案は動物愛護団体が長年制定求めてきたもの。
英国動物虐待防止協会の広報部長を務めるデイヴィッド・ボウルズ氏は『BBC』に「この古い慣習を禁止する法案を歓迎する。私たちは長年、サーカスが野生動物を飼うことに反対してきた。動物たちは、サーカスの環境では満たされない複雑な欲求を抱えている」と語った。
法律上の野生動物とは家畜化されていない、自然に見られない動物と定義されている。
禁止の適用外である馬、ロバ、犬などの動物は当局によって定期的に検査が入るとのこと。
イギリス国民の94.5%が賛成
『The Independent』によると、公約を発表した2018年当時、イギリス国民の94.5%がこの法案を支持していたという。
サーカスの動物たちはしばしば暴力を振るわれたり、不衛生な環境に置かれるなど、悲惨な状況に追い込まれてきたとのこと。
スコットランドでは2017年末にサーカスによる野生動物の出演を禁止する法案が制定され、イギリスにおいても半数以上の地方自治体がこのようなサーカスの興行を禁止している。
また、ヨーロッパの大部分、ラテンアメリカ、アジアを含む世界40カ国以上で、すでに動物を使ったサーカスが禁止されている。
日本においてもサーカスに対して抗議活動が行われており、近い将来動物の演目が消える可能性は決して低くないようだ。
岩見旦