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クラスメイトの見守り犬「ジェード」

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クラスメイトの見守り犬「ジェード」 卒業式出席(静岡) 

2019年3月28日(木) 朝日新聞 

静岡県牧之原市の山あいにある市立萩間小学校。
16日の卒業式で児童17人に卒業証書が手渡される様子を、来賓席から1匹の黒いラブラドルレトリバーが見守っていた。
8歳のメスで名前は「ジェード」。


登校時、ランドセル姿でジェードをなでる児童ら=2019年3月15日午前7時34分、静岡県牧之原市黒子の萩間小、佐々木凌撮影

毎週月曜の朝7時半になると、飼い主の永田菊寿さん(65)に連れられて校門前に現れ、お座りをして児童の登校を待つ。
「ジェーちゃん、ジェーちゃん」と頭や背中をなでる児童たちの輪が、自然とできあがる。
中には教室にランドセルを置き、わざわざ戻ってくる子もいる。
ジェードの「見守り犬」としての役目は、卒業生たちが入学した6年前に始まった。
苦手な暑い日も、雨の日はカッパ姿で、月曜朝の校門に座り続けた。
     ◇
ジェードはもともと盲導犬を目指していた。
富士宮市の盲導犬訓練施設「富士ハーネス」で生まれ、訓練を受けた。
指示を守る賢い犬で、最終試験まで残ったが、他の動物への興味が強い好奇心旺盛な性格が災いし、2度とも不合格に。
2012年、2歳の時、会社を早期退職して「相棒」を探していた永田さん一家のもとに引き取られた。
落ち着きがあって子どもと触れ合うことも苦にしないジェードの姿を見た永田さんは、「この子には特殊な才能がある。盲導犬にはなれなくても、人の役に立たせてあげたい」と考えるようになった。
ちょうどその頃、永田さんに「新たに発足させる見守り隊の隊長になってくれないか」と当時の校長から話があり、「ジェードも一緒なら」と活動を始めた。
今では永田さんは副隊長に「降格」し、ジェードが隊長になった。
新入生の中には、体の大きいジェードを怖がる子もいる。
それでも、ほえずにじっとしているジェードに安心するのか、1カ月もすると駆け寄るようになる。
「6年間見守ってくれたので、最後の卒業まで見守ってほしい」と、ジェードを卒業式に招待したのが岩本幸子校長。
「子どもたちには学校を楽しみに登校する子もいればそうでない子もいる。ジェードはそんな子どもたちみんなを笑顔にしてくれる存在」という。
     ◇
式当日、ジェードは永田さんの横に座って静かに進行を見守り、卒業生を見送る花道にも加わった。
式の後は卒業生が次々とジェードに駆け寄り、頭をなでながら「ジェーちゃんバイバイ、ありがとう」と声をかけ、別れを惜しんだ。
榛地将仁さんは「6年間一緒に居るので、クラスメートみたいな存在だった」、水野陽さんは「休み明けでしんどい時も、ジェーちゃんのおかげで元気が出た」。
ジェードは人間で言うと60代半ば。
永田さんの年齢に追いつき、白髪が増え、家では寝ている時間も増えた。
それでも永田さんは、隊長との活動をまだ終えるつもりはない。
「元気な限り、一人でも多くの子どもたちの思い出になれるよう見守りを続けていきたい」
(佐々木凌)


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