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犬猫販売「8週齢規制」実現へ

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犬猫販売「8週齢規制」実現へ、
 風向きに変化 販売大手が自主規制 

2019年3月27日(水) sippo(朝日新聞)

幼すぎる子犬・子猫の販売を禁じるいわゆる「8週齢規制」。
これまでペット関連業界の反対で実現してこなかったが、今年になって販売大手のコジマが自主規制に踏み切り、風向きが変わりつつある。

 
出荷前の柴犬の子犬たち。この繁殖業者は社会化期を考慮し「早くても生後60日までは販売しない」という

先取り導入で一石
「生後8週(57日)以降の引き渡しを推奨します」
今年1月、ペット販売大手のコジマが、子犬・子猫の販売時期について新しい見解をホームページや店頭で公表し、注目を集めた。
動物愛護法は本則で生後56日(8週齢)を超えるまで子犬・子猫の販売を禁じているが、実際には付則により、49日(7週齢)を超えれば販売できる。
このためペットショップと取引する繁殖業者のほとんどが、生後50日で子犬・子猫を出荷しているのが実態だ。
こうした中でコジマは、8週齢になるまでは、専属獣医師や販売スタッフの手元におき、その後に販売することにした。
8週齢規制を先取りするものだ。
8週齢規制は欧米先進国の多くで導入されている。
この頃まで、幼い犬猫を生まれた環境で母親やきょうだい、人間にふれあわせ、家庭犬・家庭猫として適切に「社会化」することが成長後の問題行動を予防し、また、免疫力を高めてから出荷・販売することで感染症のリスクを減らすと考えられているからだ。
だが日本では、少しでも幼いうちに販売する方が「かわいい」とされ売りやすく、飼育コストも抑えられるため、ペット関連の業界団体が導入に強く反対してきた。
結果として、7週齢規制にとどまっている。
コジマの取り組みは、この状況に一石を投じた。
川畑剛社長は、「親元に8週齢までいた方が問題行動が少なくなるという論文や文献が海外で多数出ている。また7週齢は、免疫が不安定な時期にあたることも確か」と話す。
本来は8週齢まで生まれた環境で育てるのがベストだが、繁殖業者が幼いうちに出荷する現状のなか、「せめてできる範囲で社会化し、免疫的に問題のない状態にして販売しようと考えた。それが販売者責任だと思う」と言う。

業界、獣医師会も姿勢一転
コジマが先陣を切ったことで、ほかの販売大手も同様の姿勢を示し始めている。
全国で約100店を展開するAHBの川口雅章社長は、「法規制がないために現状では難しいが、本来、社会化期を大切にする方向に向かうべきだ」。
全国約80店のペッツファーストも「もちろん8週齢規制にすべきだ。子犬・子猫の健康を考えたら、当然そのほうがいい」(正宗伸麻社長)とする。
同社は直接取引がある繁殖業者に対し、8週齢以降での出荷を促す交渉を始めつつあるという。
こうした中で、販売業者らで作る全国ペット協会も、最近になって8週齢規制に賛成の立場に転じた。
販売業以外の業界関係者にも、変化が起こっている。
年初に開かれた業界団体の賀詞交歓会では、日本獣医師会の境政人専務理事のあいさつが話題になった。
日本獣医師会はこれまで規制強化に消極的な姿勢を示してきたが、容認する発言をしたのだ。
境氏は発言の意図を、「『49日』は法律上の経過措置で、本則の『56日』に当然なる。感染症予防の観点からも、8週齢でワクチン接種をし、免疫力を高めた『完璧な商品』として出荷するのがプロの仕事ではないか」と話す。
繁殖業者らを代表するジャパンケネルクラブ幹部も「まともな業者はそもそも8週齢以降に出荷・販売している。そのほうが安心して飼い主さんに渡せる」と言う。
別の団体の幹部は「消費者が8週齢以降の販売のほうがいいと考えるようになった。むしろ業界側から、8週齢規制にしてもらうよう要望する時期にきている」と背景を説明する。
子犬・子猫の出荷価格が5年前と比べると3倍前後になっており、飼育コストの上昇を十分に吸収できる市場環境にあることも、後押ししている。
こうした動きも追い風に、超党派の国会議員が作る「犬猫の殺処分ゼロをめざす動物愛護議員連盟」が今国会での動物愛護法改正で、付則の削除を目指している。
19日には俳優の浅田美代子さんやミュージシャンの世良公則さんらが中心となって、衆院第1議員会館で8週齢規制の実現を目指す集会を開いた。
登壇した超党派議連のプロジェクトチーム座長、牧原秀樹・衆院議員は「議連としては、法の本則である『56日』にきちんとしようということで、全力を尽くす」と話した。


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