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大震災3年 不明の愛猫戻る

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大震災3年:不明の愛猫戻る 首輪の電話番号が絆に 岩手

2014年05月10日 毎日新聞


「ちょっと早い『母の日』のプレゼント?」。
飼い猫のスイカと約3年2カ月ぶりに再会した山岸剛郎さん(右)と一子さん夫妻
=岩手県大船渡市で2014年5月9日、根本太一撮影

東日本大震災で行方不明になった猫が9日、約3年2カ月ぶりに岩手県大船渡市の家に戻り、飼い主の山岸剛郎(たけお)さん(67)、一子(かずこ)さん(64)夫妻と再会した。
子ども2人が独立し、寂しい生活を潤わせていた雄の黒い雑種で名前はスイカ。
首輪に小さく書いておいた電話番号が絆になった。
「お帰り!」。山岸さん夫妻は優しく抱き締めた。
県大船渡保健所によると、スイカは4月初め、山岸さん宅から南に約15キロ離れた陸前高田市の杉林で保護された。
見つけた人が哀れんで連れ帰ったが、仮設住宅住まいのため周囲に迷惑がかかると同10日、保健所に託したという。
保健所は、引き取り手のない野良猫は処分するが、人懐こく、首輪も着けていたため「飼い主が現れるかもしれない」と待ち続けた。
そして今月8日、里親募集のため写真を撮ろうとした時、首輪の汚れと思っていた部分に、剛郎さんの名前と携帯電話番号が書かれていることに気付き連絡した。
スイカは約15年前、山岸さんの長男(34)が大船渡市内で拾った。
子ども2人が就職して家を出てからは夫妻の生きがいになり、剛郎さんは日曜大工で、庭に日傘付きの寝床を作るほどかわいがった。
しかし、震災当日、2人が外出先から帰宅すると、高台の自宅は津波に遭わず無事だったがスイカは消えていた。
この年の夏には、諦めて寝床も解体したという。
そして、3年2カ月ぶりの対面。
スイカは着けた覚えのない鈴を3個、首輪に下げていた。
保健所の獣医師は「餌もない被災地で、厳しい冬を3回も越すのは無理」と話しており、この間、誰かに飼われていたとみられる。
スイカを抱きしめた一子さんは「半分ぐらいに小さくなっちゃって。毛も薄くなったね」とねぎらった。
剛郎さんは、さっそく新しい寝床作りにとりかかる。
【根本太一】


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