飼育頭数に一喜一憂せず、少子化や高齢化に対応した「共生社会」の実現へ
2018年12月28日(金) 夕刊フジ
【人とペットの赤い糸】
ペットフード協会が25日、2018年の全国犬猫飼育実態調査結果を報道機関に発表した。
主な結果を紹介したい。
犬と猫の飼育頭数は、昨年初めて猫の飼育頭数が犬を上回ったが、今年の犬の飼育頭数は昨年よりも1万7000頭減少し、890万3000頭となった。
一方、猫は3年連続して増加。昨年より12万3000頭増加し、964万9000頭となった。
飼育率は犬が12.64%、猫が9.78%であるが、直近5年で犬の飼育率低下が最も顕著なのは50代で2014年の18.2%から今年は14.5%に低下した。
70代では特に変化なしの10%だった。
猫は40代で増加傾向がみられ、14年の9.4%から今年は10.8%に増加した。
今後飼育してみたいという飼育意向率は犬20.7%、猫15.8%と依然高く、飼育率向上に期待がもてる。
犬猫の平均寿命の推移は多少のアップダウンはあるが、年々伸びる傾向にある。
今年は犬が14.29歳(超小型15.01歳、小型13.91歳、中・大型13.36歳)、猫が15.32
(外に出ない・内猫15.97歳、外に出る・外猫13.63歳)だった。
猫は野良猫が依然として多く、感染症や交通事故のリスクがある。
外猫を内猫にしてあげることで、2.34歳長生きさせてあげることができる。
ぜひ、全国で外猫から内猫に移行する推進活動を大々的に行いたいものである。
飼育のきっかけで一番多いのは、犬の場合「以前飼っていたペットが亡くなったから」27%(複数回答)、猫の場合「ペットを拾った。迷い込んできたから」35.4%(複数回答)。
飼育理由は「生活に癒し、安らぎが欲しかったから」(複数回答)で犬33.5%、猫31.5%だった。
なお、1カ月あたりの支出総額は、犬で1万368円、猫は6236円で、生涯必要経費は犬179万3005円、猫112万1526円である。
日本は高齢化率が28.1%になってきたが、「飼い主が高齢化した場合に、犬のためにあったらいいと思うサービス」(複数回答)は、「旅行中や外出中の世話代行サービス(ペットホテル等)」(17.7%)、「飼い主が高齢になりペットを飼えなくなった場合のペット受入サービス」(17.7%)、「老化したペットの世話対応サービス(介護専門スタッフによるプランニングと世話代行)」(17%)などとなっている。
犬の飼育頭数は2008年をピークに減少傾向が続いているが、飼育頭数の増減に一喜一憂するのではなく、少子化、高齢化に対応した「人とペットの共生社会」づくりを着実に進めて行きたい。
子供たちへは動物を介しての命の教育や触れ合い活動。
高齢者へは散歩代行を含めた世話代行サービス▽ペット専用タクシー▽見守りサービス▽宅配サービス▽往診サービス▽移動トリミングサービス▽ペット信託-などなど、さまざまな高齢者への支援制度を確立することにより、高齢化社会に対応した「人とペットの理想郷」を実現したいものである。
■越村義雄(こしむら・よしお)
一般社団法人「人とペットの幸せ創造協会」会長。同ペットフード協会名誉会長。一般財団法人日本ヘルスケア協会理事、「ペットとの共生によるヘルスケア普及推進部会」部会長など。