ファシリティドッグ「ベイリー」の引退式に行ってきました!
2018年11月8日(木) docdog magazine
日本国内の動物介在療法の先駆者「ベイリー」の活動に一区切り
ファシリティドッグ「ベイリー」の引退式に行ってきました!
こんにちは、ラボ長の小林です。
10月16日(火)、日本におけるファシリティドッグの先駆け「ベイリー」の引退式が、神奈川県立こども医療センターで実施され、私も参加してきました。
今回は、その引退式の様子をお伝えします。
小児病棟で動物介在療法に取り組む、認定NPO法人シャイン・オン・キッズとファシリティドッグの活動については、以前記事で紹介しています。
ファシリティドッグについてご存じでない方は、ぜひ合わせてお読みください。
Author :写真・文=小林辰也(編集部)
日本国内のファシリティドッグの先駆け「ベイリー」
弘明寺の駅前からバスに乗り、神奈川県立こども医療センターで下車すると、一緒にバスを降りた一人の女性が、知り合いのグループを見つけて駆けだしました。
久々の再会を喜ぶ挨拶の後、「今日はベイリーの引退式なのよ~」と話しているのを聞きながら、会場に向かいました。
今回の引退式は、参加者が非常に多かったことから、急きょ50人程度が入る講堂ではなく、神奈川県立こども医療センターの体育館で開催されることになったとのこと。
マスコミの取材もテレビ局を含め20社以上来ており、ファシリティドッグへの関心の高さを改めてうかがい知ることができました。
もちろんベイリーにお世話になった子どもやその家族、ベイリーと一緒に活動に携わった病院の関係者もたくさん参加していました。
ベイリーとの再会を喜ぶ子どもたち。ベイリーは、本当にみんなに愛されているのだと改めて実感
引退式の冒頭では、医療関係者からベイリーへ感謝の言葉が述べられました。
「ベイリーは、何よりも生きる力を子どもたちに与えてくれました」と、神奈川県立こども医療センターの山下総長。
また、以前ベイリーが所属していた静岡こども病院の瀬戸名誉院長は、「日本初のファシリティドッグとなったベイリーとそのハンドラー森田さんの苦労があったからこそ、現在静岡こども病院で活躍しているヨギや、ベイリーの後任のアニーの今の活動があります」と、ベイリーと森田さんの功績を大きく讃えました。
ベイリーの活動にみんな感謝
今回の引退式には、ベイリーにお世話になった子どもたちも多く駆けつけました。
式の中で、かつてベイリーと病院で過ごし、今では元気に小学校へ通う安田結ちゃんはベイリーとの思い出、そして感謝の言葉を披露してくれました。
「ベイリーは私にとっては友達です。そばにいてくれると入院中のつらいことも忘れさせてくれました。入院中は、ほとんど毎日病室へ来てくれたこと、つらいときは一緒に寝てくれたこと、とても感謝しています。これからはアニーにベイリーの分も頑張ってほしい。お疲れさまベイリー、おいしいものをたくさん食べて元気でいてね」
もう一人、高校生の時にベイリーと出会い、森田さんとベイリーの活動に憧れて、現在は都内で看護師として働く杉本真子さんも、当時は週3日しか病院に来ることができなかったベイリーに毎日会いたいがために、静岡こども病院の院長に直訴した話を披露。
「私はまだベイリーにおよばないけれど、ベイリーを目指して頑張っていきたい」と、仕事に対する意気込みも語ってくれました。
お話を伺っていて、動物は、本当に人の心を動かすこと、時には人生を変えてしまうほどのインパクトがあることを改めて感じました。
ベイリーの育ての親からは、意外な一面も紹介
今回は、ベイリーをトレーニングした、「アシスタンス・ドッグス・オブ・ハワイ」から、モーリン・マウラー理事長やアシスタントディレクターで育ての親のシャロン・ダーキスト氏が駆けつけました。
ベイリーが、コマンドを覚えるのが早かったことや、多くの犬が怖がるエスカレーターにもすぐに乗れるようになったこと、日本語をすぐに習得したことなどトレーニング中のベイリーの様子を語ってくれました。
ベイリーが他の犬より特に優れていたのは、ヒトの感情を察すること。
シャロン氏が、落ち込んでいる時に、そっとそばにいてくれたことがとても心の支えになったというエピソードも紹介されました。
そんなベイリーの唯一のいたずらが、つまみ食い。
引退式の途中で、ベイリーへケーキのプレゼントがありましたが、それも一瞬でペロリ。
食いしん坊は健在のようです。
今後もベイリーに会える。後任のアニーにも注目!
ベイリーの活動は、今回の引退式で一区切りにはなりますが、病院にはまだまだやってきます。
今後は、絵本の読み聞かせ会のサポートなどで、子どもたちとの触れ合いは続きます。
また、ベイリーの後任には、以前このコラムで紹介した、アニーがいます。
病院での仕事にも慣れて、ますます元気に、病棟を回って子どもたちを勇気づけていくことになります。
docdogとしても、今後とも、ファシリティドッグの活動に注目していきたいと思います。
式典後に、子どもたちからたくさんのプレゼントをもらって、ご満悦のベイリー。
病院の床が滑るので、最近は、靴をずっと履いているとのこと。
「日本初のファシリティドッグが教えてくれること」記事一覧
ファシリティドッグ「アニー」着任式に行ってきました!(2017年10月18日)
Vol.3:ファシリティドッグのいる病院を増やすために(2016年9月 9日)
Vol.2:子どもを勇気づけ、親をなぐさめるファシリティドッグの力(2016年8月19日)
Vol.1:犬を活用した医療活動、"動物介在療法"とは?(2016年7月28日)