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チョコ色のラブラドール・レトリバーは他の色より短命だった

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チョコ色のラブラドール・レトリバーは他の色より短命だった、研究

2018年10月25日(木) NATIONAL GEOGRAPHIC


チョコレート色のラブラドールレトリバーを誕生させるための交配法により、遺伝子プールが狭くなり、病気の罹患率が高くなった可能性があるという研究が発表された。(PHOTOGRAPH BY MARK RAYCROFT, MINDEN PICTURES)

ラブラドール全体の寿命は約12年、チョコレート色は10.7年と判明
世界の人気犬種ランキングで常に上位に入っているラブラドール・レトリバー。
だが、これから飼おうと思っている人は、毛の色よりも子犬の全体的な健康状態を重要視して選んだ方がよさそうだ。
というのも、チョコレート色のラブラドール・レトリバーは、他と比べてかなり短命であるという研究結果が、10月22日付けの犬専門の獣医学誌「Canine Genetics and Epidemiology」に発表されたからだ。
これには、当の研究チームも驚いたという。
オーストラリアのシドニーと英国ロンドンの研究者らは、共同でラブラドール・レトリバーに関する3万3000件以上の英国の獣医記録を調査した。
その結果、黄色や黒のラブラドールは、チョコレート色のラブラドールよりも10%ほど長生きすることがわかったという。
ラブラドール全体の寿命の中央値は約12年だが、チョコレートラブラドールの場合は10.7年だった。
ただ、全体としてラブラドール・レトリバーは犬の中でも寿命が長い方であるという別の研究結果もある。
他のラブラドールと比較すると、チョコレートのラブラドールは、特定の病気にかかりやすいという。
「チョコレートのラブラドールは、黒や黄色のラブラドールよりも皮膚や耳の病気にかかる確率がはるかに高いのです」と、研究者は書いている。
色素の遺伝子が短命に関わっているというわけではなさそうだ。
チョコレート色に交配させるやり方が、知らず知らずのうちに犬の健康に害を及ぼす遺伝子を受け継ぐ確率を高めてしまったのではないか、と論文の筆頭著者でシドニー大学のポール・マクグリービー氏はみる。
チョコレート色は、遺伝的に潜性の特徴だ。
つまり、チョコレート色の子犬を生むには、両親がともにその色を発生させる遺伝子を持っていなければならない。
「この色を目指すブリーダーは、チョコレート色の遺伝子を持つラブラドールだけを選んで交配させようとするでしょう」と、マクグリービー氏は言う。
すると遺伝子プールが狭くなってしまい、その中に耳や皮膚の病気にかかりやすい遺伝子が含まれていれば、高い確率でそれを受け継ぎ、最終的には寿命にも影響を与えかねない。
例えば、チョコレートのラブラドールは、ホットスポットと呼ばれる皮膚病にかかる確率が他と比べて2倍高い。ホットスポットとは、ノミやシラミに刺されたり、毛をカットされた部分に不快感を覚えて、犬が自分で引っ掻いて炎症を起こしてしまう病気だ。

より健康で長寿の犬が生まれるように
他の動物でも、毛皮の色が健康に関係していることを示す研究はある。
オオカミの黒い毛皮を発生させる遺伝子が、炎症の抑制と感染症防止にも関係していると考える学者もいる。
「人間を対象とした研究でも、炎症は寿命と生活の質に関係すると示唆されています」と、マクグリービー氏は言う。
「恐らくはそれと似たような過程により、感染症のせいで皮膚や耳で炎症を何度も繰り返し、免疫系に負担がかかって、寿命を縮めてしまうのではないでしょうか」
一部の犬種では、毛の色が気性と関係があり、さらに高い確率で聴覚や視覚障害が現れることを示すと言われている。
今回の研究ではまた、ラブラドールは全体的に肥満の確率が高いことも明らかになった。
イギリスのラブラドールの9%近くが、太り気味、または太りすぎだという。
なかでも、去勢手術を施されたオスが肥満になりやすい(手術済みのオスの場合11.4%、手術をしていないオスの場合4%)。
一方、去勢手術を受けた犬には精巣疾患やその他の病気のリスクが減るという効果もある。
メスの場合は、避妊手術と肥満の関連性は認められなかった。
この研究が、潜在的な健康問題の早期発見を助け、より健康で長寿の犬が生まれるような交配法を促せればと、研究者たちは願っている。
「ラブラドール・レトリバーは色々な病気にかかりやすいと言われていますが、特定の病気がペット全般でどれほど多いのかといったことについては、正確な情報が十分にありません」と、マクグリービー氏は言う。
「今回の研究は、イギリスにある数百という動物病院の記録に基づいて、数万匹ものラブラドール・レトリバーを対象にした初めての研究です。ラブラドール・レトリバーを飼うにあたって、どんなことに気をつければよいのかといった情報を、飼い主に与えるものだと思います」
文=Paul Heltzel/訳=ルーバー荒井ハンナ


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