犬のふんからエキノコックス卵…愛知まで南下?
2014年 4月8日(火) 読売新聞
愛知県は8日、同県阿久比町で捕獲された犬のふんから、寄生虫「エキノコックス」の卵が見つかったと発表した。
エキノコックスは、国内では主に北海道に生息しており、犬のエキノコックス症としては、今回が最南端という。同県は、感染した犬が北海道から持ち込まれた可能性があるとみて調べている。
同県健康対策課によると、犬は雑種のオスで、3月11日に同町矢高の山中で捕獲された。
今月4日、ふんを調べた地元の動物病院の獣医師がエキノコックス症と診断し、県に届け出た。
犬は殺処分され、他の犬への感染は確認されていない。
エキノコックスは人と動物に共通する感染症で、肝臓や肺に寄生し、重症の場合は肝不全などの障害を引き起こすことがある。
北海道では毎年10〜20人の患者が報告されているが、人から人への感染はない。
エキノコックス症(多包条虫症)について
エキノコックスの感染経路
エキノコックスは寄生虫の仲間です。
多包条虫の成虫の大きさは1.2〜4.5mmと、非常に小さい条虫です。
1.エキノコックスは、犬から犬に感染することはありません。
2.エキノコックスの虫卵(糞便中)は、犬が食べても感染しません。
3.犬やキツネは、エキノコックスが感染している野ネズミを食べたときに感染します。
4.犬がエキノコックスに感染しても、通常は無症状です。
5.犬が感染している野ネズミを食べると、エキノコックスは犬の腸管で約1か月で成虫となり、虫卵を排出し始めます。
その後、1〜4か月間は虫卵を排出し続けますが、約6か月で、成虫も自然に排出されます。
従って、これ以降はその犬が再び感染した野ネズミを食べない限り、感染源となることはありません。
6.ヒトはエキノコックスの虫卵(糞便中)を飲み込むと感染します。
7.ヒトが感染すると大変ゆっくりと進行し、成人では発症するまでに10年ほどを要します。
子供での進行は速く、数年程度で発症します。
8.ヒトでは、主に肝臓にエキノコックスの幼虫が寄生し、周囲の組織へ入りこんで行きます。
感染初期には全く自覚症状はなく、気が付きません。
9.ヒトは感染しても、血清中の抗体価はすぐには上昇しません。通常、感染してから1〜2年以上経過してから検査を受けます。