東日本大震災後取り残された犬たち
「SORAアニマルシェルター」の取り組み
2018年9月17日(月) いぬのきもち
東日本大震災後の原発事故で、取り残された犬たちの救出活動から始まった被災動物シェルター「SORA(ソラ)」の活動を紹介します。
出典/『いぬのきもち』2017年2月号
取材・撮影・文/尾崎たまき
※保護犬の情報は2016年10月30日現在の情報です。
震災から6年、今なお活動中。「もうつらい思いをさせない」
東日本大震災後の原発事故により、多くの動物たちが取り残されることとなった福島。
当時、動物たちを救おうといくつもの被災動物シェルターがつくられましたが、時間の経過とともに少しづつ閉鎖されていきました。
そんななか、今なお犬や猫たちを保護し、世話をしているシェルターがあります。
震災から丸6年を迎えようとしている今も、地道に活動を続けている『SORAアニマルシェルター(以降ソラと表記)』です。
1頭ずつのスペースは広々と作られている。
敷地内にドッグランもあるので、散歩以外でも走り回ることができる。
家族のもとへ帰れるまで、 新しい家族が見つかるまで・・・
ソラがつくられたのは、代表の二階堂利枝さんたちが原発周辺地域に、動物たちへ食べ物や飲み水を与えるために集まったことがきっかけでした。
当初、保護した犬たちは二階堂さんたちの自宅で面倒をみていましたが「放射能を浴びた動物を連れてきてほしくない」と近所から苦情が出たのだそう。
その後、山奥で物件を見つけて完成したのがこのシェルターでした。
二階堂利枝さん
SORAアニマルシェルター代表。
福島の被災動物を中心に保護活動中。
世界一幸せなシェルターを目指す犬小屋や物置をはじめとしたありとあらゆるものが、ここに集まるボランティアさんたちの手作りです。
犬小屋横には、ほかの犬との接触を防ぐため目隠しを作ったり、小屋の屋根に登ってひなたぼっこができるように階段を作ったりなど、こまやかな配慮が目につきます。
4年前から毎週末通っているボランティアの女性は「ここに来ると笑顔になれる。動物がこんなにかわいかったなんて。人生を変えられました」とにっこり。
外で日光浴を楽しんでいるのはソラで保護しているサンくん。
他犬とのすれ違いが苦手なサンくんのために壁が設けられている。
ひなたぼっこをしているのはソラで保護しているチッチくん。
スタッフからなでられ気持ちよさそう。
犬のことを真剣に 考えてくれる人のもとへ
安易な譲渡は決してしない。
ソラで保護した犬たちは、「何度もソラに通ってくれ、迎える犬と信頼関係を築いた人」でないと譲渡しないという方針を貫いています。
「もう二度と犬たちにつらい思いをさせたくないですから」と皆が口をそろえます。
ソラで保護しているカズオくん(16才)は自力での食事は難しいものの、食欲は旺盛だ。
いぬのきもちWeb編集室
NPO法人「SORAアニマルシェルター」
http://sora.ne.jp/