ラジオ体操に「ワンワン」声援
石垣島の人気者、車いすの雌犬まおちゃん
2018年9月1日(土) 沖縄タイムス
6年前の交通事故で脊髄を損傷して後ろ脚が不自由になり、犬用車いすで散歩を続ける雑種の「まおちゃん」が、飼い主の石垣市石垣の上原文夫さん(63)と共に毎朝訪れる市新栄公園のラジオ体操で「1、2、3、4・・・」の掛け声に合わせるように「ワン、ワンワン」と鳴き、参加者を元気づけている。
毎朝のラジオ体操会で、体操の掛け声に合わせて鳴き声を上げる車いす犬の「まおちゃん」=石垣市新栄町の新栄公園
まおちゃんは8歳の雌犬。
交通事故に遭い2歳の時から車いす生活だ。
後ろ半身を車いすに乗せて前脚で引くようにして歩いている。
そんな不自由な体だが、事故後も悪天候の日以外は必ず朝と夕の散歩を欠かさない。
自宅近くの新栄公園を中心に1日計5キロの散歩が日課という。
4年ほど前から、公園で毎朝開かれているラジオ体操会に立ち寄り始めた。
最初は文夫さんの傍らで体操を見守るだけのまおちゃんだったが、そのうち参加者を励ますかのように鳴くように。
伴奏や掛け声に合わせるかのように声を上げ、参加者がジャンプする運動では、まおちゃんの鳴き声も一段と弾む。
「『まおも体操したいけどできないから、みんな頑張って』と言っているのかも」と文夫さん。
今ではまおちゃんも体操会の常連と認められ、まおちゃん専用のラジオ体操出席カードを車いすに積んで参加する。
文夫さんは「おかげで、まおも私も体調良好」と笑顔を見せた。
体操会のリーダーで市浜崎町の砂川栄一さん(84)は「まおちゃんの声援でみんなハッスルする。人慣れしていて、特に子どもたちや高齢の皆さんに人気。体操会のアイドルです」と笑った。
(太田茂通信員)
事故で「死刑宣告」された犬・・・
好きな散歩を再び 石垣島で話題に
2017年2月12日 沖縄タイムス
沖縄県石垣市石垣の上原洋子さん(64)、文夫さん(62)きょうだいの飼い犬、7歳のメス「まおちゃん」が注目を集めている。
約5年前、2歳の時の交通事故で脊髄を損傷し、後ろ脚が不自由になったが、犬用車いすで朝夕2回の散歩を欠かさず、交通安全も徹底し、“ワンダフル”な話題を振りまいている。
横断歩道で上原文夫さん(左)の「ゴー」の合図を待つ車いす犬「まおちゃん」=石垣市美崎町
5年前の交通事故では立ち上がれないほどの重傷を負い、動物病院から「手術もできず、治らない」と見放された。
上原さんたちは途方に暮れ、特に散歩役の文夫さんは「まおから散歩を奪うのは死刑宣告同然」と胸を痛めた。
市内の犬猫救護団体「しっぽの会」メンバーから車いすの活用のアドバイスを受け、神奈川県の「ポチの車イス」から通販で購入した。
後脚を後方へぶらつかせるようにして、おなかから腰を車体の上に乗せ、前脚で引くようにして前進する。
購入して以来、「まおちゃん」は文夫さんに連れられ近くの新栄公園を中心に、1日5キロ前後の散歩を続ける。
車道は交通事故の「トラウマ」もあって怖いのか、交差点や横断歩道では、文夫さんの「止まれ」で待ち、「ゴー」で歩き始める。
文夫さんの合図が遅れても絶対に飛び出さず、交通安全を徹底している。
文夫さんは「人の年なら30歳半ば。人慣れしており、周りの皆さんにも『あさだ まおちゃん』で覚え、親しんでもらっている。車いすは3台目だが、可能な限り散歩させてやりたい」と目を細めた。
(太田茂通信員)