もふもふブームの陰で・・・大分市で猫路上死2千匹超(大分)
2018年6月19日(火) 朝日新聞
譲渡会向けに「飼い主」となる人を待つ猫たち=2015年10月16日午前10時50分、大分市小野鶴、平塚学撮影
愛らしい猫の写真集やテレビ番組があふれる猫ブームの陰で、人知れず命を落とす野良猫たちがいる。
動物愛護の考えが浸透し、大分県内で保護されて殺処分される猫の数は減る一方で、主に路上で死んで一般ごみとして回収される猫の数は、大分市だけでも年間2千匹以上にのぼる。
県は「1匹でも不幸な動物たちを減らしてほしい」と呼びかけている。
「猫が道路で死んでいます」。
大分市内の清掃業者には多い日には数件、そんな電話がかかってくる。
中にはタヌキやイタチといった野生動物もいるが、多くが車にひかれた猫だ。
猫の出産期の春と秋に特に増え、路上だけでなく住宅の庭や物置内でも見つかる。
車にひかれた後に移動して力尽きたとみられる猫もいるという。
動物たちは、生きていれば保健所の職員が回収するが、死亡している場合は一般廃棄物として市の委託業者が回収する。
業者は「病死よりも、けがをして死ぬケースが圧倒的に多い。虫の息の場合もあるので、供養する気持ちで現場に向かう」と話す。
市清掃業務課によると、昨年度に市内で回収された動物の死体は3448件(匹)。
16年度が3642件、15年度が3853件、14年度が3756件、13年度が4015件と減少傾向にあるが、毎年度3千件を超える状況が続いている。
昨年度は6割以上の2268件が猫で、次いで犬が276件だった。
全体のうち632件は飼い主がいたが、2816件は野良猫や野良犬、野生動物だった。
動物愛護を所管する県食品・生活衛生課によると、猫が多い理由は、犬よりも管理が難しく、1回に生まれる数も多いためという。
猫は年に数回出産期を迎え、1回に数匹~10匹程度を産む。
産後半年~1年で出産可能となるため、増え方が早いという。
野良猫は殺処分されるケースも多い。
県動物管理所では昨年度、県内で集められた猫1764匹と犬240匹が殺処分された。
猫の6割近くは生後90日以内の子猫だった。
ただ、飼い犬の登録制度の浸透や動物愛護団体による譲渡会など地道な取り組みで、殺処分数は減少傾向にあるという。
大分市や別府市には、殺処分される野良猫を減らすため、飼い主のいない猫の去勢や避妊の手術代を助成する制度もある。
県の担当者は「可愛くてもエサをやることで野良猫は増えてしまう」と指摘。
「猫は室内で飼い、むやみに増えないように去勢や避妊手術を受けさせてほしい。大原則として飼うなら一生世話をしてほしい」と話している。
(平塚学)