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救いきれなかった命を忘れない

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「救いきれなかった命を忘れない」
 ネコのクラフト展、保護続ける弘前・小野さん

2018年5月6日(日) 東奥日報


小野金商店内のギャラリーで、小野さんに抱かれる保護されたネコ

昭和初期のたたずまいを残す、青森県弘前市の歴史的建造物「小野金商店」。
縄、むしろなどわら製品を売っていた店内は今、クラフト作家の作品を集めた「ねこだらけ展」のギャラリーになっている。
同展を開催する小野香さん(45)は、自宅でネコの保護活動も行っており、新たな家族に橋渡ししたネコは7年間で50匹近い。
作品販売の益金はすべてネコの食費、医療費に消えるが「殺処分がなくなる日」を願い、活動を続ける。
子どものころから「ほどほど動物好き」という小野さん。
だが、近所の路地で車にひかれたネコの死骸を放っておけず、時には道路にへばりつくほどひどい状態のものも自分で箱に収め、花を添えて火葬場に持ち込み弔った。
家裏の空き地で弱っていくネコを放っておけずエサをやると、近所の苦情でやってきた行政職員に注意された。
逆に、ネコたちの命を守りたいという思いが強くなった。
春と秋の繁殖期、子ネコたちが乳離れするのを待って保護し、自宅で食べ物を与え、病院に連れて行く。
1匹あたりの費用は月1万円ほど、去勢費用は数万円。
へその緒がついたまま捨てられた子ネコの世話は、頻繁にミルクをやるため寝る暇もない。
店内のネコグッズは、金属製オブジェや焼き物、切り絵、アクセサリーなど約200点。
作品販売の益金を、費用に充てるが「全然足りていない」と笑う。
保護活動に関し、行政に過大な期待はしない。
だが、盛岡市は昨年殺処分ゼロを達成し、岩手県とともに保護・譲渡の拠点施設整備を打ち出した。
「青森県にも、できないはずはないですよね?」
小野さんは、自らの活動をおおっぴらにしていなかった。
「それが分かると、店の前にネコを捨てていく人がいる」からだ。
目の前で、手の中で、救いきれず消えていった小さな命を思うと、胸が詰まる。
この2本の手が3本、4本と増えれば・・・。
思いを共有できる人たちとつながり、力を合わせて大切な命を守りたいと思っている。
小野さんへの連絡は、直接同市北瓦ケ町の同店を訪れるか、携帯メール(ROUTEus66@softbank.ne.jp)で。


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