発達障害の少女、思い詰まった絵本 犬猫の殺処分ゼロへ制作
2018年3月29日(木) 福井新聞
吉崎莉菜さんが制作している絵本の1ページ
動物を題材にした幻想的な絵画や鉛筆デッサンで、国内外から評価を受けている吉崎莉菜さん(13)=福井県鯖江市=が、犬や猫の殺処分をなくそうと訴える絵本を制作している。
「命がモノのように売られ、簡単に捨てられている現状をみんなに伝えたい」との思いを込め、丁寧に筆を走らせている。
発達障害がある吉崎さんは、障がい者アート協会(埼玉県)が運営する絵画投稿サイト「アートの輪」で作品を発表しつつ、絵画や造形など創作活動に取り組んでいる。
特に動物のアクリル画や鉛筆デッサンは同サイトを通じて話題となり、スマートフォンケースやTシャツとして商品化された。
現在は市内のチャイルドセンター(適応支援教室)に通いながら、創作に力を入れている。
絵本の仮タイトルは「私の命はどうなるの」で、ペットショップで売られている犬の目線から始まるストーリー。
ショップのガラスケース越しの飼い主との出会い、最初はかわいがられている様子、飽きられ放っておかれるようになり、ストレスで部屋を散らかしてしまう―などと続く。
ケースに入れられ、保健所に連れて行かれる直前までが描かれており、母の幸子さん(43)は「半分くらい完成したみたい」と話す。
幸子さんによると、幼いころから動物好きの吉崎さんは2017年夏ごろ、「絵本でみんなに伝えたい」と言い出したという。
小学校の読書感想文の題材の本で、犬や猫が殺処分されていることは知っていたが「殺処分をなくしたいという気持ちがどんどん強くなったのでしょうね」と幸子さん。
秋には、地元の健康福祉センターを見学し、収容されている犬や猫の写真を撮ったり、様子を観察したりした。
おびえている犬や、「出して」と言わんばかりに暴れる犬がいた。
また、母娘で訪れたペットショップで「セール」と銘打ち、子犬が次から次へと「たたき売り」されているのを目の当たりにした。
「子犬を『かわいい』としか見ていなかった(母娘の)視点が変わった」と話す幸子さんに、梨菜さんはうなずく。
幸子さんは「莉菜はそういうショップをなくしたい、簡単に犬や猫を捨てる人を減らしたいという思いを絵で伝えたいと強い気持ちを持っているみたい。あせらずゆっくりと形になれば」と話している。
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