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犬猫工場、悪質業者でも開設できる「緩い規制」

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「まるで地獄」不衛生な犬猫工場で大量繁殖、
 悪質業者でも開設できる「緩い規制」

2018年3月7日(水)  弁護士ドットコム


福井県坂井市の繁殖場(提供:日本動物福祉協会)

人気のペット犬など、約400匹の犬猫を過密状態で飼育し、繁殖させていたとして、福井県坂井市の繁殖業者(ブリーダー)が3月1日、動物愛護法違反などの疑いで、福井県警に刑事告発された。
工場で大量生産するように、ペット犬などを繁殖させる繁殖業者は「パピーミル(子犬工場)」と呼ばれている。
このパピーミルをめぐっては、母犬の健康面への悪影響などがあるため、専門家から厳しく規制すべきという声があがっている。
はたして、どんな規制が必要なのか。
(弁護士ドットコムニュース・山下真史)

●「すし詰め状態」よりもひどい「工場」も
このほど刑事告発された福井県坂井市の繁殖業者の「工場」では、約400匹の犬猫が、いくつかの部屋に分けて「すし詰め状態」で飼育されていたという。
刑事告発をおこなった公益社団法人「日本動物福祉協会」の調査員は「まるで地獄」とコメントしている(福井新聞)。
動物問題にくわしい細川敦史弁護士は「『パピーミル』の全貌はわかりませんが、福井の現場よりもっとひどい繁殖場はあります」と説明する。
あくまで氷山の一角であり、「すし詰め状態」の「地獄」よりもひどい環境で飼育されているところもあるということだ。

●「繁殖業を許可制・免許制で規制すべきだ」
そもそも繁殖業は、ペットショップと同じ「販売業」として、動物愛護法で規制されている。
この「販売業」を含む第一種動物取扱業は、いずれも登録制で、条件を満たせば、誰でも営業できてしまう。細川弁護士は「営利のみを追求する悪質な繁殖業者に『動物の福祉』を省みることを期待することはできません」と批判する。
こうした状況の中、環境省は3月5日、動物の適正な飼育管理のために、その基準の明確化・細分化やガイドラインの策定などについて考える検討会をスタートさせた。
たとえば、犬猫の繁殖制限措置(5~6回までに制限)などについて話し合う予定だ。
はたして、繁殖業者の規制はどうあるべきか。
「『繁殖業』を『販売業』から切り出して、『登録制』よりも厳しい『許可制』『免許制』とすべきです。繁殖業を営むには、相当の専門知識や倫理感を持った有資格者(獣医師など)の関与も必要です。飼養施設や繁殖回数、繁殖年齢などについては、明確かつ具体的な『数値規制』も導入すべきでしょう」(細川弁護士)

●「営業の自由」も無制限には認められない
個人による繁殖行為(素人繁殖)も問題になっている。
遺伝性疾患や多頭飼育崩壊につながるおそれもあるため、細川弁護士は「『繁殖行為』そのものにも規制を入れるべきだ」と付け加える。消費者側のモラルについては、「その部分を強調して、法規制をおざなりにしては、この問題はいつまでも解決しません」(細川弁護士)。
また、規制をすると憲法上の問題がある、という意見については「『営業の自由』も無制限に認められず、目的・手段の点で合理的な規制であれば違憲とはなりません。軽々しく憲法を持ち出して規制強化の流れに水を差すことは、不相当と考えます」と指摘した。



「すべての動物を守る法律をつくって」
 動物愛護法改正にらみ杉本彩さんらが訴え

2018年3月6日(火) 弁護士ドットコム


公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長で、女優の杉本彩さん

今国会で改正が見込まれている動物愛護法について考える院内集会が3月6日、東京・永田町の衆議院第2議員会館で開かれた。
認定NPO法人アニマルライツセンターの岡田千尋さんは、「(現行法から)取り残されて苦しんでいる動物がなくなるよう努力することが、動物を飼養・管理する人間の責務だ」と訴えた。
院内集会を主催したのは、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)、PEACE、アニマルライツセンター。この3団体が「すべての動物を守れる法律を」と呼びかけた国会請願署名には10万人以上からの賛同を得られたという。
第一種動物取扱業(営利業者)の規制強化のほか、繁殖制限や罰則強化、実験動物・畜産動物に関する規制の必要性なども訴えている。
アニマルライツセンター代表理事の岡田さんは「家庭動物とくらべて、実験動物や畜産動物、展示動物などについて議論がまだ不足している」と指摘。
2020年東京五輪を見据えて、「先進国として、一部の動物だけを守り、ほかの動物を守らない法律であってよいはずがない」と強調した。
公益財団法人動物環境・福祉協会Eva理事長で、女優の杉本彩さんも登壇。
家庭動物に関するこれまでの議論について報告する中で、「ペット流通は目をそむけたくなる実情がある。動物福祉が不足している。流通にのらずに闇で処分されている動物もいる。繁殖業者については、登録制では不十分で、免許制の導入が検討されるべき課題だ」と述べていた。


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